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Fieldism必聴新曲リスト June 2023 (Part.2)

N.L.N.S, ありがとうございました。↓



前回の新曲特集はこちらから↓


 仕事や企画でバタバタしていて更新遅れました…いつもお世話になっております、Ryotaです。

 もう上半期終わったとか信じられませんが、先日Sin Scriptureとの共同企画完遂しました。詳しいライブレポはまた別途記事上げるんですが、今の大阪では珍しいデスコア主体のエクストリーム目なラインナップながら、バンド・オーディエンスともに満足度が非常に高いイベントでフロアの熱気も異常でしたね。大阪に行きたいって相談してくれたSin Scripture、出演いただいたLike Tears in Rain, Sleepless with Isabelle, Desperate Death Parade, AMИESIA, Ode to the End、そして遊びに来てくれた皆様ありがとうございました。


 そして、先日満を持して''Buried Alive III''のラインナップを解禁しましたが、過去最大の反響をいただいております。TMSBのLukaがデザインしたダークで近未来感のあるフライヤー&コンセプトはメイドインアビス、全国から今ホットなクソデカ音圧/ローチューニングメタルコアバンドを集めたラインナップはワンピースでいう「最悪の世代」、フロアライブが特徴的な会場の名前はNARUTOの火影と、ロマン要素を全てつぎ込んだ「ぼくのかんがえたさいきょうのめたるこあいべんと」って感じです。

 シリアスなコンセプトやこのイベントにかける想いはまたnoteあげるとして、間違いなく伝説の一日になるでしょう。9月はBLOODAXE FESTIVALやSUMMER BASH、同日にはCrystal Lakeのツアー京都編などありますが、日本のメタルコアの「今」と「未来」を語るならこの日来るしか選択肢ないと思います。このイベントをほかでもない「大阪」でやることに意義があるので、是非関西圏以外の方にも遊びに来てほしいです(というよりも県外からのお客さんのほうが多い説ある)。

 


前置きはこれくらいにして、今回も行きましょう。


リストアップの条件ですが、下記2点です。
1. 6/16~6/30にフィジカル/ストリーミング/DL販売/MVのいずれかが解禁された作品(基本的により多くの人にアクセスできる手段を優先します)。
2. フルアルバム or EPのリリース時期がある程度明確にアナウンスされている作品の先行シングル、および既存楽曲のリマスターやカバー等は選出対象外。ただしアルバムのデラックス盤のみetc.に収録予定の楽曲は選出対象。

alt. - Abeyance

アルバム (6/16)

 オーストラリア・アデレードを拠点に活動しているオルタナティブロックバンドの最新シングル。オルタナロックのアイデンティティともいえる型にはまらない音作り、独特なボーカルエフェクトやグルーヴィなサウンドには定評があり、Vo. Dan Richardsの表情豊かな艶のあるクリーンボーカルが陰鬱で美しい楽曲の世界観を最大限に表現しています。昨年Sharptone Recordsとの契約を発表し、The Plot In YouのLandon TewerやNorthlaneのMarcus Bridgeも制作に携わっている ''WRAITH'' を皮切りに、そのダークでカタルシス溢れる世界観を内包した先行シングルをリリースして来ました。

 待望のデビューフルアルバムとなる今作 ''Abeyance'' は、クオリティの高いバンドが集うオーストラリアでもハイクオリティかつユニークな存在になるべくリリースされた作品であり、個人的なお気に入りは先行MVが公開されておりVo. Daniel Cullen-Richardsの表情豊かで艶のあるコーラスが耳に残るTr.3 ''THE GREAT DEPRESSION''、不穏さと美しさが交わる楽曲に惹かれます。ほかにも同国のOcean Groveを彷彿とさせる跳ねるようなリズムがダンサブルなTr.5 ''BACK TO EARTH''、暗い曲調の多いアルバムの最後をカタルシスあふれるバラードで飾るTr.10 ''BETTER OFF LEAVING'' など、一癖も二癖もある楽曲が揃っています。

 また、Tr.6 ''APEP'' ではオーストラリア最高峰のニューメタルコアVoid Of VisionのVo. Jack Berginがfeat.。Void Of Visionの唯一無二の世界観とJackのハイピッチなシャウトはalt.のダークでキャッチーな作風にもしっかりマッチしています。


