Messariレポート:Filecoin 2023Q3の現状
ハイライト
Filecoinのストレージ市場は2023年第3四半期も成長を続け、アクティブな取引は前四半期比45%増、前年同期比では10倍近く増加した。同時に、Filecoin のストレージ容量は前四半期比10%減少し、ストレージ利用率は第2四半期の約8%から約13%に増加した。
第3四半期末時点、約1,900の利用者がFilecoinにデータセットを保管している。このうち、422件が大規模データセット(ストレージサイズ1,000 TiB以上)をオンボードし、前四半期比25%増。
プロトコルのストレージ使用料からの収益は、第3四半期にはFIL建てで68%減少(米ドル建てでは73%減少)し、分散型クラウドストレージ業界の全体の需要側の収益減少と一致した。
ファイルコインバーチャルマシン(FVM)はEthereum式のスマートコントラクトを導入し、リキッドステーキング、データの永久保存、分散型コンピュートなどの新しいユースケースを可能にした。FVM上DeFi純預入額と純借入額の両方が第3四半期に持続的に増加した。
FVM上でのUniswapの構築は、Filecoinネットワーク上に構築されたDeFiサービスの新たなフェーズになるだろう。
Filecoinの基礎知識
中央集権的なデータストレージに利用することには大きな欠点がある。それは、保存されたデータの整合性をシステム的に検証することが難しいということだ。Filecoinのストレージネットワークは、Amazon S3のピアツーピア(P2P)版と言える。これはInterPlanetary File System(IPFS)の上に構築されて、Filecoinネットワークの分散データストレージおよび共有レイヤーとして機能する。Filecoinはストレージを定期的に検証し、固定的な料金体系ではなく、需要と供給の変化に基づいてストレージの料金を決める取引仕組みとなる。
ストレージ取引はサービスレベルアグリーメント(SLA)を伴う契約のようなもので、ユーザーは指定された期間でデータを保存するために、ストレージプロバイダーに料金を支払う。データの安全性を守るため、Filecoinはゼロ知識証明でストレージを定期的に検証し、暗号資産のインセンティブ制度を導入している。ストレージ取引に参加するストレージプロバイダーにインセンティブを与えるため、FilecoinはネットワークのネイティブトークンであるFILを報酬として配布する。また、ストレージプロバイダーは約束した稼働時間を提供できなかったり、ネットワークに対して悪意ある行動をとったりした場合には、罰金される。
データを取得するために、ユーザーはまた取得プロバイダーに料金を支払う。オンチェーン取引を伴うストレージ取引と異なり、所得取引はオフチェーンで決済するため、より迅速な取得が可能になる。
2023年3月のファイルコインバーチャルマシン(FVM)のローンチにより、Ethereum式のスマートコントラクトが導入され、リキッドステーキング、永久ストレージ、分散型コンピュートなど、Filecoin上での新たなユースケースが可能になった。
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主要指標
パフォーマンスの分析
Filecoinネットワークは、両者によるデータを分散保管される:
需要側、つまりデータのストレージが必要とする利用者
供給側、つまりネットワークの容量を提供するストレージプロバイダー
利用/Usage
ストレージ利用者とストレージプロバイダー間のアクティブな取引で保存されているデータ量をみると、Web2とWeb3の両方の利用者からFilecoinストレージが需要と推測できる。
ストレージの取引/Storage Deals
23年Q3において、Filecoinはアクティブな取引の増加によって分散型ストレージの普及を継続した。23年Q3には、アクティブな取引を通じて1,400 PiB近くのデータがFilecoinネットワークに保管され、23年Q2の945 PiBから45%増、22年Q3の151 PiBから前年同期比約10倍増となった。
アクティブなストレージ取引をユースケース別に見ると、Filecoin Plus を最も活用している業界はテクノロジー(35%)と天然資源(31%)であることがわかる。アクティブな取引を促進するため、FilecoinはSingularity.Storage、NFT.Storage、Web3.Storageを含む一連のサービスを提供している。
同時に、1日当たりの新規契約件数は(前四半期比6%増)、加速な成長を遂げた23年Q2(前四半期比47%増)と比較すると、鈍化している。新規案件の増加はFilecoinネットワークの利用率の増加に関連している。一方、新規案件の伸びの鈍化は、ストレージプロバイダーに対する報酬の全体的な減少に関連している(「供給側の収益」のセクションで記述)。
ストレージの利用率と容量/Storage Utilization vs. Capacity
利用可能な総ストレージ容量に対するFilecoinのストレージ利用率は、23年Q2の7.6%から12.6%に増加した。この増加は、アクティブな取引による Filecoinの利用が増やしたという意味ではポジティブなサインであるが、ネットワークの総ストレージ容量との関連性も考慮しなければならない。
