初心者向けD&D呪文用語解説
「初心者向けD&D用語解説」呪文用語編です。
5版の日本語展開凍結が発表されてモチベーションだだ下がりしてますが、なんとかまとめました。
相変わらずTwitterで書き溜めたものの加筆修正版です。
初心者向けD&D呪文用語解説…の前にお気持ち表明
5版は全体的にルールが軽量化されており、初心者におすすめしやすくて嬉しいのだが、こと呪文使いクラスとなると、そのルールの分量ゆえ初心者に敬遠されやすい傾向があって辛い。
これでも昔の版に比べると、ずいぶん呪文のルールも簡略化されたんだけどね…。
なんといってもあの、やたら呪文数の多い呪文リストがいけない。
初心者にあれをみせたら、それだけで2時間くらい悩む事になりそう。
クラシックD&Dの頃のように、1レベル10個前後くらいにまとめてくれればよかったのに…と今でも思っている。
あと細かなルールが多すぎるのがね…。
精神集中、構成要素、習得呪文と準備呪文、儀式…など、覚える事が多いのも、敬遠されやすい理由の1つではないかと推察している。
ここらへんは、4版方式で良かったじゃん…?と思う事が多い。
精神集中だけは、5版のルールはとてもいいとは思うのだが、パッと見、どれが精神集中が必要でどれが不要なのか、分からんのが辛い。
呪文レベル
無印用語解説で書いたが、復習。
呪文レベルは呪文自体のレベルであり、キャラクターレベルとは独立している。
呪文レベルは1〜9まである(それと0レベル)。
初級呪文(0レベル)はリソースなしに何度でも使えるが、それ以外は呪文スロットを消費する。
新しい呪文レベルの呪文を使えるようになるクラスレベルは、
呪文 クラス
1 1〜
2 3〜
3 5〜
4 7〜
5 9〜
6 11〜
7 13〜
8 15〜
9 17〜
となる。
発動できる呪文の選択
あるキャラが発動できる呪文を選択するルールは、実はクラスによって異なる。
「準備呪文」を使うクラス(ウィザード、クレリック、ドルイド、パラディン)と「習得呪文」を使うクラス(それ以外)に分かれる。
準備呪文
このルールを用いるクラスは、大休憩終了時に自分のクラスの呪文リストから、準備呪文を再選択する事ができる。
このリストはルールブックに載っている(使うことのできるクラス/レベルの)呪文全てとなる。
ただしウィザードだけは例外で、呪文リストは自分の呪文書にあるもののみとなる。
ウィザードの呪文書の呪文は、作成時に6つ、レベルアップ毎に2つ選択できる。
また、他人の呪文書を書き写す事で、呪文を増やす事もできる。
ただし、準備呪文のルールを使うクラスも、初級呪文についてだけは「習得呪文」のルールを用いることになる。
習得呪文
このルールを用いるクラスは、作成時及びレベルアップ時に、習得する呪文を選択する。
レベルアップ時にある程度、習得呪文を入れ替えられたりもする。
しかしそれ以外に、使用できる呪文を再選択する機会はない。
習得できる呪文数は、クラスによってまちまち。
呪文スロット
「スロット」というと、そこに呪文をセットするようなイメージを持つが、要はMP。呪文を使用する際に消費するリソースのことである。
D&Dの呪文リソースである呪文スロットは、レベル毎に値が分かれている。
例えば、3レベルウィザードは、1レベルスロットを4、2レベルスロットを2、持っている。
よって、1レベル呪文を4回、2レベル呪文を2回、使うことができる。
FF1・3やウィザードリィ式と言えば分かる人は分かってくれるだろうか。
ただしウォーロックだけは例外で、「そのレベルで使える最高レベルの呪文スロット」だけを持つことになる。
例えば、3レベルウォーロックは、1レベルスロットは0、2レベルスロットのみ2、となる。
基本的に、ある呪文を使うには、同レベルの呪文スロットを1つ消費しなければならない。
初級呪文だけは、呪文スロットの消費無しに何度でも使える。
呪文を使うのに、より高いレベルのスロットを消費した場合、「高レベル版」で発動したとみなされて、呪文の効果は強くなる。
具体的にどう強くなるかは、個々の呪文の説明を参照の事。
そもそもなんで呪文を使用するリソースに「呪文スロット」という名称がついているかというと、昔(3版まで)は、呪文スロットに呪文を準備するというシステムだったからである。
例えば、1Lv×3、2Lv×2のスロットを持っているウィザードは、朝起きたら呪文スロットに呪文を準備する。
1Lvはグリース×2とマジックミサイル、2Lvはグリッターダストとインビジビリティ、といったふうに。
そして、呪文を使う際は準備していた呪文を使用する。
使用した呪文は消えるので、再び準備するまで使えなくなる。
上の例だと、グリースを1回使ったら、あと1回しか使えない。マジックミサイルを1回使ったら、もうマジックミサイルは使えない…といった感じ。
3版でソーサラー型呪文クラスが登場して、用語名と実際の用途に剥離が生じた。
5版になって、呪文スロットに呪文をセットする、ということはなくなったので、本当なら用語を変えてほしいところなのだが、そのまま残っている。
