プレゼンテーション◆Figurout・ログミーFinance共催セミナー「データの力で企業価値の可視化を―IR施策の数値的効果/株式市場へのインパクトの把握」
2024年2月27日に行われた、Figurout・ログミーFinance共催セミナー「データの力で企業価値の可視化をーIR施策の数値的効果/株式市場へのインパクトの把握」へ沢山の方にご参加頂きありがとうございました。
イベントでのFiguroutプレゼンテーション・パートを書き起こしでお伝えします。
なおイベント全体の書き起こしはログミーFinaceでご覧になれます ⇒ コチラ
◆動画は下記 youtube からどうぞ。
スピーカー
1:ログミー株式会社 CRO Finance事業本部本部長 富山蔵人 氏
2:株式会社Figurout CEO / Founder 中村研太
中村研太(以下、中村):株式会社Figurout代表取締役の中村です。第2部では、「データの力で企業価値の可視化を」というテーマに基づいてご説明します。
アジェンダをご覧ください。弊社をご存じない方も多くいらっしゃると思いますので、まずは弊社についてご紹介し、次にメイントピックとしてIRの効果検証のポイントをご説明します。
続いて、IRの効果検証ができる弊社サービス「Hooolders Analytics」というツールのご紹介と、その具体的な活用方法についてお話しします。
わたしたちのパーパス
中村:弊社のご紹介です。Figuroutは、パーパスとして「資本主義の主役をお金から人間に」を掲げています。IR/SRをDX化することで企業と投資家の関係性を改善し、高いエンゲージメントとなることで実現できるのではないかと考えています。
ホールダーズ・アナリティクスとは
中村:具体的な事業としては、「IRにDXを。」を掲げながら、「Hooolders Analytics」というIRの分析ツールを提供しています。
中村:あらためまして、Figuroutを創業した中村です。キャリアとしては、2021年10月のFiguroutの設立で初めてIR領域へ踏み入れました。
もともとはマーケティングの界隈で事業を行っていました。マーケティングはDXが進んだ最初の業界の1つだと言われています。顧客の動きをデータで可視化し、そのデータに基づいて施策の効果検証を行いながらPDCAを回していくかたちで、現在マーケティングの多くはデジタル化していると思います。そちらに長年取り組んできました。
「投資家をどのように獲得していくのかはまさにマーケティングだ」「一方で、そこにはあまりDXが進んでいない」という気づきがあり、IRをDXするFiguroutという会社を立ち上げています。
「施策の効果検証」というIRの悩み
中村:本日は、IRの効果検証のポイントをテーマにお話しします。IR施策の効果検証については、いろいろな企業の方から、非常に大きな悩みであるとお聞きしています。
ある調査事例によると、57パーセントの方が個人投資家向けIR活動において、施策の効果検証が難しいと回答しています。
「施策の効果検証」というIRの悩み
中村:総論として、IR活動を実施したほうが株価は上がり、企業価値に対してプラスだということは明らかです。スライドに記載の論文は少し古いものですが、IR活動とその効果は統計的に有意差があると示しています。
しかし、この論文のように、大学の研究所などで専門家がリソースをかけて効果検証を可視化したものを、リソースが不足しているIRの実務の現場で、個別企業の施策ベースの評価まで落とし込むことはなかなか難しいと思っています。
一方、Webマーケティングでは、「Googleアナリティクス」などの分析ツール、解析ツールが出てきたため、すでに当たり前に効果検証が行われています。IRについても同じように、ツールやプラットフォームができれば効果検証が行えるようになるはずです。弊社はそこに取り組みたいと考えています。
事例:ログミーFinance 実施効果検証
中村:今回は、効果検証についてじっくりとお話しします。ログミーさんとの共催セミナーということで、本セミナーには「ログミーFinance」を利用されている方も多く参加されていると思いますので、「『ログミーFinance』は本当に効果があるのか?」というところを、実際に弊社で検証した内容をご紹介します。