23年Q3では、Filecoinの平均ストレージ容量は前四半期比12%減少し、約11EiBまで落ち込んだ。この指標は約1年前、22年Q3に約17 EiBと過去最高を記録した以来、徐々に減少していた。
ストレージ容量の減少は、ストレージプロバイダーの総数の減少にも影響されている。22年Q3に史上最高の 4,100 社以上に達した後、この指標は継続的に減少し、23年Q3末には 3,400 社以上となった。ストレージ容量の減少に対し、ストレージプロバイダーのサービス開始を簡易化させるため、Filecoinはservers.com と提携し、データセンターを従量で提供している。この提携により、新規ストレージプロバイダーがサービス開始までの時間をおおよそ6~12ヵ月から6~8週間へ、最大75% 短縮することを目指している。
ストレージの利用者/Storage Clients
Messariの分散型ストレージネットワークに関するガイドによると、Filecoinは現在、企業や開発者にコールドストレージソリューション(アーカイブやリカバリなどに使われる)に適している。競争力のある料金と簡易なアクセスは、大量なアーカイブデータを保存するために費用対効果の高い方法を探しているWeb2利用者にとって、魅力的な選択肢である。
23年Q3末時点で、合計1,891の利用者がデータセットをFilecoinに保管している。そのうち422件が大規模なデータセット(ストレージサイズが1,000 TiBを超えるデータセット)をオンボードし、23年Q2の338件から25%増加した。同時に、総アップロード量が100 TiBを超える利用者の割合は、前四半期比で17%増加し、6月の570件から 9月には666件になった。
Filecoinのクライアントエクスプローラーによると、主要な利用者トはニューヨーク市やUSCショア財団から、OpenSeaやレイヤー1ネットワークSolanaのようなWeb3プラットフォームまで多岐にわたる。さらに注目すべきFilecoinを活用するプロジェクトは以下:
ビクター・チャン心臓研究所が研究データの保護と共有
民主主義図書館、インターネット・アーカイブが運営終了に伴い、アーカイブデータセットの保存
SETI研究所は天文研究データの保存
UCバークレー校の物理学研究資料の保存にSeal Storageを利用する
GenRAITがEstuaryを活用し、重要なゲノミクスデータを Filecoin に保管
Starling Lab研究センターが人類史の機密なデジタル記録の保管
Ewesion(中国で最も急速に成長しているグラフィックファイルのホストサービス)データ保存に Filecoin を利用する
Filecoin ネットワークを活用した利用者の一覧は、こちらから確認できる。
データ取得/Retrievals
ストレージの取得ニーズに応えるため、FilecoinとIPFS専用のコンテンツデリバリーネットワーク(CDN)(Project Saturnという)が現在開発されている。Saturnは、Filecoinの取得市場で高速かつ低コストのコンテンツ配信サービスを提供することを目指している。検索要求を満たすため、ノードオペレーターに毎月約30,000 FIL賞金からFILを配布するインセンティブを設けている。
Saturnの目標は、Web2とWeb3の両方のユースケースに対して信頼性の高いコンテンツ取得サービスを提供することだ。大部分のデータはIPFSからミラーリングされ、取得のスピードとパフォーマンスを向上させることに重点を置いている。Saturnの分散型CDNの詳細、現在までの推進状況、ロードマップについては、こちらをご覧ください。
23年Q3末現在、全世界で1,800以上のノードが存在し、地理的には以下のように分布している:
欧州: 766ノード(42%)
北米: 531ノード(29%)
アジア: 409ノード(22%)
その他: 120ノード(7%)が南米、アフリカ、オセアニアに分散
Saturnのノードパフォーマンス概要は、ダッシュボードでご覧ください。
FVMの利用/FVM Usage
23年Q1の終わりにリリースされたファイルコインバーチャルマシン(FVM)は、FilecoinにEthereum式のスマートコントラクトを対応できるようになった。リースとステーキングのアプリにより、ストレージプロバイダーはFILの利用が拡大し、データのオンボーディングがより効率的になることが可能になった。2023年9月30日現在、2,000以上のユニークなコントラクトがFVM上にデプロイされ、160万以上のトランザクションが生成されて、56万人以上のユニークユーザーが使用している。
FVMのエクスプローラーによると、FVM開始以来9月30日まで、2,900を超えるステイカー(Staker)から約900万FIL(約3,000万ドル)をDeFiに預かっている。同時に、純借入額は680万FIL(約2,300万ドル)に達した。23年Q3には、純預金と純借入金の両方が持続的に増加した。月次ベースでは、9月に月間純預金残高が360万FIL(1,200万ドル超)、借入金残高が240万FIL(800万ドル超)となり、いずれも過去最高を記録した。
