Fieldism必聴新曲リスト July 2023 (Part.2)
N.L.N.S & Sin Scriptureレコ発大阪編、ありがとうございました。↓
前回の新曲特集はこちらから↓
9/30(土) ''Buried Alive III'' やります。予約は下記から。
関西圏の皆様、夏休みはいかがお過ごしでしたでしょうか?筆者はライブから離れて旅行に行ったり自宅でくつろいでいました。お世話になっております。
さて、すでにAlpha Wolfの来日ツアー自体は始まってますが、7月ごろから怒涛の来日ラッシュが続いていますね。バンド達自身が連れてくることもあれば、プロモーターが連れてきたりと多種多様になってきていますが、正直情報過多で取捨選択を迫られている状況です。
メタルコアではAlpha WolfやLike Moths To Flames、メロデスではDarkest Hour、ハードコアはSUNAMI, Pain of Truth, Speed, NEVER ENDING GAME etc, ポップパンク/エモもFiddlehead, For The Winなど各シーン賑わっていますね。それに輪をかけて国内バンドのみのイベントもアツい案件が増えていて、もはや「この日にこのイベントがある」のが把握しきれません。何より今頃イベント組む側は被らないか戦々恐々としているはずです。週末のライブハウスのホールレンタルも半年以上先までほとんど埋まっているとかなんとか…
自分がBuried Alive IIIを開催する9/30も東京はSBEのレコ発やINNOCENCE、関西圏はCrystal Lake京都編と星熊南巫のソロライブとか被ってますが、まずこの先二度と関西では実現しないと思うしそもそも次回のBuried Aliveは開催が未定ということもあるので国内メタルコアシーンの今と未来を知りたいなら最優先で遊びに来てほしいですね。
前置きはこれくらいにして、今回も行きましょう。
リストアップの条件ですが、下記2点です。
1. 7/15〜7/31にフィジカル/ストリーミング/DL販売/MVのいずれかが解禁された作品(基本的により多くの人にアクセスできる手段を優先します)。
2. フルアルバム or EPのリリース時期がある程度明確にアナウンスされている作品の先行シングル、および既存楽曲のリマスターやカバー等は選出対象外。ただしアルバムのデラックス盤のみetc.に収録予定の楽曲は選出対象。
FIRE ON FIRE - IGNITE
アルバム (7/15)
ex-ARTEMA/現NAMBA69で活躍しているko-hey (Gt.Vo), 沖縄発ロックバンドのROACHのフロントマンtaama、かつて大凶作やMy Eggplants Died Yesterdayに在籍し現在も数々のアーティストのライブをサポートしているSHiNにより新バンドのデビューEP。今年の4月末に初ライブを行った際、正式音源もなくバンド名も仮だったにもかかわらず、キャパシティ100人のライブハウスに300人の応募が来たという鮮烈なデビューを飾ったそうで、以来京都大作戦2023の前夜祭となる牛若ノ舞台 宵山2023、HOTOKEのMONOTONE FEST東京ファイナルにも出演を果たし、急速に注目を集めています。
ファン待望の正式音源となるデビューEP ''IGNITE'' は、メタリックでヘヴィなサウンドながらメロディックパンク特有の明るいトーンで疾走していくスタイルからして各メンバーが今まで歩んできたキャリアを感じさせるものがあります。イントロTr.1 ''F.O.F'' を通過してTr.2 ''MY CURSE'' ~ Tr.5 ''DEMON AND I'' と続きますが、メタルコア調のブレイクダウンが来たかと思いきや底抜けに明るいサビとシンガロングパートが顔を出してフロアでも一体感を煽るのが明白です。個人的にはTr.3 ''TRIGGER TO THE LIGHT'' が一番厳ついブレイクダウンでライブでも映えそうです。
先月末にBubble Babyとヒステリックパニックを招いて自主企画を開催した彼ら、ラウドロック/メタルコアだけでなくポップパンクやメロディックパンクも巻き込んでいきそうですね。
