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FIDFF2021作品紹介① - FIDFF2020受賞作

福岡インディペンデント映画祭2021では招待作品だけでなく、昨年の受賞作品を再びじっくりと観ることができます。

この1年で更に評価が高まった作品もあるし、大ブレイクしたあの俳優さんの監督作も…!更には新バージョンのお披露目もあったりと、2度目でもおいしい作品が目白押しです。

ここでは上映日ごとに、昨年の受賞作をご紹介します。

10月29日(金)

第1プログラム

『はらいそクラブ』(山岡聡、81.19min)
2021年の開幕作は、昨年の企画賞『はらいそクラブ』です。

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大阪・大東市を舞台に繰り広げられる中学生のひと夏の不思議体験。思春期に体感する「死」を、ファンタジーながらもエンタメに寄り過ぎず、抑え気味に描いているのに好感を覚える瑞々しい一作。オープニングを飾るのにふさわしい、誰もが楽しめる作品です。

第2プログラム

『はい、ええ転です。』(上野祐嗣、96.20min)

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FIDFF2020、100分ムービー部門最優秀作品です。これはD級ワークショップ作品じゃ…と思い観始めたら、あれよあれよと引き込まれて爽やかな気分で終わる、完全ノーマークで最優秀に輝いた長編。

舐めてかかってはいけない、これぞ浪花の人情物語!タイガース=大阪に対置されたかのような、巨人=東京→原辰徳風のグータッチがツボでした。

第3プログラム

『Blumen und Funken』(鬼木幸治、10.41min)

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FIDFF2020の20分ムービー部門最優秀作品。出演以外は監督自身がすべて担当という文字通りのセルフメイド。前作『Enter the Fiend』にも通じる、思い切った映像加工と洗練を取っ払った内容の粗野さ、奇想天外さが突き抜けた個性と魅力になっています。

『あの娘の神様』(田中聡、13min)
何だこれは!カルト集団の内ゲバ・殺戮の物語か…!と思いきや、こっちか!ということでFIDFF2020コメディー賞に輝いた特濃作品。いい大人が本気でバカになる素晴らしさに感動して授賞に至りました。

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『子供は天使ですか』(川西薫、53.56min)
60分ムービー部門最優秀作品。

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脚本が上手いな~と思ってチェックしたら、伊参シナリオ大賞受賞作とわかって納得。更には、昨年の「ムービーラボ」で犬童一心監督が「撮影がとてもよかった。ほんとに撮影監督紹介してください」と評したほどの撮影クオリティもご覧あれ。

40代ヒモ男と落ち目子役の、ひと夏の交流はどこへ向かう?思わずニヤニヤする場面多し。

第4プログラム

『蘆屋家の末裔』(吉田惇之介、9.55min)

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FIDFF2020の最優秀アニメーション作品。ベースとなったエドガー・アラン・ポーの『アッシャー家の崩壊』の暗さ・ミステリアスさを上手く画面に出しつつ、東洋的情緒溢れる作品に昇華させた意欲作。襖絵の鯉の動きがとてもいい。

『けせんっこ。』(さゆり、7.18min)

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福岡にこんな素敵なアニメーターがいたなんて!ということで、九州クリエイター賞に輝いた『けせんっこ。』。
このスミレ色?を基調にしたカラーリングが独特で良く、少し懐かしいけど新しい感覚に浸れます。「ケセン語」に関しては色々な書物も出ているので、興味を持ったらぜひご覧あれ。

『苦界』(くがい)(吉田卓功、18.18min)

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FIDFF2020、技術賞受賞作。衣装・小道具なども含めビジュアルの良さが際立つが、もがく人間の心を表象するかのような哲学的展開。出演陣は川瀬陽太さん、過去受賞作でも活躍の管勇毅さん、沖原一生さんら迫力ある面々が揃う。

『乙姫二万年』(にいやなおゆき、35.53min)

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既にキャリア十分のにいや監督による、美術賞受賞作。FIDFFだけでなく、各地の映画祭で評判を呼んだ作品です。

映画・アニメーションへの固定観念を揺さぶってくる芸術性とミステリアスさ、撮って加工する原初的な面白さがミックスされ、探求心を刺激される唯一無二の怪作。きっと制作過程が見たくなる一本です。

10月30日(土)
第1プログラム
① 『ファミリーファミリー』(大川裕明、29.30min)

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監督自身が主演でもある、FIDFF2020の40分部門最優秀作。家族の暖かい話と捉えるか、底辺の厳しい話と捉えるか、見た人により変わるラインを絶妙に行き来する。母役の泉水美和子さんも、さすがの好演。

監督・主演の大川裕明さんはスカコアバンド・Rude Bonesのリーダー兼ボーカル。さすが音楽家だけあって、音の使い方も上手いです。

『そしてまた私たちはのぼってゆく』(磯部鉄平、34min) 

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FIDFF2020の準グランプリ作品です。 2018受賞作『予定は未定』など、どの映画もハイレベルな磯部鉄平監督。自主作品をコンスタントに作る国内監督の中で、最も高いスキルを持つひとりです。
自分も無限ループに迷い込んだように錯覚し、見え隠れする「秘密」にハッとする高密度の34分。各地で磯部作品のファンが増えている理由も理解してもらえるはずです。

『グラフィティ・グラフィティ!』(松尾豪、30.33min)

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堂々たるFIDFF2020グランプリ作品!観終わった瞬間の清々しさも鮮烈で、グラフィティ自体の使い方も上手く、前半の勢いがグルーヴを作って一気に映画の中に引き込んでくれる。特殊効果、主演の渡邉梨香子さんも良く、繊細に作り込まれた音響の上手さも聞き逃しなく!

『帰り道』(東海林毅、9.50min)

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舞台は1944年の福岡。徴兵検査の帰り道で起こる或る出来事。「こういう愛の表現があったか…」と驚きつつ、死線を前に肌と肌を重ねることの、意味の重さがのしかかってくる。圧倒的支持でのFIDFF2020レインボー賞作品です。

10月31日(日)

第1プログラム『ダイオウイカ大解剖』(元木伸一、75.00min)

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FIDFF2020、最優秀ドキュメンタリー賞。イカ映画の極み。ドラえもん『海底鬼岩城』でダイオウイカが好きになった方もトラウマになった方も必見の科学映画。
青い海をゆったり泳ぐダイオウイカを、大スクリーンで眺める幸せ。そして医学者が大集合してタイトル通りの大解剖シーンは、もう身を乗り出したくなるほど!

昨年も旋風を巻き起こした作品ですが、今年は75分の「完全版」を特別上映。驚きとロマンあふれる一作に、ぜひ触れてください。

第4プログラム

『蝉時雨』(若葉竜也、88.15min)

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今年の映画祭のフィナーレはFIDFF2020企画賞の『蝉時雨』で!俳優として多くの映画・ドラマで活躍し、今年は『街の上で』(監督:今泉力哉)でも評判を呼んだ、若葉竜也さんの監督作。

劇団のピリピリした人間模様が粗削りな画面の中で一層リアルに迫ってくる、演劇・舞台関係者にぜひ観てほしい、映画祭代表も一推しの作品です。 貴重な上映機会なので、特に若葉さんファンの方はお見逃しなく…!

(文:FIDFFプログラミングディレクター 大塚大輔)

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