FVM DeFiのリーダーボードによると、預金の分布は以下の通りである:
FVMの立ち上げ以来、預かったFILが増加した影響で、FVMにUniswapを構築する提案を通った。Filecoinメインネット上でUniswapをデプロイすることは、FVMのDeFiサービスの新しいフェーズの到来を告げるものと期待されている。Filecoinが新しいユーザーを獲得し、価値あるデータセットを保管し続けるに繋がり、FVM上でデータ関連の新たな収益モデルが可能にさせる基盤と見られている。
収益/Revenue
Filecoinの収益モデルはEthereumに近い、取引手数料の仕組みがEIP-1559メカニズムに似ている。このガスシステムは、使用されたリソースを補償するためにネットワーク手数料がバーンされる。ストレージ利用者とストレージプロバイダーの両方がプロトコルの収益を生み出している。
プロトコル収益/Protocol Revenue
Messariの収益分析によると、Filecoinのプロトコル収益は以下である:
基本料金(Base fees) - ネットワークの混雑状況によって決定され、全てのストレージ検証に必要とされる
バッチ手数料(Batch fees) - ストレージプルーフをバンドルするために使用される
過大の手数料(Overestimation fees) - ガスの使用を最適化するために必要な費用。
ペナルティ手数料(Penalty fees) - ストレージプロバイダーが悪さした場合に徴収される
Filecoinストレージの需要が増加し続ける一方で、FIL手数料からのプロトコル収入は23年Q3に69%減少し、80万FIL(米ドルベースで73%減の3.1百万ドル)となった。Filecoinプロトコル収益の減少は、分散型クラウドストレージ業界全体における需要側収益の減少と一致している。
Filecoinのプロトコル収益減少の主要な要因は、需要側の基本料金は前四半期比FIL建てで72%減となっている。Filecoinは分散型ストレージのコストを40%削減するために設立したDSA(Decentralized Storage Alliance)などを通じて、ネットワーク上のデータ保管のコスト削減に積極的に取り組んでいる。基本料金の減少に伴い、プロトコル収益を構成するその他のFIL手数料(ペナルティ手数料、バッチ手数料、過大評価手数料)も前四半期比で減少した。FIL手数料のうちプロトコルでバーンされない唯一の部分は、ブロックマイナーが収集された「tip」である。「tip」は、ネットワークの供給側(ストレージプロバイダー)で取引の優先順位を調整するために使用される。したがって、「tip」は供給側の収益としてカウントされる。
供給側収益/Supply-Side Revenue
Filecoinの供給側の収益は、以下から構成される:
ネットワークからストレージプロバイダーに分配するブロック報酬
利用者との契約で決められたストレージ取引の料金
トランザクションをスピードアップするための「tip」
23年Q2では、ブロック報酬が供給側収益の99.9%以上を占め、「tip」はごく一部に過ぎない。新しいFILトークンの発行メカニズムは、以下の両方に依存する:
指数的減衰モデル(トークン供給の30%): 参加者を刺激するためにブロック報酬は当初最も高く、時間の経過とともに指数的に減少する。
ベースラインモデル(トークン供給の70%): ブロック報酬はネットワークのストレージ容量の成長に応じてインデックス化される。
これら2つのモデルを組み合わせることで、Filecoinはネットワークの初期段階でブロック報酬を分配した後も参加を維持することができる(指数的減衰モデルを参照)。また、ストレージ容量の増加を通じてネットワークに生み出された付加価値に継続的に報酬を与えることができる(ベースラインモデルを参照)。
供給側のFIL収入は23年Q2に16%減で、1,480万FIL(米ドルベースでは34%減)となった。この減少は、指数的減衰モデル、また主にベースラインモデルによるFIL報酬発行の全体的な減少によるものである。FIL発行の減少は、今後数四半期も続くと思われる。将来のFIL発行に関する細かい議論とさまざまなシミュレーションについては、FILの流通供給に関するMessariの近日の調査を参照してください。
エコシステム全体/Ecosystem Overview
Filecoinのエコシステムは、積極的に開発者を育成してきた。ハッカソンやアクセラレーターに定期的に開催し、Protocol Labsまた関連団体から初期段階のプロジェクトやチームに資金提供するよう支援している。エコシステムは、データインフラ、メディアストリーミング、メタバース、ゲームなど、さまざまなユースケースを取り込む方向でエコシステムが構築されている。
事例/Use Cases
2023 年 9 月現在、Filecoinエコシステム内では 100 以上のプロジェクトが開発されている。Filecoinを活用するプロジェクトの大半は、データサービスを提供するものとなる:
Banyan: Web2に近いストレージ機能.
