Fieldism New Songs Selection (December 2021 Part.1)
皆様、遅ればせながら新年あけましておめでとうございます。
直島から帰ってきて死んだように寝てました。今年も感性豊かに生きていきます。Ryotaです。
昨年度は1年くらいnoteを放置していながら、年の瀬には「#今年の9枚 ってマジで決まらなくね?」と思って全5回にわたり総合的に刺さった音源をまとめてたんですが、よくよく考えたら「全5回ではまとめられん位2021年12月はめっちゃいい音源出とるやん(このあたりは前回の締めでも言及しましたが)」っていうのと「マイペースって逃げ言葉よな」っていうのに今更気づき、今年1か月分でも...と筆を執ることにしました。
「Stay Nerd / Stay Emotional」などのイベント主催はコロナの状況をみてやっていきたいなと思うし、昨年は開催を見送ったので今年こそは筆者がかねてからチェックしているバンドを大阪に呼んでお祭りしたいと考えてはいるのですが、それとは別で本年度から本格的に音楽情報発信の場としてnoteを動かしていこうと思います。軌道に乗ったらイベントレポとかインタビュー記事とかもやりたいですね(随時募集中)。本来は半月ごとに8~12バンドほど更新するつもりなのですが、今回は前半分として10バンド、後半にもう10バンドずつ取り上げていこうと思います。セレクションは完全に筆者の独断なのでその点ご了承を。
基準は原則「ストリーミング解禁日 or フィジカルのリリース日のどちらか早いほう」とします。というわけで早速やっていきましょう。
Like Pacific: Control My Sanity
アルバム (フィジカル&ストリーミング: 12/3)
Pure Noise Recordsの代表するバンドの一つで、カナダ・トロント発エモ・ポップロックバンドの3rdフルアルバム。まだまだポップパンクの知識は浅いのですが、筆者も卒業旅行先のニューヨークでSenses Failヘッドライナーのツアーの公演があった際に、CounterpartsやMovementsと併せてこのバンドも一度生でライブを観ております。
牧歌的で温かみのあるメロディを軸に、アップテンポ~ミドルテンポまでポップネス、キャッチーさを交えて巧みにプレイしながらも、作品全体のテーマはVo. Jordan曰く「直近で経験した過去最悪のうつ症状からインスピレーションを受けた」と語っています。シャウトにも近いような感情の昂ぶりが表出した熱量のあるVo. のボーカルアプロ―チもエモーショナルなサウンドと非常にマッチしててフロアでぶちあがること間違いなし。
結成10年を超え、The Story So Far/Title Fightの系譜を受け継ぐカナダのポップパンクシーンの発展に大きく貢献したLike Pacific、その勢いはとどまることを知りません。
PROMPTS: Möbius
シングル(ストリーミング: 12/10)
2021年は自分たちのツアーも含めて13本主催ライブを行い、メタルコア・デスコアレーベルの名門Modern Empire Musicと契約したアジア初のバンドになったことで国内メタルコアシーンで最も躍進したPROMPTS、年の瀬に世界のシーンに対する宣戦布告めいた新曲をリリース。
今回の曲も前作「Asphyxiate」同様叙情要素を排除した、不穏かつ病んだ狂気性とアグレッシブ性にステータスを振っており、それを表現するかのように弦楽器隊の飛び道具(ワーミー/ピックスクラッチ)や手数の多い変態ドラミングが曲のそこら中に飛び交う暴力的な楽曲になります。初めて聴いたときPK君のスクリーム家の窓ガラスにさらに亀裂が入りました。サウンドエフェクトだけで2~300人〇せるなら、この曲全体で間違いなくその10倍は○せる。
From The Abyss(活動休止中)のVo. Ko Satoが携わる病んだ狂気が渦巻くミュージックビデオにも注目。今年結成10周年を迎えるPROMPTSの無限の可能性を予期させる一曲です。
THE OKLAHOMA KID: Pale Tongue
シングル (ストリーミング: 12/10)
ドイツ発プログレッシブメタルコアバンドTHE OKLAHOMA KIDS。2019年のデビューアルバム「Solarray」では他の国の同ジャンルバンドでは見られないようなルックス(雰囲気で言えば、「Retrograde」期のCrown The Empireが近いと思います)に身を包み、現代的な質の高いプログレッシブメタルコアを奏でていた印象ですが、今回でさらに彼らの個性が出てきた気がします。