InFix - IGNITE

EP (6/18)

 神奈川県厚木を拠点に活動しているメタルコアバンドの最新シングル。新Gt. Takuyaが加入後、コ口ナ禍にも負けず音源リリースやライブ活動などを地道に続け、昨年は久しぶりの音源 ''STILL ALIVE'' をリリース。アグレッシブさやメロディなど楽曲の引き出しやクオリティの成長が感じられる作品をリリースし活躍の幅もより広がるかと思われた矢先に、Vo. yu-ma & Dr. Naoが脱退。しかし、バンドは歩みを止めず、Crystal Lakeの新Vo. オーディションに参加経験のあるHakkiを加え、新体制での活動が発表されました。

 新体制の名刺代わりとなる今作 ''IGNITE'' はバンドとしてもよりヘヴィかつアグレッシブな方向に舵を切った一作。注目を惹くのはやはり先行でMVが公開されていたTr.1 ''HAKA'' でしょう。ニュージーランドの先住民マオリの伝統的な踊りをリズムに取り入れた時点でユニークですが、そのヘヴィなブラストビートとビートダウンでモッシュ不可避でしょう。Tr.2 ''OVERKILL'' は過去作 ''M2'' を彷彿とさせるタテノリパートが印象的なトラック、Tr.3 ''SHIVA'' はDealerを彷彿とさせるニューメタルコアっぽいイントロとInFixらしいアンセミックで漢らしいコーラスワークが特徴的。新Vo. Hakkiの破壊力あるボーカルもアグレッシブな楽曲にマッチしています。

 先月 ''N.L.N.S'' では後述のSlyDoggyのサポートでBa. Yoshikiが大阪来てくれたのですが、そろそろ久しぶりに大阪でのライブも期待したいところです。開催は確約できませんがBuried Alive IVやることになったら呼びたいですね。



DIVINITIST - HAIL BARBATOS

シングル (6/18)

 新潟出身、現在は東京を拠点に活動しているデスコアバンドの最新シングル。Dooms Of Ghettoと同じく「残虐王国新潟」を象徴するNORTHLANDPUREHATEに所属しております。これまでも''Divinity Deathcore''と自称するブラッケンドやスラムなどハイブリッドなデスコアサウンドをSLAM WORLDWIDEから公開され海外からも話題を集めていましたが、今年に入ってカナダのブルータルデスコアBEYOND DEVIATIONのDr. Kris ChayerのレーベルShattered Earth Recordに加入しました。筆者も年始に仙台で初めてライブ観たのですが、とんでもないクオリティでした。

 レーベル加入後一発目のリリースとなる今作 ''HAIL BARBATOS'' は、人間が叩ける限界まで攻めていくドラミングをプレイするDr. Taiki、残虐すぎるスラムパートで無慈悲に刻んでいくかと思いきやデモニックなスウィープで邪悪さを増幅させるGt. Yuya & Yusukeも際立ちますが、やはり際立つのは狂気的な暗黒ガテラルからスクリーチまでこなすVo. Ryu Miuraの圧倒的なボーカル。最後のビートダウンとかリスナー皆地獄行き確定でしょう。初大阪(Dealerのサポートアクト)がコ口ナでポシャってから3年以上お預けになっているんですが、Ryuが「来年は大阪に来る(確定事項)」と断言しているので楽しみですね。

そして、MVに映っているベーシストのzuu (Optimist)はそのアグレッシブなステージングとタイトな演奏でライブでもサポートに抜擢されているんですが、彼のバンドOptimistも自分の企画Buried Alive IIIで初大阪なのでそちらもチェックを。



Imminence - Desolation

シングル (6/23)

 スウェーデン/トレレボリを拠点に活動するポストハードコア/メタルコアバンドの最新シングル。Arising Empireを代表するバンドの一つで、冬の寒さが厳しいスウェーデンの地域性ゆえなのか、澄み切った静寂と冷たく荒々しいサウンドのコントラスト、近代ヨーロッパをイメージした懐かしくも洗練された壮大な世界観、そしてピアノやバイオリンなどを不純物が含まれていない氷のように冷たくも透明で綺麗なサウンドスケープが特徴的で、ヨーロッパでは絶大な人気を誇ります。