Ocean Protocol: データマーケットプレイスのための開発者ツールとプラットフォーム
Numbers Protocol: データの整合性を維持するサービス
Berty: セキュアなメッセンジャーとソーシャルメディアのためのプロトコル
Dether: キャッシュオン/オフのランプと多様な金融取引サービス
Tableland: 分散型クラウドデータベース
メディアとエンターテインメントに特化したサービスは以下の通り:
Mona: メタバース上の3Dアートギャラリー
NFTwitch: TwitchコンテンツのNFTを作成するプラットフォーム
Huddle01: 分散型ビデオ会議サービス
OP Games: ゲーム内でNFTを作成するサービス
FileMarket: Web3のオンラインショップとマーケットプレイス
Xone: アーティストとファンをつなぐメタバースソリューション
Filecoinインフラを活用し、非常に特殊なデータニーズに対応することを目的とした利用例もいくつかある:
Koios: ノーコードなデータDAOプラットフォーム
Cryptosat: ミニ衛星を使用して、サイドチャネル攻撃を防ぎ、安全な検証を可能にするサービス
Bela Supernova: 患者の健康データを保存するサービス
Slate: 個人データの取り扱いと共有のための検索エンジン
ZKsig NFTs: マーケットプレイスへのアクセス制御機能を提供するサービス
DataMarket: データの購入とチェックアウトサービス
FVMを積極的に活用しているスタートアップには以下のようなものがある:
STFIL: Filecoinのリキッドステーキングとレバレッジファーミングプロトコル
Lighthouse: 一回の払いで永久のデータストレージサービス
GLIF: Filecoinネットワークのための開発者向けツール
MineFi: ストレージプロバイダー向け収益プラットフォーム
ZKAmoeba: zk技術を使ってFilecoinをスケールさせるレイヤー2プロトコル
Filecoin エコシステムで構築されているプロジェクトの一覧は、こちらをご覧ください。
アクセレーターとハッカソン/Accelerators & Hackathons
Longhash VenturesのWeb3アクセラレーターの一部門であるLongHashXは、Protocol Labsと提携し、FVMに特化した分散型アプリの開発者を支援する「FVM Genesis Cohort」を開始した。
分散型ストレージプロバイダーアクセレーター(DSPA)は、アジアにおける6ヶ月のプログラムである。このプログラムを通して、Filecoinネットワーク上の分散型データ事業の参入を目指すストレージプロバイダーにトレーニングとサポートを提供する。
エンタープライズストレージプロバイダーアクセレーター (ESPA) は、分散型ストレージプロバイダーへの参入を目指す個人を対象に、技術セッションとビジネスセッションの両方を含む7か月間のトレーニングを提供する。
HackFSは、EthereumエコシステムでWeb3インフラとアプリケーションを構築するスタートアップを対象とした賞金15万ドルのハッカソンプログラムである。
Open Data Hackは、Filecoinコミュニティで開発しているプロジェクトを対象とした技術ワークショップと賞金を提供する3週間のオンラインハッカソンである。
定性的分析/Qualitative Analysis
リリース
V21ネットワークアップグレード
Filecoinのコア開発者は、次期 V21 ネットワークアップグレードである Watermelon のタイムラインとスコープを提案した。メインネットのアップグレードは、2023年12月12日に予定されている。以下の改善案(FIPs)がアップグレードの対象となる:
FIP0052: 最大セクターコミットメントを3.5年に増加
FIP0057 Update: バッチバランサーパラメーターの再較正
FIP0063: 新しいドランドメインネットネットワークへの切り替え
FIP0065: デフォルトのマーケット内に循環供給計算におけるロックされたバランスを無視
