''Buried Alive II''、圧倒的ドカライ。
「ライブハウスで聴くであろう数年分の重低音」を一気に聴いたせいでしょうか、火影から地上に上がってから上昇不可がまだ抜けません。自分だけじゃなく他の方も続々と上昇負荷の報告が来ておりますが皆様大丈夫でしょうか?「当日は四日市CHAOSに行くための体がもう一つ欲しかった」Ryotaです。
キャンセルになったバンドが出ずにBuried Alive IIを無事に終えることが出来ました。何もできずヤケになっていた頃を経て、盛り返してきている関西のメタルコア・ポストハードコアシーンに対してどのように新しい刺激を注入していくのか、今年に入ってからFieldismでのライブレポや新曲特集のリリースなど活動していく中でずっと考えていました。その中でそこら辺にあるようなただ「カッコいいバンド集めました」だけで終わらない「ライブハウスやバンドのブッキングではなかなか実現できない極端なことをやろう」という血の通った信念を最重視してきました。集客・利益はまだまだ向上の余地はあると思いますが、皆さんのリアクションを見るに当初の予想よりも反響が大きかったようで安心しました。
先日のライブで感じたこととか書き綴っていこうと思います。長くなりますが、来場していただいた方も、出演していただいた方も、お付き合いいただければ幸いです。
謝辞は最後にまとめさせていただきます。
※各出演者・関係者の名前は原則敬称略になること、予めご了承ください。
不祀
Buried Alive IIの開幕を飾るのは、今回の公演においてCYANSEAと並んで関西の看板を背負うメタル百鬼夜行不祀。前回に引き続き、今回もトッパーを務めていただいたのですが、それは彼らの暗黒サウンドが ''Buried Alive'' という企画のダークな部分を一番体現してると言っても過言ではないからです。それほどまでに彼らの音楽と世界観に絶対の信頼を置いています。あとは彼ら自身の企画でおじゃんになっていたEvilgloomとの共演や、彼らがかねてから共演したがっていた提婆達多と共演させたかったのも大きいです。
Ba. ケイタが育児休暇中(?)のため、サポートにWest Side UnityのビートダウンハードコアUNHOLY11の晴仁が参加。彼も提婆達多をずっと観たかったそうで共演が決まった時めちゃくちゃテンション上がってましたね。自分も入りの時点で彼に「めちゃくちゃ楽しそうじゃないですか~」って言われたんですが、自分の企画でお互いを意識していたバンドの共演を実現させることができて嬉しくないわけがないです。
もはやおなじみとなった宗教染みたフラッグや異様なメンバーの出でたち、火影のライブ自体久しぶりということもあってゼロ距離で伝わってくる和洋織り交ぜたカオスな雰囲気に思わず身構えてしまいます。ブラックメタル・デスメタル・ハードコア等からの影響を昇華して、荘厳かつ神秘的でどこかオリエンタルな雰囲気を纏った、唯一無二の暗黒サウンドはトッパーにして既にオーディエンスを飲み込んでしまいました。多弦ギターを用いているとはいえ、高摩擦トレモロやコードを用いた高音成分の多いリフワークやブラストビートはクソデカ音圧推しのバンドとは違う苛烈さを出しています。
基本的にアルバム ''Ena'' 収録曲主体のセトリで臨んでいた不祀でしたが、初期から演奏されている楽曲 ''Zuwwari'' も披露。前回はイントロみんな合掌するという、某教会のせいで今の情勢ではなかなかセンシティブなカルトじみた光景が見られましたが、最近は皆で手拍子するスタイルに変わっていますね。途中のスラムパートは回数を重ねるごとにどんどんスローになっていってますがもはや一種のモッシュパートと化していて、これからこの光景を今日何度も見ることになるんだろうなと盛り上がりから確信しました。
実は今回音源未収録の新曲 ''wasrel'' を初披露。「生きている世界で直面する苦しみと向き合う」ために日本語詞も積極的に取り入れていることは、以前の新曲紹介や礎企画でのライブレポでも話してきた通りですが、この曲もおそらく同じ。狂気じみたシャウトやグロウルを用いるVo. Queiguoですが、この曲では ''グリーフ'' と同じく演歌/歌謡曲っぽいボーカルアプローチも見られます。疲れているのか足元がおぼつかないのかふらついて倒れたりしてましたが...