Oaktails - What I Think / What I Love
アルバム (7/15)
''SAD SCREAMO''を標榜している東京を拠点に活動している激情/叙情ハードコアバンドの最新シングル。AFTERGLOWやNight the Skylineなどで活躍してきたメンバーが集い始動した2019年からの4年間、Vo. Humの感情をむき出しにしたシャウトとスポークン / 静寂と轟音と混沌と哀愁が紡ぎだすドラマティックな展開を前面に押し出した音源、Secret Keeperとのツアーをはじめとした精力的なライブ活動、その場数によって積み上げられた感情の機微をダイナミックに表現した圧巻のパフォーマンスは目を見張るものがあります。(過去のライブレポでも取り上げていますが、未読の方は是非。)
昨年の9月に''Vague''がシングルリリースされてからほのめかされていましたが、満を持してリリースされたデビューアルバム ''What I Think / What I Love'' は、タイトル通り彼らの感情を脚色ナシで等身大に表現したリリックと楽曲、ほの暗いエネルギーとカオスな衝動をむき出しにした静と動が交差する不可逆かつ一方通行な展開は彼らのやりたいことをまっすぐに貫いた証左。悲観しながらもかすかな救いを求めるかのような感情を吐露したリリックを吐き出す、Humの多彩な表現方法には心を動かされることは必至です。特にTr.8 ''Sirius'' はその暗い世界観をかすかに照らす今作の作風を体現してるかと思います。
先月末は下北沢でレコ発兼サーキットイベントを開催、さらに来週末はto overflow evidenceが地元福島・いわきで開催するONA FESへの出演も決まっているので、筆者は別イベントとのバッティングで不参加ですが気になる方はチェックを。
the Art of Mankind - CHAOSBRINGERS
アルバム (7/19)
東京を拠点に活動しているメロディックデスメタルバンドの最新フルアルバム。ご存じの方も多いと思いますが、もともとGt. Woomingが主催する東方メロデスサークルKissing the Mirrorに原点があり、解散直前に加入したVo. Sawacy & Gt. Kenkawaを中心に始動させたバンドがこのthe Art of Mankindです。筆者はラストライブ観に行きましたが、今でも人生におけるベストライブTOP10に入っています。また、先月Sin Scriptureレコ発大阪編で初来阪を果たしたデスコアOde to the EndのBa. Ogaはこのバンドにも在籍しており、ここでもタイトでテクニカルなベースフレーズを奏でてくれます。
フルアルバムとしては2018年の ''Archetype'' 以来約4年半振りの待望の新作となる今作 ''CHAOSBRINGERS'' は、前身時代含めて十数年積み重ねてきた慟哭系ブラダリッシュリフワークとブラストビートを交えた暴虐的かつ哀愁を感じさせるメロデスサウンドをさらにブラッシュアップ。フックのあるメロディに満ちた3拍子メロデスのTr.3の表題曲 & Tr.5 ''The Shadow of the Sun''、暴走と急ブレーキのメリハリを利かせたTr.4 ''Sword of Obsidian''、変拍子を詰め込んだTr.10 ''Omen'' など、多彩なアプローチを内包させながら各パートが良い意味でぶつかり合う楽曲陣は腕が硬直するまでメロイックサインを掲げずにはいられません。
来月の初めにVesper the Aerial (ex-Degrace)が主催するイベント ''イエテボリ神社'' にも出演が決まっている彼ら、実はまだ一度も生で観たことがなく、昨年のBloodeyed Sunsetの企画の時も別会場とのハシゴで観れなかったので楽しみです。
Hollow Front - Letting Go
シングル (7/20)
