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ロビン・フッドと修道士

夏になると、木々は輝き、葉は大きく長くなる。すばらしい森の中で鳥の歌を聞くことはとても楽しいことだ。

鹿が谷を下ったかと思えば、高い丘を駆け上がるのが見える。緑林の木の下、谷も丘も緑の葉の陰に覆われている。

聖霊降臨節の頃の5月の早朝、太陽が穏やかに輝き始め、鳥たちが楽しげに歌っている。

「愉快な朝だ」とリトル・ジョンは言った。「十字架上で亡くなったキリストさまにかけて、キリス教世界で俺よりも愉快な男はいないだろうよ」

「元気を出してください、親愛なるお頭さま」とリトル・ジョンは言った。「5月の朝は本当にすばらしい時節だと思いますよ」

「そうだな、ただ私には一つ気がかりなことがある」とロビンは言った。「それで私は心を痛めているのだ。私は朝の祈祷やミサのための聖なる日を設けていない」

「私が最後にミサをしてから2週間経つ」とロビンは言った。「今日、私は処女マリアさまのご助力でノッティンガムに行くつもりだ」とロビンは言った。

それから粉屋の息子のマッチは話した。マッチに幸あらんことを。「十分に武装した強い自由民を12人一緒に連れて行ってください。あなた自身で殺せない者がいてもその12人が放っておきませんよ[「あなたを殺そうとする者がいてもその12人に対抗しようとは思わないでしょう」とも解釈できる]」

「私の愉快な仲間たち全員の中でリトル・ジョン以外に私の弓を託せる者は誓ってほかにいない。私が弓を引くことを選ぶまでは」

「あなたはあなたの弓を持っていてください」とリトル・ジョンは言った。「お頭、俺は俺の弓を持っています。緑林のシナノキの下で1ペニーをかけて矢を射ましょう」

「私は1ペニーをかけて矢を射ようとは思わない」とロビン・フッドは言った。「リトル・ジョンよ、誓っておまえとはな。だがおまえが1ペニーをかけて矢を射てきたなら、誓って私は3ペニーかけよう」