最後は代表曲 ''kkekke'' の無音ブレイクダウンで大きく落として終了。トッパーとしての役割を十二分に全うしただけでなく、打ち上げでは提婆達多ともソウルメイトになってて終始楽しそうでした。
不祀の次回のライブは12/2にアメ村DROPで行われる後輩の京都スクリーモSheeSawHarmの企画 ''黎明ノスタルヂア'' です。You ExistやOLPHEUSなど同世代や、SSHと同世代のBear KnuckleやAMИESIAなども出演する関西勢大集結祭り。既にソールドアウト近いそうなのでご予約はお早めに。
ELYSIUM
2組目は前回トリ前を務めた東京(名目上)DjentヤクザELYSIUMでした。前回出演いただいたときは人間的な温かみが削ぎ落とされた硬質なチャグを始め、「お前たちのおかげでコロナも◎んだよ」「1人あたり5人◎せ」などのパワー満載のMC、そしてSigns of the Swarmから貰った「後方にいると体調が悪くなるクソデカベースドロップ」を使ったコントなど、ライブハウスの内外でその破天荒ぶりをオーディエンスに見せつけてくれました。
今回あれから3年近く経って前回と大きく客層が変わっていることもあり、彼らのライブに対してどのようなリアクションが返ってくるのか不安を感じていました。しかし、フロントマンに新しくDすけ & キョウチャンを迎えた現体制ELYSIUMはそんな不安を大きく覆してアウェーのはずのフロアを飲み込んでしまいました。
新体制になってリリースされた楽曲 ''BARYON EATER'' ''MINDLESS Receiver'' などオリエンタルなシンセやトラップ要素を落とし込んだ彼らのノリやすいDjentサウンド、個性的なハイトーンクリーンの持ち主キョウチャンとLANDMVRKSのFloばりにメロシャウトや早口ラップを起用にこなすDすけの変態的なボーカルアプローチはガッツリオーディエンスの興味を惹きつけたと思います。''MINDLESS Receiver'' ではEvilgloomのDemiがこの曲に合わせてオリジナルのバースを蹴ってくれました。嬉しいサプライズ。
Dすけの「全国からバンドが集まっている今日の企画、誰が一番ヤバいか決めてくれ!」とセトリの4曲目には未発表の新曲 ''O2'' を披露。エスニック・トライバル+EDMを組み合わせたシンセと女性ボーカルのサンプリングから始まるイントロからもうイカれてますが、ボーカル二人の多彩なアプローチや「めちゃくちゃ難しい...」とDr.ふぃんがため息をこぼすほど変態的な楽器隊のテクニックなど聴きどころしかありません。当日は途中まででしたが、相当ダンサブルなDjentになっているので今後の音源化に期待。でも「0を掲げろ」の後に「みんなで一つになろう」のMCは矛盾していませんか?(厄介オタク)
破天荒な要素は今回も満載。Gt. Takumi & Nozomiは釣りが趣味で、前日は琵琶湖 & 当日ライブが終わってからは大阪湾に釣りに行ってましたが、彼らの番になると下手にはコーラスマイクではなく釣り竿が掛けられてありました。しまいには最後の''KjÆrlighet''のブレイクダウンではNozomiが演奏を放棄してフロアで釣りをする始末。Dすけも''KjÆrlighet''前のオーディエンスからのヤジに対して「(元メンバー)のことは忘れろー!」って言っておきながらブレイクダウンで「1人あたり全員◎せ」と煽っていくスタイル。なーにやってんだよー(ぱ◎せんTV風)。
ごめんちょっとよくわからないから誰か説明してくれる?