今月リリースした新曲は前作の世界観を踏襲したサイケデリックなヴィジュアルと6弦バリトンギターが放つヘヴィでグルーヴィーなサウンド、そしてStray From The PathのDrewを彷彿とさせるVo.Tomのはき捨てるようなシャウトが曲に非常にマッチしております。ノイエ・ドイチェ・ヘァテ(※ドイツ特有のロックジャンル、有名どころではRammsteinがそう)から影響を受けた、曲中のインダストリアル調のサウンドエフェクトにも注目したいところ。
Virtues: Comfort In My Own Arms
アルバム(ストリーミング: 12/5)
ExhibitorsやNaedrやTidesなど界隈での知名度は低いものの、筆者がコロナ禍前によく仕事で行っていたシンガポールは、アジアの叙情・激情ハードコアシーンの穴場だと考えていますが、その一つであるVirtuesがフルアルバムをリリース。
メロディックハードコアバンドの必須項目である、キャッチーでメロディックなリードとコード感あふれる青臭いバッキングを交えたサウンドに、Vo.の激情的なシャウトと哀愁溢れるポエトリーのアプローチが美しいです。 また、Tr.4の「Fragments」ではオーストラリアの人気メロディックハードコアバンドBloomのVo.Jonoをゲストに迎えており、そちらは静と動の対比が特徴的。
今はコロナ禍で海外出張に行けていないのですが、また海外渡航が解禁されたら仕事の合間にシンガポールの叙情・激情ハードコアシーンに肌で触れてみたいものです。
Little Lilith: LadyBug
シングル (ストリーミング: 12/11)
ガールズエモーショナルロックバンド「リトルリリス」が体制変更に伴い「Little Lilith」に表記を変更しただけでなく、音楽性になんとDjentをフィーチャー。筆者も激ロックでこのバンドが取り上げられたときぶったまげたのを覚えています。
新進気鋭のDjent(ジェント)集団「MGM.」から 「SATOKEN」「Kyosuke」が参加しスタートアップを手掛けたとされるその楽曲は、多弦楽器やシャウトを交えた地を這うように低くもタイトでテクニカルなDjentサウンドとキャッチ―なサビのコーラスワークの対比が「変わったことはあるけど変わらないものはある」をメンバーたちが主張している通りに表現されているか思います。ブレイクダウンのSATOKENとVo.LILLYのスクリームデュオは必聴(SATOKENさんってもしかしてabstractsやSHVNAで活動されていた方でしょうか?)
ガールズDjentバンドとして始動したバンドLittle Lilith、個人的にはELYSIUMと対バンしてほしいよな~って思ってます。絶対面白いじゃないですか?
F.P.: Misb(ego)t
シングル(ストリーミング 12/12)
京都を拠点に活動するメロディックハードコアバンドF.P.が約2年ぶりに音源をリリース(既にライブでも演奏されておりますが...)。また、昨年の春ごろから解散詐欺状態になっている大阪メタリックハードコアバンドRoarのベーシストもっさんが加入後初の音源。
Vo.のJuntaro曰く「できた時『これや』ってなりました」と語るほど確かな手ごたえを感じたという活動8年の集大成的なこの曲は、「いくら客観的に考えようとしたところで、常に主観が入ってしまう」ジレンマを''Misb(ego)t''というタイトルに込めた、3段階に分かれるドラマチックなテンポチェンジが心地よい1曲。自分では客観的な意見を持ってるつもりでも、第三者からは主観とみなされること、周りを見ているとよくありますよね...。
今年EPのリリースも計画しているとのこと。前作の「So Much Tragedy Beneath Us Now」も傑作だったので、楽しみです。
In Denial: Separate Ways
シングル(ストリーミング: 12/12)
ブルデスAgony of Torture, モダンメタルコアFade in Solitude(解散済)で活動しているGt. Rikuと、メロデスバンドDesolate Sphereで活動しているVo.Kentの二人が新たに始めた、デスコア/メタルコアバンド。制作にあたり、Humanity's Last BreathのBuster Odeholmをフィーチャーしています。
