ロラン夫人回顧録第一部①
原書はClaude Perroud編『Mémoires de madame Roland: nouv. éd. critique contenant des fragments inédits et des lettres de la prison』(1905)の2巻本である。2巻の中で特に重要な「個人的な回想mémoires particuliers」の部分を訳出した。Paul de Roux編『Mémoires de madame Roland』(1966)やEdward Gilpin Johnson編『The Private Memoirs of Madame Roland』(1901)も参照している。訳者による訳注を加えたほか、Perroud版やJohnson版に記載されている注を読者の理解を助けるために適宜訳出した。それぞれCPとEGJと略記した。
※訳注は最終的には割注ではなく脚注にします。noteには脚注をつける機能がないためです。読みにくいと思いますがご了承ください。
サント=ペラジー監獄[18世紀末から19世紀末まで現パリ5区あった監獄]にて1793年8月9日
画工[CP注:ピエール=ガシアン・フィリポン(1724~1787)は「王弟アルトワ伯爵の版画師」という称号を持つ版画師であり、1750年にマリー=マルグリット・ ビモンと結婚した。現代の感覚では彼は職人にして画家であり、18世紀においてartisteという言葉は「優れた技術で自由自在に仕事をする職人(Dictionnaire de Trévoux)」といった意味であった]の娘にして、大臣にまでなったが実直であり続けた科学者の妻は今、囚人となって、おそらく非業の死を遂げることになっているが、これまで私は幸福も逆境も知り、栄光を間近で見たこともあれば、不公正な扱いを経験したこともある。
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