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Cowboy Sh%t ってなんだ

Chant = チャント

選手の名前やニックネーム、キャッチフレーズ、試合内容やストーリーへの賞賛、驚嘆、あるいは拒絶反応を込めて。時に団体側の想像を遥かに超えるうねりを生み出し、会場に響き渡る。

名前も知らない隣席の誰かと心を通わせるツールであり、プロレスという非日常空間を堪能できるエンタメを構成する重要なファクターの一つであろう。

ご時世により制限を受けた今、会場に行くにはあまりに遠くに来てしまった今、改めてその尊さを画面を眺めながら感じている。

"ハングマン" アダム・ペイジにも応援チャントがある。

"Cowboy Shit" 

カウボーイ・シット

🤠💩

とまあ少しお下品ではあるが、ヴァージニア州の片田舎、農家の出身で、私生活でもカウボーイ文化に大きな影響を受けている彼を表すにはピッタリのキャッチフレーズ。

(そうです。タイトルをご覧の通りプロレスにおけるチャントがどうのという話をしたいわけではなく、要は私が今最も熱を上げている彼のキャッチフレーズについて紹介したいだけです。すみません。)

その意味は、西部開拓時代、一寸先に何が待ち構えているかわからぬ未開の地をさすらい、独立独歩を貫ぬく寡黙な正義のヒーロー、つまりカウボーイのような。といった感じだ。

カウボーイのイメージ像はジョン・ウェイン、ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード、クリント・イーストウッド…西部劇で活躍した数多の名優により作り上げられていった物であるが、Cowboy Shitとはつまりそういった人物や行動を指す言葉と捉えていただければと思う。

すなわち、愚かで、無謀で、危険を顧みないこと。

Cowboy Shitをアダム・ペイジにピッタリなキャッチフレーズと表現したが、当初私はややマッチョイズムを感じるこの言葉には少し違和感を感じていた。しかし今の彼は、言葉の輪郭をよりハッキリとさせる様に、それが何たるかを体現している。

2021年11月13日(日本時間14日)彼はAEW世界王者ケニー・オメガに挑む。前々回のDynamite、その挑戦を正式に宣言する。

やや自信なさげに口を開き、旗揚げからの二年間を振り返りながら挑戦を叫ぶまでの約5分間。そこには感受性が豊かすぎる彼の心が感じ取った"Cowboy Shit"がたくさん詰まっていた。

(※挑戦に至るストーリー解説は別記事で!)

以下は動画の拙訳

○トニー・シヴァーニ(インタビュアー)

『11月13日土曜日の夜、ミネアポリスのターゲット・センターからFull GearがPPV放送予定です。そして先日のカジノラダーマッチに勝利したことで、この男がAEW世界王座戦への挑戦権を獲得しました。他でもない”Hangman" アダム・ペイジ!!!』


『ハングマン、王者であるケニーは君と長年のタッグパートナーの一人だね。そして1年前、AEW王座挑戦者決定トーナメントの決勝戦で対戦した。その試合に勝った彼(ケニー)は、その後AEW世界王者になった。そして今、11月13日、君がAEW世界王者になるチャンスが来た。』

○アダム・ペイジ

『Full Gear、マジで興奮してるよ!!!

 2019年、俺は友達と一緒に我が家とも言えるRing Of Honorと新日本を飛び出してAll Elite Wrestlingを旗揚げした。

 自分たちのビジョンを信じてたから興奮してたよ。
 俺らが世界を変えることができると信じていたから。
 でも、世界が俺たちを変えてしまったような気がする。
 要するに俺を変えちまった。

 この団体が始まった日、俺は最初のAEW世界王者になるとみんなに宣言した。

 だが失敗した。ジェリコに負け、PACにも負けた。

 そこからもっともっと多くの物を失い始めた気がする。
 自信を失い、友達も失い、自分自身を見失った。
 でも失ったとは思えないものが一つだけあった。
 毎週、毎週、少しずつ大きくなっていったもの。
 それは「Cowboy Shit!!」と叫ぶお前らの声援だ。

 俺にとって、"Cowboy Shit"はとてもリアルな言葉なんだ。

 Cowboy Shitは、旗揚げの日に王者になると宣言した。
 Cowboy Shitは、ケニーと一緒にタッグ王座を獲得し、あらゆる敵から防衛した。
 Cowboy Shitは、過去のことは過去のこととして、新たに巡り会った友人を自分の人生に受け入れることを学んだ。
 Cowboy Shitは、何度も首を突っ込んで来たそいつらのために、自分のチャンスを危険にさらしてでも首を突っ込むようになった。
 Cowboy Shitは、キャリアで最も重要な戦いの真っ只中でも、家に戻って可愛い男の子の誕生に立ち会う勇気を持った。
 あれはマジでCowboy Shitだったぜ。

 そして先週、俺はようやく電話に出た。
 体を張り、チップ(挑戦権)を手に入れるべく梯子を登った。
 今までずっと手に入らなかったものを手に入れるために。
 これこそ重要な事なんだ。

 転げ落ちても立ち上がればいい。
 馬に乗って、前を向いて走り続ける。
 それこそ、俺にとってのCowboy Shitだから。


 俺は占い師じゃないし、Full Gearの結末を予言するつもりもない。
 ただ、お前らはまだこんな俺を信じてくれてるだろ。
 だから俺も生まれて初めて...自分を信じる事にしたよ。

 約束する。Full Gearではお前らに全てを捧げる。
 俺の心を、魂を、お前らに捧げる。全身全霊を捧げる。
 血を、汗を捧げる。あるいは涙も捧げるかもな。

 100%の確信を持って言えるのは、Full Gearで
 お前らにCowboy Shitを捧げるってことだ!!!』


彼の目を見て覚悟を聞く。

大きな壁を前に立ち尽くす時。
打ちのめされ、地を這う時。
踏みつけられ、諦めそうになった時。
身体の奥底でこだまするこの叫びが、私の足を動かすだろう。

馬に戻ろうとする限り失敗して良いんだと。

すなわち、"Cowboy Shit‼︎"と。


待ってろ、ケニー・オメガ。

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