 2021年にリリースした傑作 ''Heaven In Hiding'' から約2年(その間にデラックス版も出てましたが)、今作 ''Desolation'' では上述してきたImminenceたらしめるサウンドが正統進化。Tr.1 ''Desolation'' は彼らの作品の中でも最もハードな曲の一つで、荒れ狂う嵐のようなブラストビートから始まるイントロとヘヴィな刻みに反して華麗なバイオリンサウンドが舞う一曲。Tr.2 ''Come Hell or High Water'' では少しテンポをスローダウンさせ、冷たいシンセワークとダウナー目かつシンプルなリフワークでまとめていますがアウトロにはまさかのサプライズが。ほぼ正反対の曲調ながらバンドが同一の場所で演奏しているあたり世界観はつながっているものと考えられます。

 楽曲のテーマはどちらも「現代社会で人々が直面する葛藤や課題」や「絶望のから抜け出し光を追い求める人間の普遍性」となっており、MVでも曲のメッセージを反映させたものになっています。


To overflow evidence - seep

ミニアルバム (6/21) ※フィジカルのみでのリリース。

 福島・いわき市を中心に活動している激情・叙情エモーティブロック/ハードコアバンドの最新ミニアルバム。日本語詩を優しく切なくかつダイナミックに振り幅広く表現するサウンド、例えばポストロックからの影響下も感じる繊細かつエモーショナルに紡がれていくメロディや、一方で内なる激しさを前面に出すダイナミズムには定評があります。また、彼らはホームのいわき市にある三崎公園 野外音楽堂で ''ONA FES'' を主催しており、今年も8月下旬の開催が決定しています。

 音源リリースはHopeless RavenとのスプリットEP以来4年ぶり、そして単独作は2ndフルアルバム ''Clear'' 以来6年ぶりとなる今作 ''seep'' は「しみ出る、浸透する、染み込む」という言葉の通り、結成から20年たった今でもそのサウンドは研ぎ澄まされより深みのある世界観を提示していることがわかります。色鮮やかに表情を変えながら激情的に駆け抜けていくかと思いきや、繊細かつ穏やかに佇むようなパートまで変幻自在のリズムワークがもたらす緩急は感情に訴えかけてきます。個人的にお気に入りはTr.3 ''結晶''、歌/叫び/スポークンの織り交ざったボーカルワークで隙がありません。

 今作を引っ提げて来年春頃までリリースツアーを各地で開催することが予定されており、筆者も関西圏に来たらぜひ観に行きたいと思っています。


Crystal Lake - Denial // Rebirth

シングル (6/23)

 もはや説明不要かもしれませんが、日本を代表するメタルコアバンドの最新シングル。昨年にかねてから適応障害で前線から離脱していたRyoが脱退(現在はKNOSISにて活動中)、その後新ボーカルオーディションが行われていました。約半年間のオーディションをの末、最終的にはThe Last Ten Seconds Of Lifeで活躍していたJohn Robert Cを加え、新体制で活動を開始。筆者はオーディション期間含めて動画でしか観たことはないのですが、今のCLの規模とUSのデスコアシーンでやってきた彼の実力を考えれば順当な結果だったと思います(否定しているわけではない)。

 新体制初なだけでなく音源のリリースの2年ぶりの今作 ''Denial // Rebirth'' はCrystal Lakeにしかできないメタルコアを超越したサウンドを作り上げたといっても過言ではない作品。Tr.1 ''Denial'' では ’’Aeon’’ を彷彿とさせる圧倒的なブラストと刻みでリスナーを興奮させたことも記憶に新しいですが、Tr.2 ''Rebirth''ではそれすらも前振りにとばかりにヘヴィなサウンドに上乗せしてCrystal Lakeの様式美となるクリーントーンのメロディや、近年の作品では顕著になっている呪術的なコーラスパートが詰め込まれていて、Crystal Lakeひいては国内メタルコアの未来を予感させる出来でした。

 ただ、個人的に新体制Crystal Lakeで気になっているのは、攻め一辺倒だけでなく ''Apollo'' のような「引き」を活かした作風にJohnは対応できるのかどうか。SNSでの反応を見る限りクリーンも成長したと聞いていますが、いずれ実際に行って確かめたいと思います。

Texas In July - False Divinity

シングル (6/23)