そこでこの2人の自由民は藪でも低木の間でも矢を前に放った。リトル・ジョンが靴下と靴の代金として5シリングをお頭から勝ち取るまで。

道すがら彼らの間でいさかいが起きた。リトル・ジョンは5シリングを勝ち取ったと言った。すると、ロビン・フッドは「嘘だ」とすぐに言った。

それからロビン・フッドはリトル・ジョンを嘘つきだと呼んで手で殴った。リトル・ジョンは怒色を浮かべて輝く剣を抜いた。

「あなたが俺のお頭でなければ、痛い目に遭わせてやっていたのに」とリトル・ジョンは言った。「お好きなところで仲間を見つけるといいさ。俺はもうごめんだね」

朝になるとロビンはノッティンガムに独りで行った。その一方、リトル・ジョンは愉快なシャーウッドに向かった。リトル・ジョンはどの道もよく知っていた。

ロビンは何も身を偽らずにノッティンガムにやって来た。ロビンは再び出られるように神と処女マリアさまに祈った。

ロビンは聖マリア教会に入った。そして、十字架の前に跪いた。教会にいた人びとはみなロビン・フッドをまじまじと見ていた。

ロビンのそばに大きな頭の修道士が立っていた。神が災厄を彼に与えんことを。修道士は見てすぐに善良なるロビンのことを悟った。

修道士はあわててすばやく扉から走り出た。修道士はノッティンガムのすべての門に一つひとつ閂を下ろした。

「決起せよ、誇り高き代官よ」と修道士は言った。「急いで備えよ。私は王の重罪人[ 無法者のロビン・フッドのこと]が本当にこの町にいるのか探ってこよう」

「不正な重罪人がミサで立っていた時、私は奴を見た。日が暮れたらすぐに奴は我々のもとからすり抜けてしまうだろう」と修道士は言った。

「反逆者の名前は緑林の木の下のロビン・フッドだ。かつて奴は私から100ポンド[庶民の数十年分の収入に相当する金額]奪った。そのことが私の心から消えることはない」

それから誇り高い代官は立ち上がって急いで準備を整えた。多くの聖母さまの息子たち[聖職者のことだと考えられる]は、代官とともに教会に向かった。

彼らはたくさんの板で扉を強く押した。「ああ、今となってはリトル・ジョンがいなくて私は後悔するよ」とロビン・フッドは言った。

ロビン・フッドは膝の辺りまで吊り下げていた両手握りの剣を抜いた。ぎっしり立っていた代官と一団はロビンに向かって殺到した。

ロビンは3度も彼らの間を駆け抜けた。実のところ、多くのマリアさまの息子たちが怪我をした。その日、ロビンは12人を殺害した。

ロビンの剣は代官の頭に当たって真っ二つに折れた。「おまえを作った鍛冶屋に神が災厄を与えんことを」とロビンは言った。

「さて今、私には武器がない」とロビンは言った。「ああ、意に反することだが、もし私が裏切りものから逃げなければ、奴らはきっと私を殺してしまっていただろう」

ロビンは教会に駆け込んで、その者たち全員の間には[以後の部分は48行にわたって欠落していると考えられる]。

まるで死んでいるかのように卒倒して石のようにじっと横たわっている者がいた。リトル・ジョンを除いて誰も正気を保っている者はいなかった。

「正気を取り戻せ」とリトル・ジョンは言った。「十字架の上で亡くなられたキリストさまのために、おまえたちは勇気な者たちであらなければ。見ているだけで恥ずかしい」

「我々のお頭はいろいろと苦難に遭いながらもなんとか逃げ出してきた。元気を出して嘆くのを止めろ。そして俺の言うことを聞け」

「お頭は聖母マリアさまのためにずっとお仕えしてきた。これからもきっとそうするだろう。俺は聖母マリアさまを特別に信頼している。お頭がひどい死にざまを迎えることはないだろう」

「だから楽しめ」とリトル・ジョンは言った。「この嘆きをどうにかしろ。慈悲深い聖母マリアさまのお力で俺が修道士にこっぴどく思い知らせてやるから[2行欠落]」

「俺が奴に立ち向かう」とリトル・ジョンは言った。「俺たちだけでやり合おう」

「我々の会合の木をしっかり世話してくれ。谷間を行く鹿を見つけたら容赦なく捕まえろ」

それからリトル・ジョンとマッチの2人の自由民はともにマッチの叔父の家に行った。その家は街道のすぐ近くにあった。

朝、リトル・ジョンは窓のところに立っていた。そして、修道士が小さな供の者を連れて馬に乗ってやって来るのを2階から見た。

「誓って俺はおまえに良い報せを教えてやろう。修道士が馬に乗ってやって来るのを俺は見た。幅広の被り物のおかげで奴だとわかる」とリトル・ジョンはマッチに言った。

彼らは道に出た。この自由は2人とも礼儀正しく愛想良くふるまった。彼らはまるで友人であるかのように修道士に報せを聞いた。

「あなたはどこから来たのか」とリトル・ジョンは言った。「お願いですから昨日、捕らえられた不正な無法者に関する報せを我々に教えてくれませんか」

「奴は私と仲間たちからきっかり20マーク[14と3分の2ポンドに相当する]奪いました。もしその不正な無法者が捕らえられたら我々は本当に嬉しく思います」

「奴は私からも100ポンド以上奪った」と修道士は言った。「私が奴に最初に手をかけた。だから君は私に感謝してもよいだろう」

「神にかけて感謝します」とリトル・ジョンは言った。「そして我々は感謝できる時に感謝するでしょう。もしあなたの許しがあれば我々はあなたの道中に同行します」

「というのはロビン・フッドがたくさんの荒くれ者たちを抱えているからです。それは間違いないことだと私はあなたに伝えます。もしあなたがこの道を進むのを奴らが知れば、誓ってあなたは殺されてしまうでしょう」

それから修道士とリトル・ジョンは話しながら道を進んだ。ジョンは修道士の馬の頭をすばやくつかんだ。

本当のことだが、ジョンは修道士の馬の頭をつかんだ。マッチも小さな供の者に同じことをした。そのせいで小さな供の者は逃げられなかった。

ジョンは、被り物の喉元をつかんで修道士を引きずり下ろした。ジョンは修道士をまったく恐れなかった。ジョンは、修道士を頭のてっぺんから落下させた。

たいそう腹を立てていたリトル・ジョンはすばやく剣を抜いた。修道士は自分の死が迫るのを見て「神よ、お慈悲を」と叫んだ。

「おまえが危険にさらしたのは俺のお頭だ」とリトル・ジョンは言った。「おまえは我らが王に事情を伝えに行くことはできない」

ジョンは、もう何もくどくどと考えずにすむように修道士の頭をぶっ飛ばした。マッチも恐怖のあまり何を話せずにいた小さな供の者に同じことをした。

彼らは苔の中でもなければヒースの中でもなく[ヒースはヨーロッパの海洋性気候下の温帯寒帯性低木林のことである。おそらく遺体をきちんと土の中に埋めたということだろう]、そこに2人とも葬った。そしてリトル・ジョンとマッチはともに我らが王に[修道士が持って行くはずだった]手紙を持って行った。

リトル・ジョンは王の前に出て跪いた。「神のご加護があらんことを、わが忠実なる臣下よ。イエスさまがおまえを見守ってくださるだろう」

「神のご加護があらんことを、わが主君たる王よ」。ジョンは威勢良く言った。ジョンは王に手紙を手渡した。王は手紙を開いた。

王は手紙をすぐに読んで「私はおまえに感謝しなければならない。美しいイングランドでこのような自由民を見なくてすむのだから。私はそうなるのを長く望んでいた」と言った。