スライド下部に記載しているとおり、この検証では、「ログミーFinance」利用中の各企業約500社に対して、事業内容のテキスト情報から類似企業を推定するモデルを使い、その類似企業4社の平均株価をベンチマーク株価として設定しました。
「ログミーFinance」は、年1回、年2回、年4回のプランで決算説明会の書き起こしを行っています。スライド右側の上部が年1回、中央が年2回、下部が年4回掲載する企業です。青色が「ログミーFinance」掲載企業の株価、赤色がベンチマーク株価を示しています。
2023年1月以前より「ログミーFinance」と契約があった企業のリストをもとに、2023年1月4日から同年12月29日まで、データを集計しました。
分析してみると、ここまできれいに成果が見えることに驚きました。年1回の場合は、ベンチマーク株価に対してプラス3.0パーセント、年2回はプラス7.2パーセント、年4回はプラス14.2パーセント上昇し、それぞれがベンチマーク株価のチャートとかなり似たかたちになっています。
類似企業の平均であるベンチマーク株価のチャートの動きに対して、年1回の掲載でもアウトパフォームしていますが、年4回のチャートを見るとわかるように、掲載頻度に比例するかたちで乖離幅が大きくなっていることが効果検証の結果として出てきました。
IRの施策の評価について
中村:それでは、「ログミーFinance」に年4回掲載すれば株価が14パーセント上がるのかと言うと、そうではありません。他の要因もありますので、14パーセント上昇分のすべてが掲載に紐づく結果とは統計的に言えないと考えています。分析の因果関係として、大きく3つの要素が絡んでいると推察しています。
1つ目は、施策自体の効果です。「ログミーFinance」に書き起こしを掲載することで、より多くの投資家の目に届き、購買意欲が高まって株が買われ、株価が上がったという直接的な効果が考えられます。
2つ目は、他のIR施策も含めてオープンに情報発信することが上手な企業のほうが、「ログミーFinance」を利用している比率が高いことが挙げられます。ベンチマーク株価には全くIR活動をしていない企業も含まれており、そのような企業は、そもそもIR活動に力を入れていない、あるいは投資家とのコミュニケーションスタンスに問題があって株価が上がらないなどの課題を抱えています。このように各施策を行う企業の取り組みレベルの影響があると考えられます。
3つ目は、そもそも年4回掲載できる企業は、予算が潤沢で業績が良いということです。IR活動への取り組みに関係なく、株価が上がりやすいと言えます。
以上の3つの要素があると思っています。
1つ目の「ログミーFinance」に掲載することによる直接的な効果を厳密に表すのは難しいのですが、「ログミーFinance」に年4回掲載する企業の株価が14パーセント以上アウトパフォームしていることはファクトとして言うことができます。
IR施策の株価への影響度のとらえ方
中村:このような分析は専門的なため、みなさまの手元で現実的な分析をどのように実現していくか、ということが大事だと思っています。
弊社としては、IR施策の分析や株価への影響度分析の仕方のうち、専門的ではなく現場レベルでできることを4つ考えています。
1つ目は、単純にその日の株価を見ることです。こちらはみなさまが実行されている方法ですね。何かリリースを出した時に株価や「Yahoo!ファイナンス」などを見て、「株価が今日は上がったな、下がったな」など、変動を見るということです。
2つ目は、仮に「日経平均株価」「TOPIX」の両方が上がっている日があったとしても、それが地合いで上がったのか、自社の力で上がったのかわかりません。地合いの影響を除去することも大切です。
3つ目は、先ほどの分析のように、競合ベンチマークを行うことです。地合いが悪くても半導体銘柄が全部上がっていたり、インバウンド銘柄の変動が大きくなっていたりなど、その業界の指標・影響度は、その会社独自の取り組みとは関係ないところです。そのようなものを除去して、競合の指数と比較するというかたちです。
4つ目は、統計的に見ることです。N1分析、すなわち1つの案件についての分析では誤差が大きく、見えにくいため、統計的に捉えることができるように複数ピックアップして平均で見ることが重要です。
ホールダーズ・アナリティクスとは
中村:これらを実現する「Hooolders Analytics」について少しでもご紹介できればと思っています。