アメリカ・ミシガン州グランドラピッズを拠点に活動しているメタルコアバンドの最新シングル。2020年の暮れから人気インディーズレーベルUNFDと契約、徐々にアメリカのメタルコアシーンでも徐々に頭角を現してきた段階で2ndフルアルバム ''The Price of Dreaming'' をリリースしました。初期から一貫してるヘヴィなサウンドはそのままに、デビューアルバム ''Loose Threads'' から紡がれてきたメロディックな要素はさらにブラッシュアップされ、ソングライティングの引き出しも大きく広がったキャリアの転換点となる一作でした。
アルバムリリース以来初の新曲となる今作 ''Letting Go'' は、長い間バンドを支えてきたGt/Vo. Dakota Alvarezと制作した最後の楽曲のうちの一つと語られており、昨年のツアーバス事故による経済的な損失およびトラウマなどメンタルヘルス上の問題でバンドから離れざるを得なくなった彼を送り出す作品に仕上がっています。前作の表題曲を彷彿とさせるメロディックなDakotaのクリーンボーカルを活かした楽曲に、バンドと彼との決別に対するストレートな感情を綴ったリリックは、オーディエンスの私たちからでも彼らの絆がしっかりと表現されています。
昨年から脱退が続いていることもありメンバーはVo. Tyler Tate & Gt. Lee Alberhtの二人だけになったようですが、ここ数年伸びているだけにここで終わってほしくない気持ちが強いです。
Silent Planet - Antimatter
シングル (7/21)
アメリカ発カリフォルニア州ロサンゼルス出身のクリスチャンメタルコアバンドの最新シングル。2021年にリリースされた4thフルアルバム ''Iridiscent'' では初期から一貫している難解なプログレッシブなリフとポストロック要素あふれる静と動の対比に、インダストリアル/ニューウェーヴ調の不穏かつ鮮やかな電子音を取り入れた作品でネクストレベルへ到達。昨年夏にリリースされたシングル '':Signal:'' では過去一ヘヴィなリフと不穏な展開が襲い掛かりよりプログレッシブ/Djentへと傾倒していましたが、今作はさらにリスナーをびっくりさせる新曲をドロップしてきました。
前作 '':Signal:'' から約1年のスパンを空けてリリースされた今作 ''Antimatter'' は近年前面に押し出してきた鮮やかなシンセ/エレクトロサウンドをベースにしており、そこにソリッドなバンドサウンドで彩った実験的かつダンサブルな一曲に。バンドとしても ''the next chapter'' というキャッチをつけて今作のMVを公開しましたが、まさにその通りに仕上がっています。Vo. Garrett Russellが紡ぐエッジの利いた詩的かつ内省的なリリックは今回も健在。昨年バンドが経験したツアーバスの事故からインスピレーションを受け、Garrettは父との会話で「音楽活動という刹那的な生き方を続けるか考えさせられた」とも語っています。
今作のリリースの際に「コンセプトアルバムの大きなストーリーの一部」とも語っているので、もしかすると今後何かしら発表があるんじゃないかと期待してしまいます。
Cultist - Slow Suicide
アルバム (7/21)
アメリカ・南カリフォルニアの「インランド・エンパイア」を拠点に活動しているビートダウンデスコアバンドの最新アルバム。For TodayやThose Who FearやGideonを輩出したクリスチャンハードコアレーベルFacedown Recordsに所属しており、2010年代序盤/中盤に流行したタフガイなモッシュコア/ローチューニングメタルコアの系譜を継ぐバンドの一つです。Impending Doomもそうだったと思いますが、クリスチャンレーベルに所属していながらBodysnatcherやThe Last Ten Seconds Of Lifeのようなスタイルの凶悪なデスコアサウンドを奏でるのは非常に興味深い部分があります。
シングル/EPのリリースを経て満を持して投入されたデビューフルアルバム ''Slow Suicide'' は、そんなクリスチャンバンドでも異端ともいえるサウンドを提示していながらも宗教的偽善への怒りや憤りが込められた作品になっております。圧迫感に満ちたミドルテンポのヘヴィーなリフ・不穏さを煽るSEを経て、情け容赦のない脳天直撃系ダウンテンポパートは忠実にダウンテンポ/ビートダウンデスコアの様式美を提示してくれます。ツーステップパートから極悪ビートダウンまでダイナミズム溢れるTr.4 ''Hell Of My Design'' 、3拍子と4拍子を切り替えながらリスナーを蹂躙していくTr.6 ''Suffering By My Own Hand'' まで単調にならないのも良いです。
