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草露 文(あや)
2023年1月7日 01:12
冬の君は静かに笑う寒椿。 枯れ野見なぞ誰がするものかと思うたが、君がそこにいるとなれば話は別であった。 冷ゆる天地。晩冬を迎え、厚い布団を抱えた空に光芒を見る。辺りの山々が眠る中、僕は山間の集落の外れにある人気の全く無い、冬木立に囲まれた茅場に足を踏み入れた。穂の薄くなったススキの群れが、吹く風に微かに音を立てながら揺れ動いている。「今日はあの子が来るよ」「いやいや、あの子ならもうそこに