FIP0070: ストレージプロバイダーが期限間でパーティションを移動できるようにする
Venus V1.13 シリーズ
Venus V1.13.0が2023年8月30日にリリースされた。このリリースでは、Goの最低バージョンが1.19に更新され、issueテンプレートのenhancement.ymlが更新され、メッセージと取引のクエリパラメータが追加された。変更点の詳細はリリースノートに確認ください。
FilscanのUIと指標の調整
Filscanは、以下を含むいくつかのアップデートと機能強化をする予定:
UI を全面的にアップグレードし、ユーザーにより良い製品体験を提供する。
ストレージプロバイダーおよびファイルコインバーチャルマシン(FEVM)データに応じてデータとメトリクスの調整。
主要な活動
BraveまたECCとのパートナシップ締結
Brave、Electric Coin Co.(ECC)、は、Braveブラウザのプライバシー機能を強化するためにFilecoin Foundationと提携した。ZcashプロトコルをBraveの暗号ウォレットに統合し、ユーザーがZECや他の暗号通貨を安全に管理できるようにする予定がある。さらに、IPFS(InterPlanetary File System)が暗号化されたコンテンツの安全なストレージを提供することで、Zcashプロトコルを使用したセキュアなメッセージとメディアの送信するため、プライバシー機能に取り組んでいる。
Consensysスケールプログラム
Protocol LabsとConsensysは提携し、シードからシリーズA段階のベンチャーを支援するためのConsensys Scale Programを開始した。このプログラムは、プロジェクトの推進、チームの構築、機関投資家から資金調達、サービスの市場適合性の向上などを支援範囲としている。
Filecoinのマイニングとステーキングサービス
マイニングマシンの大手メーカーであるBitmainは、1ユニットあたり約40,000ドルの新モデルでFilecoinマイニング事業に参入始まった。ユーザーはBitmainのマイニングプールプラットフォームAntpoolでマシンをホストし、Filecoinの報酬を得ることができるになった。さらに、Bitmainは0.5%の月額料金でFilecoinのステーキングサービスを開始し、ユーザーはAntpoolのようなサードパーティにトークンを委任することができるになった。背景として、Filecoinのストレージプロバイダーはストレージ容量に基づいてマイニング報酬を獲得し、トークン保有者はコンセンサスとガバナンス報酬のためにFIL トークンをステークすることができるのだ。
結論
Filecoinでのストレージ利用率は第3四半期に加速度的に増加し、アクティブなストレージ取引は前四半期比45%、前年同期比約10倍に増加した。Filecoinネットワーク上で大規模なデータセットを保管する利用者も前四半期比25%増加した。ストレージ容量は前四半期比10%減少したが、ストレージ利用率は第2四半期の7.6%から第3四半期には12.6%に上昇した。分散型クラウドストレージの需要側の収益が全体的に減少したのと共に、ストレージ使用料の収益は23年Q3にFIL建てで68%減少した(米ドル建てでは73%減少)。
ファイルコインバーチャルマシン(FVM)はEthereum式のスマートコントラクトを導入し、リキッドステーキング、永久ストレージ、分散型コンピュートなどの新たなユースケースを可能にした。第3四半期は純預入額と借入額の両方が持続的に増加した。FVMにUniswapを構築することは、Filecoinネットワーク上のDeFiサービスの次のステージになると期待される。
Filecoinが新たなユーザーを獲得し、価値あるデータセットを保管し続けるにつれて、データに関する収益モデルを可能にするFVMユースケースを増やしていくだろう。良い例としては、永久ストレージ(Arweaveに類似)、ストレージプロバイダーへの担保付きローン、分散型コンピュートなどがある。Filecoinが需要を取り込み続ければ、Web3や従来のサービスの分散型ストレージやクラウドサービスの大手プロバイダーになる可能性がある。