Gt.Rikuのテクニカルなリフワークと地を這う低音弦のローEサウンド、Vo.Kentの獰猛なスクリームとアトモスフェリックで浮遊感あふれるボーカルは癖になります。また、曲中に挟まれるThallな落としは脳天を鉄パイプで殴られたような衝撃を受けること間違いなしです。曲の最後が流麗なソロで締められるのもポイント。
ミックス・マスタリングを行ったBusterが所属しているHumanity's Last Breathはもちろん、近年のREFLECTIONSや再始動後のI The Breather, Before I TurnやFade in Solitudeあたりのリスナーなら刺さると思います。
Diamond Construct: Hit It Back
シングル(ストリーミング: 12/1)
オーストラリアのプログレッシブメタルコア・ニューメタルコアバンド、Diamond Constructがシングルをリリース。昨年リリースしたEP「DCX2」でもDJやEDM要素を取り入れた奇作で、エフェクター両足踏みのギターのプレイスルー動画が「ダンスダンスレボリューション」と称されたことでプレイヤーの間で話題になりましたが、新曲も大分ぶっ飛んでます。
Vo.のKenan曰く「多くのバンドが体裁(どうやってメタルバンドに見えるか・聞こえるか)を気にしすぎではと感じた」と語る通り、ニューメタルコアのエッセンスを残しつつも、メタルコアよりもヒップホップの影響下を受けたグルーヴィーでダンサブルなトラックになっており、MVも「グランドセフトオートV」のロスサントス感あふれるパーティースタイルに変貌しております。
似たようなアプローチとして、レーベルメイトのPaleduskもバンドサウンドを排した新曲「TOPPA」をリリースしております。海外渡航が緩和されてDiamond Constructが来日したときはPaleduskとの対バンを熱烈希望します。
No Bragging Lights: No Bragging Lights
アルバム(ストリーミング&フィジカル: 12/3)
アメリカ・カリフォルニア州リバーサイド発メロディックハードコアバンドNo Bragging Rightsが活動を再開、2014年のアルバム『The Concrete Flower』以来7年振りに音源をリリース。
海外で「メロディックハードコア」と言えば、日本の俗にいう「メロコア」と違うハードコア寄りだったり叙情系が多いんですが、このバンドはそういったディッキーズの短パンをはいてステージダイブするようなキッズにもお勧めです。疾走感あふれるメロディックハードコアサウンドに、グルーヴィーなブレイクダウン、そしてシンガロング必至のキャッチ―なサビ・ギャングコーラスの合わせ技はアンテナに刺さるリスナーがきっと多いかと思います。
今作の製作時期にVo.のMike Perezはソーシャルワーカーになるために勉強していたというのもあって、楽曲の内容もパートナー間の虐待や薬物依存やメンタルヘルスなどセンシティブな内容を取り上げており、そちらにも注目してほしいところ。
Palisades: My Consequences
シングル(ストリーミング: 12/3)
アメリカ・ニュージャージー州イゼリン発ポストハードコアバンドの最新シングルから。前身バンドを経てPalisadesとして活動して以降長らくVo.を務めていたLou Miceliが脱退、2016年にベーシストとして加入したBrandon ElgarがVo.に転向しています。
Brandonが加入してからはそれまでのエレクトロニコア路線を抑えてR&B要素を取り入れた、よりシリアスで壮大かつエモーショナルなアリーナ・サウンドへ転向していますが、今回もその系統は受け継いでおります。Brandonのボーカルワークが上手いのは今までのバッキングコーラスを見ていてもわかるのですが、改めてメインボーカルになったこの曲を聴くとLinkin ParkのChester Benningtonのエッセンスを感じるのは僕だけではないと思います。
「多くの感情とリソースを詰め込んでできた集大成的作品」とBrandonが語る、今後のPalisadesの可能性を提示する一曲。
というわけで、ざっと10曲ほど先月リリースされた作品でアンテナに刺さったバンドをピックアップさせてもらいました。後編もそんなに時間待たずに公開すると思うんで是非Twitter(@ryt_1122)も併せてフォローしてもらえると嬉しいです。この記事があなたの新しい出会いの場になれれば幸いです。
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