IRの施策の評価について
中村:本日は、「ログミーFinance」にOEMで機能提供している部分でできることと、その部分だけではできなくても「Hooolders Analytics」有料版を契約するとできることをご紹介します。
こちらが実際の「Hooolders Analytics」のログイン画面です。「ログミーFinance」からログインしていただくと、こちらの画面と同じようなものが表示されると思います。
動画を御覧ください▼
画面では株価・出来高の動きが1ヶ月、6ヶ月というかたちで確認できるようになっています。背景の棒グラフが出来高で、リリースを出した時の株価や出来高の動きを見ることができます。
絞り込み機能もあり、検索欄に「ログミー」などと入力すると、「ログミーFinance」に書き起こし記事が掲載されたタイミングでの株価の動きも見えます。
「株価変動」は、単純な株価の動きを示しています。弊社では本ツール内で、地合いの影響度を除いた動きを「株価インパクト」と呼んでおり、リリースや施策を行った影響が与える終値の動きをここで可視化しています。
プライム連動指数との比較も可能です。地合いと同じように動くところと、関係なく動くところを把握できるようになっています。
「Yahoo!ファイナンス」などで株価のチャート見ながら、頭の中で「日経平均株価」や「TOPIX」を把握することは可能です。「Hooolders Analytics」では、それに加えて、定量的に地合いの影響度を除くと実際にはマイナス何パーセントになるのか、「株価はプラス2.7パーセントでも市場指数全体が良かった日なのでインパクトとしては1.8パーセントぐらいになる」というところまで把握できるようになっています。
また、競合の平均値と比較するアプローチについても「Hooolders Analytics」の中で実現することができます。ベンチマーク企業を登録しておくと、例えばSaaS系の企業比較などがチャートで見えるようになっています。
類似企業は株価のチャートもある程度似た動きをするのではないかと思ったら、平均値のようなチャートを表示することもできます。
画面上をご覧ください。自社(ここではSansan)の動きと4社の平均チャートの乖離度を把握することが可能です。これにより、地合いの影響、すなわち業界トレンドの動きと自社の動きの乖離が把握できるようになっています。
新しい機能として、事例分析の機能もあり、平均で見ることができるようになっています。例えば、Sansanが導入に関するプレスリリースを出した時、株価はどのように動くのかが把握できます。
対象となるプレスリリースを8個ほど選択し、それぞれの開示後の株価の動きであったり、5営業日後の株価変動がどのようになっているかであったり、平均値で見ると何パーセントくらい上下しているのかなどを発行することも可能です。以上のようなかたちで、自社と競合を含めた株価チャートを定量的に、かつサクサクと登録できます。
「Yahoo!ファイナンス」で競合や市場指数との比較を行おうと思うと、「Excel 」に入力しないといけません。一方「Hooolders Analytics」にはデータがプリセットしてあるため、スピーディに対応できます。これが、このツールの良さだと思っています。
現状では自社単体を見る画面のほか、ダッシュボード機能や企業比較機能、例えば四半期の平均売買代金などをパッと出す機能、AIで出来高の予測をする機能などを含めて使えるサービスです。
価格表
中村:本サービスは月額5万円で提供しています。また、株価や企業価値向上については、IRをはじめ、CFOや経営企画などさまざまな部門で向き合っていくことになると思います。そのため、本サービスはチームで活用していただけるように、5万円で10アカウントまで使用することができます。IRの効果検証に課題感をお持ちの企業は、1ヶ月の無料トライアルも可能ですので、ぜひお試しください。
私からのご説明は以上です。続いて、ディスカッションに入ります。
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イベント全体の書き起こしはログミーFinaceでご覧になれます ⇒ コチラ
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