各々が新潟・青森・岡山・千葉・東京に散らばってるというのもありますが、これだけカマしといて次のライブ決まってないらしいので、彼らが会場のスピーカーのグリル吹っ飛ばしたとしても自腹で弁償する覚悟のあるバンドやイベンターがおられましたら誰か誘ってあげてください。
Bloom in the Crevasse
3バンド目は東京ダークメタルコアBloom in the Crevasse。こちらも前回のBuried Alive以来約3年ぶりの大阪公演になります。結成初年度からがっしー君も自分もそのポテンシャルの高さと勢いには目を付けていたのと同時に、当時はデビューアルバム ''Alter Ego'' がリリースされたこともあってロングセットという無茶ぶりをさせました。このバンドに関しても、がっしー君の知人友人が多かった前回とは客層が結構変わっているのでどんな反応が返ってくるのか不安でしたが、杞憂でしたね。
今年の3月に結成メンバーのBa. Shomaが脱退したため、今回は東京で活動しているモダンメタルコアLost in againのBa. Akuruをサポートメンバーに加えて出陣。BitCのベースはただでさえチューニングが人道に反するレベルで低いうえに変則的ですが、Lost in againもそれに違わぬ低さなので彼にとっては大した問題じゃないと思います。
実際のライブですが、コロナ禍でもシングル ''Backstab'' のレコ発や東京での不祀との共催など歩みを止めずに精力的にライブ活動を続けてきたこともあってか、元々高かったポテンシャルが更に伸びた印象でした。セットリストは今年リリースされたEP ''R.E.V'' から選出されていて、音源自体もこれまで以上に曲調やリズムパターンのバリエーションに富んでいて面白い作品になっていましたが、ライブでの迫力はそれ以上でしたね。
体調が芳しくなかったとは思えないVo. Keita Miyagawa a.k.a. Groovy Asian Tiktoker (マグマの人)のバカでかい声量のグロウル、ヘッドレス8弦ギターを抱えて軽快にフロアを動き回るGt. Manachiなど、彼らのステージングは観ていてスリルを感じます。それでいて共演者曰く「音が整ってるし、ボーカルもすごいクリアに聞こえる」レベルのクオリティなのとんでもなくないすか?
セトリの楽曲についてもう少し触れてみましょう。1曲目にやったMV曲 ''Hollow Point'' ではスリリングかつハイペースに駆け抜けていき、不安をあおるシンセアレンジが特徴的な''Musket'' では今までのBitCではあまりやってこなかったリズムパターンが飛び出してくるかと思いきや、ギアを巧みに上げてテンポチェンジして一気にぶち上げてきます。Keitaも「もう一度踊ってくれますか?」と淡々に煽っていくかと思えば瞬時にギアを上げて狂気じみたブチギレスクリームを出してきたりするので気が抜けませんね。
''Jagd'' では中盤のモッシュパートで危ない感じに。Akuruも演奏を放棄してベースを置いて床を殴ったりジャケットを脱いだりしていてそのぶち上がりようがひしひしと伝わります。火影というアングラ感漂う環境がいかに人を狂わせるかがわかりますね。
最後にプレイされたBitC屈指のキラートラック ''Backstab''ではEvilgloomのsup. Gt. $ANA£-monがまさかのfeat.。誰も予想だにしなかった客演とOceanoのAdam Warrenを彷彿とさせるタフすぎるシャウトでオーディエンスのテンションも爆上がり。これにはKeitaも「大阪最高です!いい、すごく良い、すごく良い!」と煽っていくスタイル、そしてバンドメイトのJustyも思わず踊り出すほどうれしいサプライズ。
久しぶりの大阪かつKeitaが体調不良にもかかわらず、それを感じさせない気迫でブチかましてくれたBloom in the Crevasse、ライブ中は彼らの敏腕スタッフRikoが彼らのライブの光景をずっと撮影してくれてましたが、Manachiが匂わしてる通りもしかしたらこの日の様子が動画になるかも?どのように仕上がってるかめちゃ楽しみです。
CYANSEA
アビスの祭典の折り返し4組目はホーム大阪で最先端と駆け抜けているメタルコア/ポストハードコアバンドCYANSEA。今回の出演アクトで最も新しいバンドながら、Seize The Throne, SUGGESTIONS, Wavelets, Color of Threadなどで活躍してきた各メンバーのキャリアは申し分ないうえ、昔から変わらないVo. Hayataのパッションに満ち溢れたストレートど真ん中なパフォーマンス、各楽器隊(特にGt/ProgのMasayuki)の音楽に対する造詣の豊富さやタイトな演奏技術も相まって、時代が追い付かないくらいレベルで予測ができないスリリングなサウンドをかましてくれます。