初級呪文
リソースの消費なく何度でも使える呪文。
0レベル呪文ともいう。
それ相応の強さだが、それなりに役立つものも多い。
儀式
ディテクト・マジックやコンプリヘンド・ランゲージなど、ある特定の呪文は、時間をかけて発動することで(具体的には+10分)、呪文スロットを消費せず使うことができる。
この種の呪文には、呪文の説明欄に(儀式)タグがついている。
儀式を使えるクラスは決まっている(各クラスの項参照)。
基本的には、ウィザード、クレリック、ドルイド、バードのみ。
儀式を使うには当たり前だが、その呪文を習得または準備して、使える状態にしている必要がある。
ただしウィザードは例外で、呪文書に書いてさえあればよい。
構成要素
D&Dの呪文は、構成要素が足りていないと使うことができない。
構成要素は、音声(呪文を唱える声)、動作(手による身ぶり)、物質(呪文を発現させる触媒)の3つがある。
呪文によっては全部必要ではないものもある。
音声要素
呪文を使う際の、音声の部分。
例えばさるぐつわをはめられて声が出せなかったりすると、音声要素を満たすことはできない。
カウンタースペルなど、音声要素が必要ない呪文もある。
動作要素
呪文を使う際の、動作の部分。
最低限、片手が空いていないとこれを満たす事はできない。
よって、片手に武器、片手に盾を持っている呪文使いは基本的に、この要素を満たせない。
ヒーリング・ワードなど、動作要素が必要ない呪文もある。
物質要素
呪文ごとに、その呪文を使うのに必要な触媒を求められる。
例えば、スリープの呪文を使うには「少量の細かい砂、バラの花びら、あるいはコオロギ1匹」が必要になる。
物質要素が必要ない呪文もある。
呪文ごとにいちいち物質要素を準備・管理しているとルールが重くてやってられないので、それらが準備されている「呪文構成要素ポーチ」を持っていれば、それを用意しているとみなされる。
また、呪文発動の焦点具でも代わりになる。
ただし価格が書いてある物質要素は、それをキチンと準備する必要がある。
物質要素は、もし呪文の説明に「消費される」と書いているなら、使ったらなくなる。
そうでないなら何度でも使える。
例:アイデンティファイを使うには100gpをかけて真珠を用意する必要がある(フクロウの羽根はポーチor焦点具で代用が効く)。
消費はしないので、何度でも使い回せる。
物質要素を使うには片手が空いていないといけない。
ただし、動作要素を満たす手と同じ手で使用可能である。
呪文発動能力値
各クラスごとに、呪文のセーヴ難易度や攻撃ボーナスを算出するのに用いる能力値は違う。
これを呪文発動能力値という。
具体的には、
ウィザード、エルドリッチ・ナイト、アーケイン・トリックスター:【知力】
クレリック、ドルイド、レンジャー:【判断力】
ウォーロック、ソーサラー、バード、パラディン:【魅力】
呪文セーヴ難易度
大抵の呪文は、セーヴィング・スローで効果の一部もしくは全部を避けることができる。
そのセーヴの難易度は術者側によって決まる。
呪文のレベルによらず、呪文セーヴ難易度は
8 + 呪文発動能力修正値 + 習熟ボーナス
となる。
基本値が10ではなく8であることに注意!
呪文攻撃ボーナス
呪文によっては、防御側のセーヴではなく、術者が攻撃ロールを振って、当たったかどうかを決めるものもある。
この時の攻撃ボーナスは
呪文発動能力修正値 + 習熟ボーナス
となる。
精神集中
昔の版では、バフ(強化)呪文はいくらでも重ねる事ができ、高レベルになると処理が重くなり大変になるという問題があった。
そのため5版では、そういった呪文は「精神集中」が必要であり、一度に2つ以上維持する事はできないようになった。
バフや状態異常呪文など「戦闘中に使う持続時間のある呪文」は大体、精神集中が必要である。
そして精神集中呪文は、術者毎に1つしか維持できない、というルールになっている。
(俗に「精神集中枠」などと呼ばれる)
ただし、効果時間が「一瞬」「永遠」以外の全ての呪文が、精神集中が必要なわけではない。
特に精神集中が必要/不要な呪文を見分ける法則があるわけでもなく、それぞれの呪文の説明を読む必要がある。
精神集中は、
・別の精神集中が必要な呪文を使う
の他に
・ダメージを受けて精神集中を切らす(【耐】セーヴで維持可能)
・無力状態や死亡など精神集中不可能な状態になる
でも途切れる。
魔法の系統
呪文はその効果によって、8つの系統のどれかに分類される。
ウィザードはその8系統のいずれかの学派を選ぶ事になる。
また、エルドリッチ・ナイトやアーケイン・トリックスターは、覚えられる呪文に系統の制限がある。
それ以外のクラスは、呪文の系統が実際に関わってくることはほとんどないので、忘れていい。
それぞれの系統に含まれる呪文の例
幻術:幻影など
召喚術:召喚、瞬間移動など
死霊術:アンデッド、蘇生呪文など
心術:魅了、精神操作など
占術:感知呪文、情報など
変成術:変身、強化など
防御術:防御呪文など
力術:直接攻撃呪文、治癒など