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草露 文(あや)
2024年3月15日 01:26
四月三十日。厚い雲が所々に散らばり、太陽が見え隠れしている朝。青年は起きて、洗面と朝食を軽く済ますと、宿を出て一目散に貸本屋へ向かった。そこには去年この村を訪れた際に置いてきた、自作の本があるはずだ。それが今どんな状態になっているのかを知るために調べに来たのだ。 貸本屋の店主が言うには状態はかなり悪くなっているそうだ。「それも歴史の一頁、と思ってまだ置いてるんだが……」と店主の声。それだけ多く