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ビリー・ザ・キッドに関する私の個人的回想―第1章 出会い

※『ビリー・ザ・キッドに関する私の個人的回想』に関する説明は「はじめに—コンテンツ紹介」にまとめています。

私がビリー・ザ・キッドについて知るまでにそれほど長い時間はかからなかった。私がフォート・サムナーにやって来たのは1880年だったと思う。春の頃、3月だったと思う。 私は平原地帯でちょっとした悪運に見舞われていた。私はそこで帽子をなくして、そのせいで3日間も帽子なしで平原で過ごした。3日間も太陽と風にさらされた私の顔がどうなったか想像できるだろうか。私の相棒の名前はトム・ノリスである。私は彼を長い間知っていて、トム・ノリスよりも良い男はいないと彼について言うだろう。

我々がフォート・サムナーに入った時、ノリスは私のために帽子を探しに行った。彼が離れている間、 私は木の下に寝具を広げて顔の上に赤いハンカチを被せて寝転がっていた。私は非常に調子が悪く、特に顔にひどい症状が現れていた。しばらくすると何人かの男がやって来て私を足で蹴った。そのせいでハンカチが私の顔から落ちた。新参者は「おい、おまえさん、ひどいありさまだな」と言った。私は「ああ、こんなざまだよ」と答えた。彼は「いったいおまえさんの顔に何があったんだい」と言った。そこで私は困ったことと私の帽子について彼に語った。彼は「こんな暑い所で寝ているんじゃないよ」と言った。私は「そうだな」と答えた。彼は「起きてついて来いよ。俺がおまえのために部屋と横たわれる寝台を手配してやる」と言った。

私は彼に感謝して、私がいる場所に留まったほうがよいと思っていると言った。さらに、あなたが見ていたようにトムと私は平原を横切ってきたばかりで虱だらけなのであなたの部屋には行きたくないと言った。

しかし、彼は「それなら俺にも100万匹はいるぜ。来いよ」と言った。

それから彼は私の寝具を持ち上げてフォートのそばにある 古い日干し煉瓦の建物の一つに向かって歩いて行った。彼は一つの部屋に入って、そこにあった古い鉄製のベッドの枠に私の寝具を置いた。私はそこに入ってベッドに横たわった。

それからこの若者―どうやら20代前半のようだが少年のような外見であった―は、マクスウェルの家に向かって、マクスウェル夫人に私のことについて話した。彼女は善良で親切な女性であり、私の状態を知ると、自ら私を見に来た。彼女は若者にスポンジを持って来させて私の顔を丁寧に拭った。それから彼女は私が健康になるまで面倒を見てくれた。その仕事には5、6日要したが、 私の顔はいつもと同じような状態になった。

それが私がビリー・ザ・キッドに初めて会った時のことである。それまで私は彼について聞いたことがなく、もちろん彼を見たこともなかった。起き上がって周辺をぶらつこうと思い始めた私は、私のために手に入れるはずだった帽子についてトム・ノリスに聞いた。

「あのな、ジョン、ここでは帽子が見つからなかったよ。誰も帽子を被っていないようだしな」

我々が話しているのを聞いていたビリー・ザ・キッドは「俺のをやるよ」と言ってその通りにして、彼が持っていたステットソン帽[カウボーイが被るつば広で山の高いフェルト帽]をくれた。 キッドは数日間その辺りにいて、私がきちんと食べているか、私の顔に治療が施されているか毎日、確認しに来た。私はすぐに立ち上がって周辺を歩けるようになった。その間、ビリー・ザ・キッドは、ピート・マクスウェルの羊飼いたちとモンテ賭博をやっていた。それは彼の得意なゲームであり、モンテの腕前にかけては一流だった。

キッドと私は互いによく知り合うようになった。彼が木の下に横たわっていた私を発見した日に彼もフォート・サムナーに来たばかりだったとわかった。我々は違う方向からやって来た。私は9時から10時に6マイル[約10km]から7マイル[約11km]北のサニーサイドからここにやって来た一方、キッドは11時に南のシダー渓谷からやって来た。

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