アーサー・コナン・ドイル北極日記2月28日
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2月28日土曜日
[午後]2時、大勢の群衆と大きな歓呼の中、[スコットランド北東部の港町ピーターヘッドを]出航。 ウィンドワード号の[アレグザンダー・]マリー船長が我々の前に出て、バシャン[訳注1]の牛のように「面舵」や「取舵」とうなり声を上げた。我々は静かにてきぱきと仕事に取りかかった。我々[の船]は紳士のヨットのように清潔であり、すべての真鍮は輝き、甲板は雪のような白さだった。紹介されたものの名前を忘れてしまった若い淑女が埠頭の端からハンカチを振っているのが見えた。私は前夜から彼女のことを忘れていたが、ホープ号の後甲板から帽子を振った。やや荒れ模様になって気圧計が急激に下降した。数時間、湾を間切って進み、[船主のウィリアム・]バクスターと乗船している高級船員たちにシャンペンで敬意を表して夕食を摂った。水先案内人のボートがようやく全船を外洋に出した。中甲板に隠れようとした不運な密航者とともに。強い風の中、[スコットランドの北東にある]シェトランド諸島に向かって航行、牡蠣のように気圧計が下降[訳注2]。私はできるだけ甲板に張り付いていた。
訳注
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