このバンドが好きな方は東京のAlter of Dementiaや名古屋のHOUNDあたりもチェックしておいてほしいです。
Johnny Booth - Moments Elsewhere
アルバム (7/21)
アメリカ・ニューヨーク州を拠点に活動しているハードコア/メタルコアバンドの最新アルバム。彼らのスタイルといえば、The Dillinger Escape Plan, Every Time I Die, Between the Buried and Meあたりを彷彿とさせる、変拍子を交えたカオティックハードコア要素をメタルコアに取り入れた情報量の多い作風が特徴的ですが、それにとどまらないボーダーレスなサウンドを織り込むことも魅力の一つ。ストップ&ゴーを繰り返しながら突っ走っていくエネルギッシュな楽曲が多い印象です。
アルバムとしては2019年 ''Firsthand Accounts'' 以来約4年ぶりのリリースとなる今作 ''Moments Elsewhere'' は、バンドの熱量や嗜好をこれでもかとぶち込んだ野心的な作品。Tr.2 ''Collapse in the Key of Fireworks'' からエネルギッシュなブラストビートやVo. Andrew Hermanのブチギレスクリーム~クリーンと多彩なアプローチを見せながらトライバルな打楽器のテンポも織り交ぜていくのにただならぬ勢いを感じます。ダンサブルなキラーチューンTr.3 ''Full Tilt'' を経て、ローファイでメランコリックなメロディが特徴的なTr.4 ''The Ladder'' & Tr.5 ''The Mirror'' へなだれ込むジェットコースター級の展開にも注目です。
持ち前のカオティックなメタルコアにグランジ・ニューメタル・シューゲイザーなど多種多様なジャンルを飲み込みながらも軸をブラさない作風、ここまでクオリティ高いのに知名度全然ないのは何故でしょうか?
Yellowcard - Childhood Eyes
EP (7/21)
アメリカ・フロリダ州ジャクソンビルのポップパンク/オルタナティブロックバンドの最新EP。ポップパンクにバイオリンをふんだんに取り入れた独自のサウンドでシーンでも異彩を放つことで有名です。筆者はこのバンドから多大な影響を受けており、とあるレースゲームのサウンドトラックに収録されている ''Breathing'' や ''Lights And Sounds'' は当時何回ヘビロテしたか数え切れません。特に''Breathing''が収録されているアルバム ''Ocean Avenue'' はバンドとしても出世作で全米で200万枚以上のセールスを記録したポップパンク史上に残る名盤として今も語り継がれています。
2017年の解散から5年、昨年突如再結成をアナウンスした彼らが次なるサプライズとして投下した最新EP ''Childhood Eyes'' は ''Ocean Avenue'' を再解釈したかのようなアートワークから期待してしまいますが、中身はただノスタルジーに訴えかけているだけでなくしっかりとモダンに洗練されているのもポイントで、それを体現しているのはTr.2の表題曲でしょう。他にもキャッチーなメロディと高揚感のあるポップパンクチューンTr.3 ''Hiding in the Light''とTr.4 ''Honest from the Jump'' を経て、アコースティックギターとヴァイオリンの音色でEPを締めくくるTr.5 ''The Place We'll Go''は今までの人生や時の流れの速さを思い返し、そのすべてが現時点でのバンドの位置を明確に定義する内省的な楽曲で締めくくられます。
来年で ''Ocean Avenue'' のリリースから20年が経過しますが、今作はYellowcardがシーンの最前線に帰ってきたことを証明する一枚になるかと思います。
花冷え。- 来世は偉人!