結成メンバーのHayata, Kame, Masayukiはかれこれ4年くらい前から別のバンドでライブ観てたので言うまでもないですが、今回はTakeru (Ex. one l∧st chair & Color of Thread) が正式加入してから初めての大阪でのライブ。TakeruとSup Gt. のMVCKYに関してはStay Nerd / Stay Emotionalの時にColor of Threadで大変お世話になったのでシンプルにまた出てもらえて嬉しかったですね。
全身白の衣装で統一したメンバーが出そろい、雷鳴と不穏なオルゴールのインストと共に「一緒に爆発しようぜ」とHayataが煽った矢先にデビューアルバムから ''Tempest'' をプレイ。単純な''クソデカ音圧''や''ダーク''とはまた違うベクトルのカオスなサウンドがフロアを襲います。CYANSEAのライブと言えば、アナログシンセを始めとした同期用の機材などを持ち込んだ複雑なセットが目を弾くのですが、火影のスペースに収まったようで安心しました。ただ、リハ後に機材トラブルがあってMasayukiが外出してて顔合わせ後の集合写真には入れなかったのは申し訳ないです(終演後はオーディエンスや共演者との交流の時間を設けたかったので)。
そこから''Gemini'' → ''Unstable'' → ''HヨRO'' とアグレッシブなセットリストで畳みかけていきます。ハヤタの「どいつを◎そうかなぁって物色する目(モロナガ談)」をしながらオーディエンスを威圧していくエネルギッシュなパフォーマンス、急なテンポチェンジや飛び道具も流動的にこなしていく隙のない楽器隊の演奏(特にGtやClean Vo.やSynthを忙しなくさばいていくMasayuki)はいつ見ても度肝を抜かれますね。
後半戦では直近でリリースされた新曲 ''In Front of My eyes'' を大阪初披露。CYANSEAの楽曲でおそらく初めてになるであろう、頭からMasayukiのしなやかなクリーンボーカルから始まる楽曲。ただ、メロディック一辺倒ではなく予測不可能なテンポチェンジは健在。インスピレーション元はJ-POPやエレクトロニカだけでなく意外な楽曲も入っているので是非チェックしてみてください。
最後はブレイクビーツ/テクノをバンドサウンドに取り入れた ''Psychedelia'' であっという間にセットリストを駆け抜けていきました。この曲に関しては、凡庸なメタルコア/ポストハードコアバンドにありがちな「取り合えずシンセ入れときゃええやん」な陳腐なものではなく、電子音楽の土台にバンドサウンドを融和させる創造性や柔軟性がなせる業だと思います。
今回のアクトの中では変化球的な存在でしたが、一聴では予測できないトリッキーなサウンドでヘヴィネス一辺倒だけではないカオスを見せつけてくれたCYANSEA、現状解禁されている今後のライブは後輩のSUBLIMINALSレコ発(11/4)と不祀の欄で先述した ''黎明ノスタルヂア''(12/2)の2件です。どちらも関西ラウドシーンの盛り返しを意識した1日になっているのでお時間ありましたら是非(11/4は㊗️ソールドアウト)。
Evilgloom
後半戦一発目は福岡 ''Heavy New Groove'' Evilgloom。彼らのファッションと同じくらい最先端を行くニューメタルコアを基軸に、ヒップホップから影響を受けたDemi(企画の翌日が誕生日、おめでとうございました)のフロウやベースミュージックを始めとする様々な電子音楽の要素を取り入れたドープなサウンドは人気を集めつつあります。Paleduskや眩暈SIRENもそうですが、九州はバンドサウンド+シンセという図式において独自の個性を持っているバンドがめちゃ多い印象です。
今回はSupport Gt. $ANA£-mon(くだもの農家)含めた5人体制で出演。リハの時点で「ギター少し低い音出します(ダブルドロップB)」と、ただでさえチューニングが異常に低いのに何が「少し」やねんって話ですが、本番でも脳震盪が起こる人が出てもおかしくないくらい人道に反している音圧と重低音で狂いました。
その場にいた人はもちろんTLに上がっている動画観た人も伝わってるかと思いますが、過去一盛り上がってたんじゃないですかね?サプライズでリリースされた最新作 ''INTERLVDE'' からもうパーティーハードでしたね。例のパンチライン「無駄なライム吐かない ダサい靴も履かない」も大合唱が聞こえてました(195 ich-kyu-goのマコとケイGJ)。このあたりから「USJハロウィンの下着風コスギャル」から「渋谷ハロウィンの露出狂まがいの牛ビキニギャル」並みの熱い雰囲気に。比喩じゃなくてリアルにギャルがいたら完璧だった。
ここクラブ?