 アメリカ・ペンシルバニア州エフラタのメタルコアバンドの最新シングル。August Burns Redと並び、変拍子や複雑な展開にテクニカル・パートを絡めながらも、重厚なブレイクダウンと叙情的なメロディを武器にした「PAメタルコア」のパイオニアです。2015年にバンドは一度解散したのちVo. JT CaveyはERRA、Gt. Chris DavisはThe Ghost Insideで音楽活動を続けていましたが、2021年末にホームでまさかのカムバック。あまりの反響の大きさに新曲の制作も決定されていました。

 筆者にとってメタルコアを語るのに欠かせない傑作 ''Bloodwork'' 以来約9年ぶりの新曲となる今作 ''False Divinity'' は、TIJ末期のストイックなテクニカルなメタルコア要素をそのまま提示した作品であり、タイトで技巧派なリフワーク、エモーショナルなメロディ、グルーヴィーなブレイクダウン、Dr. Adam Grayの手数の多いドラミングなど当時のサウンドが何一つ色あせないまま楽曲に残っていて安心しました。個人的にはBa. Ben Witkowskiのアグレッシブなステージングが相変わらずキレキレで安心を通り越して感動すら覚えます。

 ERRAもThe Ghost Insideもなかなか多忙なのでバンドとして精力的に活動するのは難しい気がしますが、Breakdown of Sanityのような音源リリースメインでもいいのでこのままバンドとしての形は残っていてほしいなと感じます。


ANNALYNN - Disappear

シングル (6/30)

 微笑みの国タイ・バンコクを拠点に活動しているメタルコアバンドの最新シングル。過去3度来日経験があり、2020年にはcoldrain主催のBLARE FEST出演に加えVoid Of Visionの来日ツアーにも帯同。近年もEMMUREを彷彿とさせる8~9弦ギターを用いた重量級のサウンドとワーミーの飛び道具は衝撃で、VOVにも劣らぬパフォーマンスを見せてくれていました。翌年にはアルバム ''A Conversation With Evil'' をリリースし、メロディアスなギターソロやクリーンボーカルを取り入れてより間口を広くしたアプローチでも話題になりました。

 そんな良作から約2年の歳月を経て、オーストラリアのレーベルGreyscale Recordsのロースター(Paleduskに続き、アジアのバンドでは2組目)に加入後初のシングルとなる ''Disappear'' は、前作で確立させたローチューニングモダンニューメタルコア+クリーンボーカルメロディをさらに押し上げた作品。一番のポイントはやはりGt.のBOSS(だっけ…?)のクリーンが前面に押し出されていること。ライブでは''Holy Gravity''などで歌っているところを観たことはありますが、MVなどではっきりと強調されているのは初だと思います。楽曲の構成自体もよりキャッチーな方向へ進み、前作同様より多くのリスナーへ間口を広げています。

 何度か言及していますが、Buried Alive IIIの前週にタイ・バンコクへ出張があるのでたまたまタイミングが合って観に行ける…なんてことにならないかと期待しています。


A Ghost Of Flare - GOD, FIRE, PUNK.

シングル (6/30)

 東京を拠点に活動しているメタルコアバンドの最新シングル。ミニアルバム ''鼓動'' で日本語詞+叙情パート+メタルコアの三本柱を築いた日本人ならではのメタルコアのスタイルを確立させて以来10年以上日本のメタルコアシーンで活躍していますが、その貫禄はVo. Yojiro, Gt. Yu-taro, Ba. UEDAの正規メンバー3人の状態になっても変わらず。近年はYu-taroがNOCTURNAL BLOODLUST, UEDAがSable Hillsに加入したこともありAGOFでの活動はマイペース気味になっていますが、それでも定期的にライブ活動は行ってきていました。

 2019年にリリースされたキャリア初のアルバム ''Soulburner'' 以来約4年ぶりの新曲となる今作 ''GOD, FIRE, PUNK.'' は、過去作 ''S.P.I.T'' を彷彿とさせるアップビートなノリのメタルコアソングをベースに反骨精神あふれるジャンルに縛られないアプローチがふんだんに盛り込まれており、イントロのガバキックから始まり、日本語詞 & 英語詞を織り交ぜながら繰り出されるパーティー感あふれるユニークなリリック、そしてアウトロのスーパーローチューニングブレイクダウンと、今までバンドとしてやってこなかった要素にあふれていて驚かされます。ソングライターのYu-taroがノクブラで得た経験からインスピレーションを受けているかもしれませんが、真実はどうなんでしょうか?