アルバム (7/26)
''HARAJUKU CORE''を標榜する突然変異型ガールズメタルコア/ミクスチャーバンドのメジャーデビュー作。早い段階から田浦楽 (Crystal Lake, SOULJAPAN)からそのポテンシャルを見出され、もはやメタルコアどころか日本のサブカルチャーの一端を担いつつある彼女らですが、今年は年始から大忙し。新年早々''ゆるキャン△'' の犬山あおいを演じる声優豊崎愛生をゲストに加えたお先に失礼します。」がTikTokを中心にSNSで話題となり、6月にはSATANIC CARNIVALのメインステージにも出演。キャリア初のワンマンツアーも実施中(リリース当時)という勢いに乗った状態でフルアルバムがリリースされました。
4月に脱退したDr.サエの後任としてチカが加入し、新体制初の音源ともなる今作 ''来世は偉人!''は、今までのメタルコア/ラウドロックを軸にダンスミュージックや和のサウンドなどを取り入れた破天荒なスタイルから、メロディックパンク要素を取り入れた新機軸まで取りそろえた一作。「宇宙まで飛び出していけるように」という意気込みを込めたTr.2 ''超次元ギャラクシー''に始まり、90~00'sの平成感漂わせるEDMサウンドと四つ打ちとモッシュパートが入り混じるダンサブルなTr.4 ''今年こそギャル~初夏Ver.~''、彼女たちのルーツの一つでもあり始めてメジャースケールの明るいメロディを取り入れたTr.10 ''Today's Good Day & So Epic'' など、一部だけですが情報量が多すぎてまとめきれません。
発表されているヨーロッパツアーとアメリカツアーでは数公演がソールドアウト、さらにはWhile She Sleepsのアジアツアーにも帯同が決定と世界中からも注目を集めているようなので、Japan Expoも現実味を帯びてきましたね。
Signs of the Swarm - Amongst the Low & Empty
アルバム (7/28)
アメリカ・ペンシルバニア州ピッツバーグを拠点に活動しているデスコアバンドの最新アルバム。Chelsea GrinのVo. 交代劇を受け、このバンドのオリジナルメンバーCJ McCreeryがLorna Shoreへ移籍し ''Immortal'' の制作に携わった(リリースを前に脱退)のは有名は話ですが、そのエピソードを抜きにしても2019~2020年と現T.M.Musicにより2度の来日を果たしており、キャンセルになったバンド達にも劣らぬ圧倒的なパフォーマンスで爪痕を残しています。あの時からまたメンバーの入れ替わりがあったものの、この数年でデスコアシーンでも頭角を現しています。
ドイツの名門レーベルCentury Mediaとの契約 & Great American GhostのメンバーでもあるCarl Schulzの加入を経てリリースされた通算5枚目のアルバム ''Amongst the Low & Empty'' は、ブラストビートやスラミングを交えたブルータルなスタイルをよりプログレッシブかつモダンに解釈した作風になっており、オープニングを飾る表題曲からもDjent要素や不穏なエレクトロサウンドが顔をのぞかせています。Tr.2では ''Tower of Torsos'' で作中一凶悪なビートダウンで地獄に落としたと思いきや、Tr.4 ''Borrowed Time'' ではChelsea Grinを彷彿とさせるアトモスフェリックなアプローチも駆使。マシーナリーなSEと非人道的な刻みが特徴的なTr.10 ''Faces Without Names''からの閉塞感のあるリズム回しのTr.11 ''Malady''の流れも圧巻です。
ブルータルさの中にもプログレっぽさやキャッチーなフックも搭載されており、ソングライティングにもさらなる進化が見られるSigns of the Swarm。現在はヨーロッパヘッドラインツアー中ですが、日本にもまた戻ってくる予感はしますね。
SIGHTBACKS - Bite to Death
シングル (7/29)
東京を拠点に活躍しているニューメタルコアバンドの最新シングル。2021年秋結成 & 2022年2月に初音源 ''SHUTOUT'' をリリースして以来、サイバーパンクっぽい近未来的なEDMサウンド、奇想天外かつ予測不可能な展開と癖のあるメロディーを武器に精力的に活動してきました。元々Sailing Before The WindのBa. Bitoku氏に直接おすすめされたのがきっかけでこのバンドを知ったのですが、今年にはBroken By The Screamの自主企画 ''Fest of Extreme 2023'' のオープニングアクトに抜擢、彼の読み通り現行メタルコアシーンでも着実に注目を集めています。