「この手紙を寄越した修道士はどこだ」と我らが王は言った。「本当のことを申し上げると、修道士は道中で亡くなりました」とリトル・ジョンは言った。

王はマッチとリトル・ジョンにきっかり20ポンド与えた。そして彼らを王の自由民として再び旅を続けるように命じた。

王は代官に見せるための国璽が押された文書をジョンに手渡した。そして、ロビンを自分のもとに連行して、誰もジョンに危害を加えないように命じた。

ジョンは我らが王のもとから去った。本当のことを言うと、ジョンは最短距離でノッティンガムに至る道に向かって出発した。

ジョンがノッティンガムまでやって来た時、すべての門に閂が下ろされていた。ジョンは門番に呼びかけた。門番はすぐに返事した。

「いったいどういうことだ」とリトル・ジョンは言った。「こんなに早く門に閂を下ろしてしまうとは」。「ロビン・フッドのせいだ」と門番は言った。「本当のことを言うと、ジョンとマッチとスケーズロックが我々の手勢を城壁のところで殺したんだ。毎日、奴らは我々を狙っている」

リトル・ジョンは代官の居場所を探った。リトル・ジョンは代官をすぐに見つけた。ジョンは国璽を押された文書を代官に見せた。代官は被り物をすぐに取って「手紙を送った修道士はどこだ」とリトル・ジョンに言った。

「王は修道士のことをお気に召しました」とリトル・ジョンは言った。「本当のことを言うと、王は修道士をウェストミンスター大聖堂の僧院長にしました」

代官はリトル・ジョンのためにご馳走を準備して最高のワインを与えた。夜になって彼らはみなベッドに入って休んだ。

ワインとビールを飲んで代官が眠りに落ちると、リトル・ジョンとマッチは牢獄に向かった。

リトル・ジョンは看守を呼んですぐに起きるように命じた。リトル・ジョンは、ロビン・フッドが脱獄して逃げたと言った。

牢番はリトル・ジョンの声を聞くとすぐに起きた。リトル・ジョンは剣を構えると壁に突き立てた。

「今は俺が看守だ」とリトル・ジョンは言って鍵を手に取った。リトル・ジョンはロビン・フッドのもとに行ってすぐにロビン・フッドを解放した。

リトル・ジョンは、剣で頭を守れるように鋭利な剣をロビン・フッドに手渡した。そして壁が最も低くなっているところから彼らはすぐに飛び降りた。

その頃になって雄鶏が鳴き始め、太陽が昇り始めた。代官は看守が死んでいるのを知って町の鐘を鳴らした。

代官は、自由民であろうが身分の低い者であろうが、ロビン・フッドを連行した者に褒美を与えるというお触れを町に出した。

「私は我らが王の前に出られない」と代官は言った。「もしそんなことをすれば、きっと王は私を縛り首にするだろう」

代官はノッティンガムの通りも路地も探させた。ロビンは愉快なシャーウッドにいて木の上の葉のようにうきうきしていた。

善良なるリトル・ジョンはロビン・フッドに話しかけた。「俺はあなたが困った状況にいるのを好転させました。できれば俺に褒美をください」

「俺はあなたが困った状況にいるのを好転させました」とリトル・ジョンは言った。「本当のことを言うと、俺はあなたを緑林の下まで連れ戻しました。さようなら、良い日をお過ごしください」

「いや誓ってそのままにはさせない」とロビンは言った。「おまえを仲間たち全員と私の頭にしよう」

「いや誓ってそのようなことはさせません」とリトル・ジョンは言った。「俺を仲間の一人のままでいさせてください」とリトル・ジョンは言った。「俺にふさわしい立場は他にありません」

確かに偽りなく、このようにしてリトル・ジョンはロビン・フッドを牢獄から出した。ロビン・フッドがすっかり無事だったのを知った仲間たちは本当に喜んだ。

小さな葉の下で彼らはワインを注いで楽しんだ。鹿の肉入りパイを食べた。それはビールに良く合った。

ロビン・フッドがどのように逃げたか、そしてノッティンガムの代官が王のことをどのように思っているか伝える報せが我らが王のもとに届いた。

我らが優渥なる王は激怒して「リトル・ジョンが代官を騙した。きっと私のことも騙したに違いない」と言った。

「リトル・ジョンは我々を2人とも騙した。ただそのことについて私はよくわかっている。さもなければ代官が奴を高々と縛り首にするべきだろう」

「私は彼らを王の自由民にしてお金を手渡した。私は、美しいイングランド中で彼らに危害を与えないように命じた」

「私は彼らに危害を与えないように命じた」と我らが王は言った。「すなわち、神の恩寵を願うということだ。というのは彼のような自由民はイングランド中で3人もいないからだ」

「彼は主人に忠実であった」と我らが王は言った。「聖ヨハネ[十二使徒の一人]に誓って、彼は我々よりもロビン・フッドを大事に思っただけだ」

「ロビン・フッドは通りでも厩舎でも彼に感謝の念をずっと抱いているだろう。リトル・ジョンが我々を騙したとしても主人のことはもう話さないでおこう」と我らが王は言った。

このようにしてロビン・フッドと修道士のお話は終わる。王冠を戴いた王である神が我々みなを天国に招かれんことを。

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