GRABタクシーの車窓から。ナッツと少年とクラクション ~フィリピン旅行の記録、記憶~
予習通り、Grabタクシーは便利だった。そしてそこから見た景色は人と車とバイクが混とんとして危険だった。
1日目、マラテ地区
ピーナッツ売りのじいさん
空港からマラテ地区のホテルまで、440ペソ。
ターミナル3のタクシー乗り場で、なんとか呼んだタクシーを見つけ、日本の習慣で左側のドアを開けて乗り込んだ車は、トヨタの綺麗な車だった。
車は左ハンドルで、右側通行なのは乗ってしばらくしてから気づいた。それくらい精神に余裕がなかった。
道路は混雑の度を越えていて本来何車線の道路なのか判断つかないくらいで、我先にと車が競い合っていた。
渋滞で止まった時、道路をゆっくりと観察することができた。
本来歩道のスペースには動くのか動かないのか不明の車が止まっていたり、路上で店を広げている人など、座って話し込んでいる人などであふれ、今日ついた観光客が歩けるような雰囲気ではなかった。
車道の真ん中をこちらに向かって、というか逆走して自転車を引いてる爺さんがいた。何かを売りにきたらしい。
タクシーの運ちゃんが小銭を掴んで窓を少し開け、一袋、何やらを買った。
そして運ちゃんは笑顔でそれを私に勧めてくれた。
現地の、得体のしれないものを食べるのは勇気がいたが、手をのばしてみるとそれは落花生だった。温かかった。
おそらく炒った落花生だ。
火が通っているし、殻を割って中のピーナッツを食べるわけだし、危険は少ないと判断し、割って食べてみたよ。
おいしかった。
塩味で。
父親が落花生を栽培して、塩ゆでにして食べたりしていたので、うっかりなじみのある味に突然遭遇して驚いた。
運ちゃんはそれを袋ごと俺にくれた。そこそこ量もあったこのピーナッツが夜まで俺の小腹をおさめてくれた。
もちろん、Grabのアプリでチップを払ったわけで。
スラム街ではないと思うが
ホテルからサッカー観戦のためにスタジアムに行くのにGrabタクシーを使おうとしたら、直前の利用分が不正利用と判断されカードが使えなく、Grabで呼べずで、ホテルの人にタクシーを呼んでもらった。
しかし、タクシーがくるには時間がかかるので、目の前の道路を走っている白いタクシーを止めて、行先まで伝えてくれた。
そのとき、ホテルの人は助手席のドアをあけて、運ちゃんと交渉してくれたので、その流れのまま、助手席に乗った。
客は一人だけど助手席に乗る、という違和感のある状態でスタジアムまで行った。料金は80から90ペソの間くらいだった。
また通った道路がホームレスなのかストリートチルドレンなのか子供たちが路上にあふれ、屋台のようなものを囲んでいたり、にぎやかな感じであったが、こわかった。
そこをクラクションをならしながタクシーは進む。
2日目、エルミタ地区、空港付近
窓ふき少年
ホテルからマニラ動物園へ、138ペソ。
Grabタクシーに登録していた楽天カードが復活したので、自分でタクシー呼べるようになった。
ホテルの前に泊まった車に乗り込もうとしたら、大人の女性がこちらに手を差し出して何か言った。物乞いだと察した。何も言わずにドアを閉めたが、あのキツイ眼差しは帰国しても時々思い出す。
俺はどんな目で彼女を見ていただろう。
マニラ動物園から2日目のホテルへ、221ペソ。
渋滞で止まっていたら、すかさず少年が一人、車に寄ってきて助手席の窓を拭き始めた。表情はなく、機械的に拭いているような、いや、拭いているしぐさをしているだけだった。そして運ちゃんが運転席から手を伸ばしてチップをあげていた。
ホテルからSMモールオブアジアへ、158ペソ。
ちょいとおんぼろの車でクラクションの音が変だった。うわずったような遠くで聞こえているような音で。この辺は、道路と歩道がしっかり認識でき、歩道は日本のように普通に歩けるようだったので、帰りは1.6Kmくらいあったが、歩いた。
深夜、空港へ
深夜でもGrabタクシーは普通に使え、タクシーも数分でホテルの前に来た。
ホテルから第3ターミナルへ、229ペソ。
バクララン駅周辺の道路はごちゃごちゃで、怪しげで、最後までマニラのぶっとんだ道路事情を満喫させてくれた。
タクシーに乗っている間は、ずっと、ずーーーと、クラクションが聞こえる、マニラ・ドライブはここで終わり。