7月には2枚のシングルリリースがあったんですが、その第2弾となる今作 ''Bite to Death'' は電子音を取り入れたカオティックなニューメタルコアを軸にしつつも、これまで以上にアグレッシブかつ凶悪なトラックになっており、ブラストビートやデモニックなリードを取り入れた攻めの展開、荘厳なコーラスパートが顔を出したかと思えば、終盤には落としまくりのブレイクダウンと随所にデスコアからの影響が感じられます。Vo. Sotaの突き抜けるようなハイトーンのスクリームから低音グロウルまで攻め立てていくボーカルアプローチにも注目です。これは火影破壊系ですね。
9/30のBuried Alive IIIでは同じく東京で戦っているALIOTHや先月末のレコ発にも出演したInvert HourglassとOptimist、そしてアートワークを手掛けた$ana£-monがサポートしているEvilgloomもいて相当気合入ってるそうなので是非彼らのサウンドを目の当たりにしてください。
Void Of Vision - Angel of Darkness
シングル (7/31)
オーストラリア・メルボルンを拠点に活動しているニューメタルコア/オルタナティブメタルコアバンドの最新シングル。2021年から昨年にかけてリリースされた3枚のEP ''CHRONICLES'' シリーズでは、既存のニューメタルコアの概念から脱却し、その独特かつ退廃的なヴィジュアルイメージにも劣らない数々の実験的なサウンドを取り入れてきました。''HELL HELL HELL'' や ''DOMINATRIX'' ではブレイクビーツ/テクノ/クラブミュージック要素の導入、''INTO THE DARK'' などではクリーンボーカルを導入したりなど、バンドとしての「幅」を大きく広げてリスナーを驚かせてきました。
''CHRONICLES'' を完結させて以来初のリリースになる今作 ''Angel of Darkness'' では、ニヒリズムと退廃感あふれる妖しい世界観は踏襲しつつ、近年積み上げてきた実験的なアプローチをさらに進化させた様子。シンセウェーブやエレクトロサウンドをベースにしつつも、より軽快かつポップな印象を受けました。途中Jack Verginのシャウトとヘヴィなリフはありますが、それでもメタルコアをあまり受け付けないリスナーにもとっつきやすいものになったかと思います。スタッズを顔中につけたJackのヴィジュアルは一度見たら忘れられないと思います。
楽曲に添えられた不思議な声明「Jack Berginという人間の肉体は、アセンションのために選ばれた…」は何を意味するのでしょうか?新たな時代の始まりを予感させられます。
HONORABLE MENSIONS
A Curtain Of Mist - AS I AM
EP (7/15)
名古屋を拠点に活動しているポストハードコアバンドの最新EP。昨年の秋から ''As'' ''I'' と先行シングルをリリースし続けてきましたが、ついに最後のピースが揃いました。Vo. Bearの力強くエモーショナルなクリーンボーカルを前面に押し出しながらも、近未来/サイバーパンクを連想させるアトモスフェリックなサウンドはGt. Hide & Yuyaが在籍しているSCYLA同様、新しくもどこか懐かしさを感じさせます。5月にマレーシアのPatriotsとツアーを行いましたが、やっと生で観ることができました…。
Laika - Starcage
シングル (7/23)
新潟を拠点に活動している叙情ハードコア/メタルコアバンドの最新シングル。昨年末にリリースされたInvert Hourglassとのスプリット ''Search for Hope, In this Chaos'' 以来の新曲になります。今作もGt. Yujiのテクニカルかつ歯切れのいいリフワークやVo. Lyuの独特のクリーン/ポエトリー/スクリームなど多彩な表現は健在ですが、今作は初期メンバーでもあったtinydog (ex.ゴリラビスケット)がビート/ピアノパートで参加。題名に劣らないアトモスフェリックなサウンドに仕上がっています。
FRCTS - WEIGHTLESS
シングル (7/28)
東京を拠点に活動している新鋭プログレッシブメタルコアバンドの最新シングル。昨年秋に3か月連続でシングルをリリースして以来の新曲となります。後述するClone of Vengeanceとの共同企画直前に公開された今作、過去作で言えば ''Glitch'' にも共通するサイバーパンクっぽいインダストリアル要素を取り入れたプログレッシブメタルコアにVo. Yukihiroの伸びやかなクリーンが舞い踊るスタイリッシュな一曲になっています。このまま埋もれさせるにはもったいなさすぎるクオリティです。
Clone of Vengeance - Turning past regrets into hope
シングル (7/29)