以降2曲目''Gnarly''からは休む暇なくグルーヴィーな最先端のニューメタルコアをぶちかましていきました。''Anathema''ではGt. YuUやBa. Justyが観客のいるフロアに飛び出していき、モッシュも当たり前に発生。セトリの4曲目 ''Sickness 1.3.9'' では「クソ楽しいな大阪ぁー!でももっと行けんだろコレェ、やれやボケェ!」と体格の良さもあって完全に輩になって煽り立てるDemi、さらにブレイクダウンでは音源でmakeshift / HERWITのVo. Naokiがfeat.するパートを提婆達多のSuguruが担当。陸路で1,400kmの2バンドが奇跡のコラボかましてて素晴らしかったです、途中でSuguruのマイクのケーブル抜けちゃったけど。
彼が前日にMOROHA聞いてたからなのかはわかりませんが、Demiのクソドカ感情MC「全国から今日ここに集まったバンドの誰かが仮に5年後10年後にCrystal Lakeみたいになって、昔を振り返った時に『Buried Alive IIヤバかったな』みたいになったらめっちゃ良くないですか?」はマジで開催して報われた感ありましたね。個人としてもEvilgloomは2年前の初ライブ以来ずっと「Buried Aliveで呼びたい」とラブコールしてきたので感慨深いです。
最後はEP ''Keter'' から1曲目 ''Bhoot'' 、「お前らの遊んでるとこ見してくれよ!」「行けボケェ!」と煽った矢先に最大音圧+重低音ブレイクダウンでもうそれは大変な感じに。尋常じゃない熱量で30分のセットリストを駆け抜けていきました。
大阪2回目にして異常な盛り上がりを見せたEvilgloom。開演前に礎に行ってもらいましたが、その際に先述のEP ''Keter'' のフィジカル盤が礎に納品されましたので普段なかなかライブに行けない遠方の方はチェックしておいてください。
提婆達多
トリ前は仙台が生んだデスコアシーン最大の異端者提婆達多。唯一無二のオリジナリティに満ちたバンドが大阪に、しかも自分が主催する企画に出演する話が決まった時スマホ片手にブチ上がったのを今でも自覚していますが、それ以上にデスコア/メタルコアが好きなオーディエンスには是非彼らのサウンドを直接ライブで体験してほしかった。オーディエンスだけでなく他の出演者の反応を見ると、今回のイベントに出演していただいた意義は大いにあったと思います。
ニューメタル+デスコア+仏教を軸にしたヘヴィーかつグルーヴィーなサウンドながら、メタル/ハードコアのサブジャンルだけでなく非バンドサウンドまで吸収した楽曲陣は聴いてて楽しいです。直近の音源のライナーノーツやインタビュー記事を読めばわかりますが、彼ら(特にVo. Suguru Ohtaka)は本当に音楽の分野に造詣が深いです。変拍子・ポリリズム・ワーミーなど駆使しながらも単なるリフの寄せ集めで終わらない楽器陣やSuguruの「楽曲の雰囲気を最大限表現した」多様なボーカルアプローチなど、バンドやっている人間は相当な刺激になったんじゃないでしょうか?
