ミュージカル『ハミルトン』歌詞解説30―Schuyler Defeated 和訳
はじめに
ミュージカル『ハミルトン』は、ロン・チャーナウ著『ハミルトン伝』(邦訳:日経BP社)をもとにした作品である。
物語の舞台は18世紀後半から19世紀初頭のアメリカ。恵まれぬ境遇に生まれたアレグザンダー・ハミルトンは、移民としてアメリカに渡り、激動の時代の中を駆け抜ける。アメリカをアメリカたらしめる精神がミュージカル『ハミルトン』には宿っている。
劇中では、友情、愛情、嫉妬、憎悪など様々な人間ドラマが展開される。ここでは、そうしたドラマをより深く理解できるように、当時の時代背景や人間関係を詳しく解説する。
”Schuyler Defeated”
※歌詞の和訳はわかりやすく意訳。
※歌詞の原文は『Hamilton the Revolution』に準拠。
Eliza enters. Philip Hamilton enters with a newspaper.
PHILLIP:
Look! Grampa’s in the paper! “War hero Philip Schuyler loses Senate seat to young upstart Aaron Burr!” Grampa just lost his seat in the Senate.
「見てよ。おじいちゃんが新聞に載っているよ。『戦争の英雄フィリップ・スカイラーが若手のアーロン・バーに上院議席を奪われる』。おじいちゃんは上院の議席を失ったんだ」
解説:連邦の官職と州の官職を兼ねることを禁じる法律が1790年に制定されたにもかかわらず、スカイラーはニュー・ヨーク州人事院に出席し続けてクリントン州知事による官職任命を拒み続けた。クリントン州知事はニュー・ヨーク州憲法批准会議以来、ハミルトンの強力な政敵であった。クリントン州知事はスカイラーの代わりにバーをニュー・ヨーク州選出上院議員に据えることにした。1791年1月19日、クリントンの策謀の結果、ニュー・ヨーク州議会はバーを上院議員に選出した。この当時、連邦上院議員は州議会によって選ばれていた。
ELIZA:
Sometimes that’s how it goes.
「時にはどうしようもないことがあるわよ」
PHILLIP:
Daddy’s gonna find out any minute.
「お父さんはすぐに知りたいんじゃないかな」
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