東京を拠点に活動している新鋭メタルコア/ポストハードコアバンドの最新シングル。先月末にはFRCTSと共に共同企画を開催、C-GATEやGood Griefもゲストアクトに招いてて気合の入り具合を感じさせられましたが、その直後にリリースされた新曲は夏らしさ感じる爽やかなポストハードコアと意欲的な作品に(ヘヴィかつ不穏なブレイクダウンはありますが)。feat.で参加しているFRCTSのVo. Yukihiroにも劣らぬVo. Yutaのクリーンボーカルにも注目です。
xatu - VIRTUAL GOD
シングル (7/30)
かつてはDEFECTIONS名義として活躍していた、札幌発メタルコアバンドの最新シングル。現在はライブ活動は行っておらず音源バンドのような感じになっていますが、そのクオリティは札幌発メタルコアの一角を代表していただけあって折り紙付き。テクニカルなリフとインダストリアルなアレンジを取り入れたモッシーなニューメタルコアサウンドは不穏かつ凶悪そのもの。途中にはグリッチっぽいエフェクトも駆使していて動画が一瞬止まったのか錯覚しました。ライブ活動していたらBuried Aliveに呼びたいんですが…(今回はVOMIT OUT RESTRICTIONに頑張ってもらいます)。
Blacksound - Rosery II
アルバム (7/28)
アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルス出身、現在は東京に拠点を移して活動しているメタルコアバンドの最新EP。先日GIVEN BY THE FLAMES, The Cards I Play, Luther Fisherを連れてツアーを敢行していました(筆者も大阪編行きました)。ダイナミズム溢れるソリッドなメタルコアサウンドと壮大な浮遊感あふれるアレンジはどこか聞き覚えがあるかと思いきや、Bad OmensのVo. Noah Sebastian & Gt. Joakim “Jolly” Karlssonが今作をプロデュース & 作曲にも携わっているんだとか…。
Sanctus - Suffering Savior
EP (7/30)
大阪発新鋭メタルコア/ポストハードコアバンドのデビューEP。先行でリリースしてきた ''Darkside'' ''The Sinner'' も再録版で収録しています。Tr.2 ''Darkside'' も今のローチューニングに合わせたことでよりダークな雰囲気を感じ取れますが、バンド曰くリードトラックはTr.4の表題曲。高速チャグからツーステップパート/ブレイクダウンまで搭載しているアグレッシブな展開はこれからに期待がかかります。ライブ活動も始めていくそうなので今後の動向にはチェックです。
Secret Keeper - Dear Love, I Let You Go
EP (7/28)
アメリカ・フロリダ州メルボルンを拠点に活動しているメロディックハードコア/ポストハードコアバンドの最新EP。先述のOaktailsとも親交が深く、来日ツアーに帯同してもらったりスプリットEPをリリースしたこともあります。今作は「愛した人に別れを告げる普遍的な葛藤」をテーマにしており、激しくも繊細で生々しく哀愁を漂わせる楽曲、儚さと厭世観に満ちたVo. Kyleのボーカルメロディはスクリーモ老害歓喜必至。スクリーモリバイバルの要素を取り入れた2nd以降のCapsizeが大好きなので刺さらないわけないですね。
The Danger of Falling - Rose Lens
シングル (7/28)
アメリカ・ウエストバージニア州モーガンタウンで活動しているメロディックハードコアバンドの最新シングル。2019年以降活動が途絶えていましたが、昨年 ''Webs On My Skin'' をリリース。Underoath, Hundredth(初期~中期), Being As An Oceanあたりから影響を受けた激しさと繊細さが織り交ざったメロディックハードコアの様式美はコアな叙情ハードコアリスナーからも注目されておりましたが、これは納得ですね。
Kaonashi - Blood Red Camry Dance Party
シングル (7/28)
アメリカ・ペンシルバニア州フィラデルフィアを拠点に活動するポスト・ハードコア/マスコアバンドの最新シングル。このバンドといえば90~00'sメタルコアを基盤にプログレッシブ・マス要素をミックスさせ、ハードさとユルさを両立させたサウンドなんですが、今作はRina SawayamaやMotion City Soundtrack影響下のキャッチーでアップビートな印象で「ゆとり」を重視したポップなサウンドでとっつきやすいかと思います。これは曲中の登場人物の心情をくみ取るうえでサウンドを拡張するのは必然だったと語っています。
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