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年日(とぅしびー)元日の翌日から琉球人の誕生日が始まります#28

今日2024年2月11日(月曜)やうちなー暦(旧暦)1月2日、巳(みー)ぬ日やいびーん(です)。

そして、今日から琉球人の誕生日が始まります。

それは年日(とぅしびー)と言い、旧暦元日の翌日、つまり1月2日から13日まで、自分の生まれた年と同じ十二支の日を祝うことです。

今年の旧暦1月2日は巳の日なので、巳年生まれの人は年日を家族などが小さく祝います。

さらに明日は旧暦1月3日午の日なので、午年生まれの人も小さくお祝いをします。

続けて、4日、5日、、、と上記同様小さなお祝いをします。

そして新暦2月22日(日)は旧暦1月13日で、今年の十二支「辰」と重なるので、この日は盛大にお祝いします。

その年の十二支自分の生まれ年の十二支が重なった日を
首里言葉では
生まり年(ぅんまりどぅし)もしくは
生年(そーにん)と言い、

那覇言葉では
当たい年ぬ年日(あたいどぅしぬとぅすびー)とか
生まり年ぬ年日(ぅんまりどぅしぬとぅすびー)と言い盛大に祝います。

那覇言葉では他にも色々言い方があるので首里言葉の
年日(とぅしびー)生まり年(ぅんまりどぅし)を用います。

ちなみに、私の叔父は昭和23年那覇生まれで、15歳まで自分の誕生日を知らなかったそうです。

当然誕生日などは周囲の友達も祝っていなかったと言っていました。

おそらく戦後、米軍の影響で昭和30年代頃から誕生日という概念が琉球社会に浸透したのでしょう。

誕生日を祝うという習慣は琉球社会ではまだ60年くらいの歴史なのです。

それまでは年日と生まり年が本来の琉球社会の誕生日でした。

ただし、その年日も生まり年も61歳以上の方を主に祝ったようです。

例外は生まれてから最初の生まり年に当たる13歳のお祝いです。

十三祝と言って次の生まり年にあたる25歳には特に女性は嫁いで家にいなくなるという昔の考え方があり、大きく盛大に祝います。

そして25歳、37歳も一応生まり年のお祝いの対象ですがほとんど行われず、その次の49歳は特別な呼び方「くくぬとぅぐじゅー」と言い多少は祝い、その次の61歳は盛大に祝い、さらに73歳も85歳も盛大に、最後の97歳は特別な呼び方「かじまやー」と言いますが、盛大どころか地域全体で祝う祭り的なものになりますね。

ちなみに、古希は70歳の日本のお祝いで琉球の73歳の生まり年とは関係ないです。さらに88歳の斗掻(とーかち。米寿)も生まり年ではありません。

話しを戻して、元日はお正月なので年日や生まり年のお祝いは行わず、したがって旧暦1月2日から13日までの12日間、リオのカーニバルよろしく、毎日12日間琉球中、連日誰かの家でパーティー、パーティーだったのです(笑)

と現代風にはそう表現できるでしょうけれど、実際にはかなり慎ましく行われていたようです。

ここで述べたいのは、西洋式の誕生日も素晴らしいのですが、年日・生まり年が琉球では歴史があり、17世紀頃の文献にもあるので400年近くも行って来ているのです。

それなのにわずか60年くらいの歴史しかない西洋式の誕生日のみを祝うのは琉球の歴史を無視しているとは思いませんか?

旧暦のお正月もほとんど祝わない、年日や生まり年も良く知らない。

しかしながら、バレンタインデーやクリスマス、ハロウィンは知っているどころか毎年欠かさない、という外国の、西洋の行事や習慣は積極的に行うが、琉球の本来の慣習には見向きもしない我々琉球人。

こう書くと琉球の年日や生まり年も、もとは中国文化からの影響でオリジナルではないのではとの反論もあるでしょう。

確かにそうです。

だからこそ私が言いたいのは、せっかく琉球はチャンプルー文化なのだから、西洋式の誕生日も行い、年日や生まり年も同様に祝う。

旧暦の1月2日から13日までの12日間、毎日誰かの年日が行われる!

ステキです。

これを大きな行事にし、西洋人に琉球式の誕生日も試してみてはと積極的にこちらの文化も伝えましょう。

そうすることが真のお互い対等の文化交流だと言えるのではないでしょうか。

西洋人に年日・生まり年を教える前に我々琉球人がまずは復活させないとですけど。

最後に提案。

近年、73歳の生まり年はあまり祝いませんが、かろうじて85歳と97歳は祝います。

けれども13、25、37、49、61歳も現代式のアレンジでパーティーをホテルやレストランなどで盛大に行いましょう!

しかしながら問題は「年日」です。

この旧暦1月2日から13日まで毎日連続して行うという小さなお祝いは現在まったくといって良いほど行っていません。

これを大きく宣伝し、「年日自宅パーティー」とか、「第二の誕生日」など、皆が喜びそうな名前を付けて行うことを私は強くおすすめしたいです。

そしてお祝いの呼称ですが
年日のお祝いは
年日祝(とぅしびーゆーをぇー)と言い、
生まり年のお祝いは
生年祝(そーにんゆーをぇー)ともいうことを記しておきます。

ところでトップの写真ですが、戦前の琉球美人女性のスナップです。年日や生まり年とは特に関係ありませんが、こういう着物を着て12年に一度の生まり年のお祝いに写真を撮るのも素敵ですね。



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