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青空はみんなが平等に見れる天からのご褒美①


「また次会ったら酒でも飲もうよ!」
「また会おう!」

って何度も言い放って、それっきりのことって結構多い気がする。
これは単純に口約束での話を言いたいんじゃなくて、次また会う事に対しての話をしたい。

人と人はそれぞれ会うタイミング、会わない、合う、合わないと言った他人との接点が緻密に組み込まれたような人生を歩んでいるんだなって思う。

というのも、最近人との出会いって不思議なもんだなって考えててさ
絶対に接点がないだろって思った人と繋がる時に理屈では説明のつかないような出会い方をするもんで
その中でもその人がいなかったらできなかった事や生まれもしなかった発想や考え方が今を成形していると思うと不思議に思う。

今日たまたまお嬢(僕のマルチーズちゃん)の耳の炎症が気になって動物病院に受診に行ったんだけど。

9/23で2歳になりました<乃愛>女の子です。

看護婦さんから名前を呼ばれる前に「X」を見ていた。
藻菜ちゃんという歌い手が岩室で歌うとの事、自分は近くに居る、前回共演だった時に買いそびれたCDを買いたい、純粋にステージを観たい。
と言った気持ちで受診後車を走らせた。

現地までほぼ1本道だったので、何にも考えずに運転をしていた。
その時は少しどんよりとした雲が空を覆っていて正直センチメンタルな事を思い出したりしていた。


曇り空の時に限って訃報が多かったからだ。



昔の話をさせてください。

高校の時、学校もバイト先も一緒で家も近く、仲良かったベース弾きの先輩がいました。

僕の音楽人生はロックからでもなんでもなく。
中学生パーカッショナーから始まったのです。

それを聞きつけたのか、ガタイがよくタッパもある彼は喋ったこともない僕の手をひっぱりトイレに連れ出して(しかも上級生用)

「お前やってんなぁ」
って両肩を鷲掴み、他の上級生3人で僕を囲う。

治安の悪かった高校だったので
(やっべぇ、ブレザーの下Tシャツだし、キティサンダル(田舎ヤンキーの謎スタイル)だし、目ぇつけられたか)
とボコボコを覚悟した。
色々諦めた瞬間に

「打楽器…できんだか…?」
「お前(ドラム)やってんだってなぁ?」
「頼む、ゴイステ(GOING STEADY)叩いてくれ」

と勧誘を全力でしてきて、腰が抜けた。

これがきっかけでその人と一緒にバンドを組むことになった。

日常的によく会うのですぐに仲良くなった。
時にはボクシングや護身術とか教えてくれたりもした。(サンドバッグ多めだったけどね)



それから20歳になり、当時やっていた脳天少年っていうバンドと
並行にやっていた先輩とのバンド2つを掛け持っていたので

「今後どうする?」
と言った話になり、全然スケジュールが合わない中どうにか話し合いでもしようと日を合わせ

「来週な!」
と電話で話して、数日が経った後

他メンバーから連絡があった。

「死んだって、交通事故だってさ」

よく事故を起こすジンクスのある人だったから

「まーたやらかしたんだろ!?」
と軽いノリで返すも、何も信じちゃいないまま車を走らせた。

いつまで経っても彼らからしたら僕はメンバーといえど後輩だし、またからかってんじゃないかと思っていた。

本当だった。


周りで泣いている声が電話越しでは笑い声にしか聞こえなかったし、今までの経緯からは想像はできなかったから信じられなかった。

泣けなかった、泣き方を一から忘れたかのようだった。
喋らないんだもんね、笑って「起きろよw」とかいう余力もなく時間だけがすぎていって

あっという間に、お別れの日になった

先輩が好きだったゴイステの「銀河鉄道の夜」
をみんなで歌ってお別れする。
こんなに楽しそうじゃない歌をみんなで歌ったのは初めてだった。

またしても涙は流れなかった、泣き方がわからなかった。
他メンバーから胸元を掴まれたりもしたけど、どうしていいかわからなかった。


それから数日が経って、先輩のご両親からあるものを頂くことになった。

色褪せないように手入れするの大変

休み時間に彼が使ってたボクシンググローブ。
「これで髙野君がよく相手してくれてたのは聞いてたよ(笑)相当可愛がったんだろうね(笑)」

と半分悲しそうに笑いながらグローブを渡されて

「本当、ありがとね」
と潤んだお母さんの眼を
僕はいまだに忘れられない。

続く

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