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アーサー・コナン・ドイル北極日記5月26日

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5月26日水曜日

晴れたが、氷は崩れ落ちている。最善を尽くして氷の間をゆっくりと通過した。 私が後甲板で午後のパイプをふかしていた時、「クマが船の近くにいるぞ」という叫び声が聞こえた。マストの先にいた船長はすぐに「船尾のボートを降ろせ」と怒鳴った。私は銃を取るために駆け下って、ボートにうまく乗り込むことができた。私はクマを見た。大きな獣だ。白い雪に対して黄褐色に見えた。船と平行の方角にすさまじい速さで走っていた。それからクマは数百ヤードもある水の穴に入った。水面に出ているのは鼻だけで[体は]隠れていた。ボートの銛撃ちはマチソンであり、我々は漕いだが、氷の間を通り抜けるために迂回しなければならなかった。我々はクマを見失った。我々がクマを再び見つけた時、クマは立っていて氷の塊の上に前足を置いて頭を空に伸ばして我々のほうをじっと見て匂いを嗅いでいた。我々は射程範囲内にいたが、あまりにクマが近すぎたのでオールを力いっぱい漕いだ。クマはボートを見て鈍い知性で何か思いついたらしく、急に氷の塊から離れた。我々はクマを見失った。それから我々はボートに帰還を命じる合図を見たが、すさまじい速さで氷の上を移動して遠くに行ってしまうブルーイン[訳注1]を見つけた。だから我々は大変な仕事になると思ってクマ[の捕獲]を諦めた。風はいまだに東からだ。 

訳注

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