「この企業を友人や同僚に薦める可能性はどのくらいありますか?」
究極の質問として有名なものに「0~10 点で表すとして、この企業(あるいは、この製品、サービス、ブランド)を友人や同僚に薦める可能性はどのくらいありますか」(フレッド・ライクヘルド)というのがあります。
さて、かつて、わたしが、お客様アンケートを見直したときのことです。
分析の精度を上げようという思いもあって、ずらずらと質問事項を並べ立ててしまいました。
そのときはお客様の声を聴くというよりもお客様の動きをつかもうという不遜な気持ちが勝っていたのだと思います。
ちょっと考えれば分かりそうなものですが、そんなアンケートには、不満があるか、あるいは余程の満足をした人でもない限り、回答する人などいないでしょう。
お客様の満足のために不満足を増長しかねない愚行だったと、思い出すたびに冷や汗が出ます。
究極の質問と、この質問を基に設定された顧客満足度を測定する指標「NPS(ネット・プロモーター・スコア)」を知ったのは、それから間もない頃のことでした。
NPSは、自社のお客様に占める推奨者(自分の会社を友人や同僚に薦めてくれる人)と批判者(自分の会社を友人や同僚に薦めないばかりか悪口さえ触れ回りかねない人)の割合の差で求められるもので、いたってシンプル。
アンケートでは、究極の質問と理由に関わるものだけに限定して、思い切ってそれ以外は削除してみる。
するとアンケートの回答率はぐっと上がるといいます。気になる回答には、責任者が改めてお客様に直接お尋ねすればいい。かえってより多くのお客様の声を聴くことができるかもしれません。
みなさんの会社ではどのようにお客様の声に向き合っていますか。
参照:Fred Reichheld , Rob Markey , 2011, “ The Ultimate Question 2.0 : How Net Promoter Companies Thrive in a Customer-Driven World”( 森光威文・大越一樹監訳・渡部典子翻訳,2020,『ネット・プロモーター経営―顧客ロイヤルティ指標 NPS で「利益ある成長」を実現する』プレジデント社)