年始にリリースされたEP「道連れ」の楽曲を主体に''Abuse'' ''Bless''などの代表曲がちらほらと、持ち時間30分をフル活用したセットリストでしたが、feat.も激アツでしたね。オープニング ''Gain'' ではCYANSEAのHayataがストレートな声力と普段あまりやらない低音グロウルを披露し、Korn要素強めな''What's Nu'' では東京公演と同じくBitCのKeitaがスラムパートに便乗して声の強さを前面に押し出したグロウルをぶちかましてくれました。
ただ、今回の提婆達多のライブでサプライズだったのは最後にBPM280になる''Purple Gasoline''初披露でしょう。この曲はボーカルのピッチシフターを使用しているうえ「音源ならライブで再現不可能なことをやってもいい」をコンセプトにしていたらしいので、セット図貰った時に「マジでやるの?」って思ったのはここだけの話。自分たちの楽曲にfeat.を入れないどころか仲のいいバンドでもなかなかfeat.しない不祀のQueiguoも本家に劣らないパフォーマンスを披露しててぶち上がりでしたね。
次のNimbusもそうなんですが、初めての大阪にも関わらず予想以上にオーディエンス&共演者双方から大きな反響がありましたね。''What's Nu''や''Sounds Like a Knell''ではリフ/スラムパートが始まった瞬間にモッシュが始まったり、打ち上げでもお互い兼ねてから意識していた不祀とめっちゃ仲良くなってましたね。そういう意味でも今回の試みは大成功と言えます。
初大阪にしてオーディエンスに大きなインパクトを残していった提婆達多ですが、来年1月には同郷の新鋭メタルコアOptimistとの共同企画 ''Virgin'' がホーム仙台で開催されます。DECEMBER EVERYDAYやDIKTATORのローカル陣だけでなく、県外(主に新潟)から豪華なメンツがやってくる熱い一日になりそうなので遠方になりますがチェックしておきましょう。
Nimbus
大トリは"Tokyo Heavy Cult'' Nimbus。いつか大阪に来てくれないかな~とか思ってたらまさか自分が呼ぶことになるとは思わなかったです。紹介してくれたELYSIUMのDr.フィンのおかげでしかないですが、確かに破壊力のある若手のメタルコアといえばNimbusの印象が強かったですからね。
ただ「関西のポストハードコア/メタルコアシーンにカンフル剤を打ち込む」という今回の趣旨で言えば、一度彼らのライブを直接観て確かめてほしかったという思いが強いです。始動から今に至るまで幾度のメンバー脱退・存亡の危機を乗り越えて立ち上がってきた彼らの不屈の意志、なによりVo.Tamaの並外れたグロウル・スクリームを始め各メンバーのストイックな姿勢からくる鉄壁のパフォーマンスに圧倒されてほしかった。
1曲目からヘヴィネスにガン振りした定番曲’’Bloody Trigger'' で○す気マンマン。「全然足んねえよボケ!」とTamaが節々で煽り立てていくんですが、その圧倒的な破壊力で完全にアウェーだった大阪のライブハウスをあっという間に支配していました。例の後半のブレイクダウンは「暗黒ラジオ体操第一ー!」と叫んだ後にTamaにWill Ramosが憑依。人が沢山○にました。
そこから高速エモーショナルな ''Promise'' へと畳みかけていきます。鉄壁の演奏力に裏打ちされたタイトなライブとGt. Fujiの歌わせるようなリードギターで皆メロイックサイン。さらには途中でTamaが突っ込んできてクラウドサーフ、胴上げが始まったりといい意味で大阪らしさが出ているフロアに。さらに ''KING'' のイントロでは初大阪(ここ重要)なのに絶叫大会がスタート。みんな予習完璧じゃないですか?ちなみに優勝は間違いなく上手のマイクを奪った自分です。
「今日全国からここ(火影)に集まってきたバンドは全員リアル、SNSで後ろから指す卑怯者じゃない、ここがリアル、マジな話しようぜ」とTamaが煽り立てていくうちに今回のセットリストで最もヘヴィな楽曲 ''REAL TVLK'' へ。デスコア/ハードコア要素が見られるクソデカ音圧のリフワークと人道に反したブレイクダウンでそれはもうフロアが大変なことに。Tamaの煽りも「オイ動くの止めたら○すぞ!」とヒートアップしていきます。何回でも言いますけど、初大阪です。
そしてBuried Alive IIは「今日ここにいる皆、伝説の中の一人にいるんだよ、最後の曲みんなわかってるよな?」とのTamaのMCの通り、現体制Nimbusのアンセム ''NOVA'' で終結に向かいます。サビでは「一緒に歌おう、これはお前らのマイクだぞ!」の通り全力シンガロングが聞こえ、モッシュパートではGt. Tanikiがギターを放り出しでモッシュピットに突っ込んだ後にボーカルに転身したりとまさに異常事態でした。そろそろ彼に「君はギタリストだよ」って誰か諭してあげてください。後半はFujiのクサすぎるリードでみんなスタンディングオベーション。
う
初大阪とは思えない異常な盛り上がりで幕を閉じたNimbusの初大阪、セトリで音源化されてるのが ''Bloody Trigger'' ''NOVA'' の2曲だけなのにもかかわらずフロアをぶち上げていくのはやっぱりバンドとしての地力がそこらの近しいバンドと比べて頭一つ抜けてるのとTamaの自信溢れるショーマンシップ故だと思います。フロントマンのオーラはELYSIUMのDすけやEvilgloomのDemiにも共通するところですね。
次回のライブはホーム新宿アンチノックで大阪の先輩イベンター(東京在住)Chisaの企画Harmoniaです。Buried Aliveとは別ベクトルで攻撃力にガン振りしたメンツですが、ホームでの公演は先日以上の盛り上がりを期待してます。
謝辞+α (長くなります、すいません)
過去3回やってきた企画の中で最も手応えを感じた1日だったと確信しています。各バンド・オーディエンス双方から見ても隙のないキャスティングだったと思うし、全バンドがキャリア史上最高レベルのパフォーマンスを披露したんじゃないですかね?