SUBLIMINALS - Chase Again

シングル (6/30)

  大阪を拠点に活動しているメタルコア・ポストハードコアバンドの最新シングル。度々紹介している通り、現在の関西メタルコア・ポストハードコアシーンで最も勢いづいているバンドの一つとして、昨年はデビューEP ''Catharsis'' をリリース & 初レコ発ではソールドアウト。今年に入ってからは兼ねてからライブで披露されてきた ''Bad Lady'' の音源化に始まり、4月には初東京でのライブを終え爪痕を残して帰ってきたりとますます勢いに乗っている状況ではありますが、ダメ押しとばかりに新しい音源をリリースしてきました。

 5月のHOTOKEの ''CASTER SYSTEM'' リリースツアー大阪編でサポートアクトに抜擢されたときサプライズで披露 & 6月のMV化が予告されていた今作 ''Chase Again'' は、今回もR&Bやヒップホップなどを取り入れた予測不能でジャンルレスな音楽性を内包しつつ、アップテンポで予測不能なアプローチにあふれているキラーチューン。先日ソロでもEPをリリースしたSleep Dawのラップとスクリーム、そしてAtsushiのソウルフルなクリーンボーカルの組み合わせなども中毒性が高いですが、しれっとラスサビでピロピロやってるGt. KENCHANにもニヤリとしてしまいます・

 導入見ればわかる通り、Optimistと同じくこのバンドもBuried Alive IIIに出演が決定しており、破天荒に暴れまわる唯一の大阪出身が各地の同世代とガチンコでやりあう姿は必見です。

 

Elwood Stray - Gone With The Flow

アルバム (6/30)

 ドイツ・エッセンを拠点に活動している「モダン・ハードコア」バンドのデビューフルアルバム。バンド自身はニューメタル要素の混じったモダンハードコアと語っているものの、偶然にもEvery Time I DieGreyhavenのようなアメリカ南部の泥臭さあふれるロウなサウンドとバウンシーなリフワークが特徴的で、しかしながらヨーロッパ出身らしくどこか冷たさや影を感じさせる気がしてならない独特な個性のある印象でそれが魅力でもあります。

 Betraying The MartyrCane Hillも所属している母国レーベルOut Of Lineからリリースされた今作 ''Gone With The Flow'' は、上述したモダンハードコア+ニューメタル+サザンメタルをミックスしたサウンドをヨーロッパのバンドらしく厳格かつ冷ややかにした印象で、ボーカリストのどこかKeith BuckleyのロウなスクリームやGt/Vo. のNoah Sebastian (Bad Omens)の流麗なクリーンを彷彿とさせるボーカルアプローチもハイブリッド感あって面白いです。Tr.2 ''Playing Along'' やTr.3 ''Half-Life'' の力強いサビメロもキレキレでイケてるし、Architectsを彷彿とさせる短いインタールードから今作屈指のメロディックハードコアチューンTr.8 ''Seasons'' の流れも良いです。

 最後の ''Pendulum'' まで生々しいサウンドとむき出しの感情を露わにしている今作、日本での知名度はほとんどないかもしれませんが今作はチェックしても損はないでしょう。




HONORABLE MENSIONS


Fox Lake - Fear & Loathing
EP (6/16)

 アメリカ・コロラド州デンバーを拠点に活動しているメタリックハードコア/ニューメタルバンドの最新EP。グルーヴィーなバンドアンサンブルとVo. Nathan Johnsonのラッピンなボーカルスタイルは国内で言えばReVERSE BOYZTIGERが好きなリスナーにはぶっ刺さるかと思いますが、特にTr.3 ''Gaslight'' ではキレキレのリフワーク/ビートダウンにMarc Zelli (Paleface Swiss)の悪名高いブチギレグロウルが乗ってモッシュ不可避です。


Capsize - Lost in the Silence
シングル (6/16)