また嬉しかったことは、今回はどのバンドの時も満遍なくフロアに多くの方が入っていて本当に嬉しかったです。前回のBuried Aliveはバンドによってフロアの密度に差があった印象だし、今年に入っていろんなライブに足を運んできて「大御所や人気のバンドに集客が偏りすぎて、物理的にも精神的にもアウェーな環境でやることになるバンドがいるってのは理想じゃない」って考えてきてキャリアの近いバンド同士をぶつけてきたのですが、そういう意味では今回は大成功と言えます。
まずは可能な範囲で色んなバンドに興味を持って生で観てくれたオーディエンスの皆様、貴方達は最高です、本当にありがとうございます。これからも信念のあること・面白いことをやっていきますので今後ともチェックいただけると幸いです。
次に関西の若手バンドのSUBLIMINALS, SheeSawHarm, Like Tears In Rain, TEZELLVEIN, 195 ich-kyu-go, Sleepless With Isabelle, NINTH IN PLUTOのメンバー各位, 遊びに来ていただき本当にありがとうございました。今回県外のゲストの演奏を観て何かを感じ取っていただき、今後の活動に活かしていただけますと主催冥利につきます。もしご縁があって一緒に何かやることになったら何卒よろしくお願いします(もし抜けてたらご指摘ください猛省します)。
LAST DAY DREAMのSaimoticさんとLyuさん、Betrayer Death Penaltyのかわんちゅ君、八咫烏の淳太郎さん、普段から自分の活動をチェックしていただいているのと同時に、遊びにいただき本当にありがとうございました。この日が新たな刺激になったと同時に、関西のシーンがまだまだ可能性に満ち溢れていることを再認識されたことを切に願います。
いつもお世話になってる礎のCUBEさん、自分がどうすればいいのかわからずヤケになってた時に厳しい言葉も含めて叱咤激励いただきありがとうございました。あの言葉があって何をできるか自分自身でゆっくり見つめ直した事で今に至っていると思います。この場を借りて改めてお礼申し上げます。
フライヤーを手掛けてくれたモロナガ君、コッチの確認不足もあって色々困らせてしまったけどマジでイカしたデザインに仕上がってました。お力添えしていただきありがとうございました。自分が福岡来たら一緒にご飯行きましょうね。
自分の企画に出演してくれた不祀、ELYSIUM、Bloom in the Crevasse、CYANSEA、Evilgloom、提婆達多、Nimbusの皆様、この7組じゃなかったらこの最高の1日は作れなかったと思ってます。こんな変態なコンセプトの企画に出てくれる皆様は最高以外の言葉で言い表せません。本当に、本当にありがとうございました。皆様にとって新しい発見の場になったと信じてます。
そして今このレポを読んでいる皆様、いつもチェックいただきありがとうございます。皆様のリアクションやコメントが日頃の活力になっています。これからも皆様の記憶に残ることを書き連ねていきますので、今後ともよろしくお願いします。
最後に自分が終演後に言ったこと、これからぼちぼち詳細は詰めていきますが次は来年6月に心斎橋クラッパーで全く新しいコンセプトのイベント「N.L.N.S.」を開催します。方向性はポップパンクとハードコアのクロスオーバー、ガチガチに固めすぎずに少し肩の力を抜いてやってこうと思います。3月には何かしら発表できると良いなあ...。ちなみに企画名の元ネタは青年誌のジャンプでコミカライズもされた某ヘホゲです。これがわかる人は生ハ...いやソウルメイトです。よろしくね。
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