 アメリカ・カリフォルニア州サンディエゴを拠点に活動しているメロディックハードコアバンドの最新シングル。昨年Vo. Daniel WandとDr. Andrew Tamayoのプロジェクトという形として復活し、新曲 ''Fading Face'' でカムバックを果たして以来定期的にシングルをリリースしてますが、今作も過去作 ''A Reintroduction: The Essence Of All that Surrounds Me'' の系譜を受け継ぐ00'sスクリーモリバイバルをモダンにブラッシュアップにしたサウンド、そしてエレクトロサウンドがアクセントになっていて今回も良曲です。


Pray for my Past - Colorless
シングル (6/20)

 名古屋を拠点に活動しているメタルコア/ポストハードコアバンドの最新シングル。今年に入って新たに始動したバンドでメンバーの詳細など詳しいことはわかっていませんが、A Curtain Of MistSCYLAなどを彷彿とさせるスペーシーなサウンドスケープ、SatylusのKyoheiにも近いボーカリストのハイトーンクリーンが特徴的です。このバンドのメンバーが先日A Curtain Of Mistのサポートをしていたとかいう噂があるようですが、本当でしょうか…?




SlyDoggy - SAVIOR
シングル (6/23)

 先月筆者の自主企画 ''N.L.N.S'' で初大阪上陸を果たした、東京を拠点に活動しているラウドロックバンドの最新シングル。この記事の投稿があまりに遅くなってて今更感ありますが、N.L.N.Sに合わせてリリースしたという粋なことをしてくれました(本当にありがとうございます)。エレクトロサウンドを交えた四つ打ちのリズムやC-GATE時代からそうだったVo. KENTOのキャッチーなサビのコーラスライン、そしてデスコアさながらのタイトなビートダウンパートなどハイブリッドなスタイルは多くのリスナーを惹きつけることを期待しています。


4 Roses - Rose are Red
EP (6/26)

 東京を拠点に活動しているエモ/スクリーモ/ポップパンクバンドのデビューEP。先日SHIBUYA THE GAMEでもレコ発を開催したのも記憶に新しいです。先行シングルとしてリリースされていたTr.3 ''New Day'' を含め3曲が収録されています。ポジティブなリリックとアップビートな曲調で元気いっぱいですが、Tr.1 ''You & Me'' はブン回し必須なモッシュパート、Tr.2は東京の先輩ポップパンクバンドの某曲をオマージュしたようなシンガロングパートがあってニヤリとしてしまいます。

Orthodox - Soaking Nerves
シングル (6/27)

 アメリカ・テネシー州ナッシュビルを拠点に活動しているメタリックハードコアバンドの最新シングル。Vo. Adam Easterlingのまとわりつくようなヴォーカルや、ハーモニクスを取り入れた癖のあるリフワークからも90~00年代のニューメタル/ミクスチャーからの影響を感じられ、昨年のアルバム ''Learning To Dissolve'' も良作でした。久しぶりの新曲 ''Soaking Nerves'' も前作の雰囲気を踏襲しており、プログレッシブに片足突っ込んだ目まぐるしいギターワークと暴力的なモッシュパートは癖になります。


Sedative - Ain't No Love
シングル (6/30)

 オーストラリア・パースを拠点に活動しているニューメタルコアバンドの最新シングル。昨年にはデビューアルバム ''Death Romantic'' をリリースし過去の記事でも取り上げていますが、今作も「とんでもなくヘヴィーなバンド」を目指して活動しているだけあって、VarialsTallahのようなスリリングなニューメタルコアを彷彿とさせるアグレッシブなビートダウンが暴力的な衝動を駆り立てます。所々録音されたテープのようなセリフを取り入れているのも不穏さを増幅させています。


Weeping Wound - light.blooms
シングル (6/27)

 アメリカ・フロリダ州を拠点に活動しているニューメタルコアバンドの最新シングル。昨年にはEP ''idontbelonghere'' をリリース、ノイズ/インダストリアル調のアレンジを前面に押し出した緊張感とカタルシスを覚える良作でしたが、今作も基本的な路線は踏襲している様子。ただ、今作は ''PAIN'' で顕著だった凶悪なビートダウン要素を復活させており、誰が呼んだのかこの曲が ''ビートダウンをフィーチャーしたSlipknot'' と評されている様子。個人的にはDylan Torreのメランコリックなボーカルも気に入っています。


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