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【性感染症】尖圭コンジローマの治療法

皆さんこんにちは

産婦人科医の内田美穂です。

皆さんの疑問に思っていることにお答えしていきながら、産婦人科を身近に感じていただくことでかかりつけの婦人科を探す際のご参考にお役に立てればと思っています。

今回は、「尖圭コンジローマの治療法」についてお話したいと思います。


▼「尖圭コンジローマの診断」については、こちらでお話ししています!




治療法について


治療法にはいくつかありますが、いずれか一つの治療法での治癒率は60~90%、再発率20~30%であるため、複数の治療法を繰り返さなければならないことがあります。

① イミキモド5%クリーム(ベセルナクリーム5%)


まずは、「イミキモド5%クリーム」の外用薬による治療について説明します。

イボに直接塗る薬で、ウイルスの増殖を抑制、また免疫能を高めることでウイルスに感染した細胞を傷害することによって治療します。

クリームは毎日ではなく週3日、1日おきに使用します。例えば「月、水、金」や「火、木、土」など曜日を決めて使用しましょう。

1日1回寝る前にイボにクリームを塗り、6~10時間たった翌朝にシャワーで石鹸を使用して洗い流します。

外用して赤み、ただれ、痛みなどの炎症反応が出ることがあり、その場合は一時的にお薬をお休みしてください。

お薬は最大16週間使用することができますが、塗り始めて4週くらいで効果が出てきて、半数の症例で8週以内にイボの完全消失が認められています。

この薬のメリットとしては、再発率が低いことが挙げられています。

<経過観察期間6カ月におけるイボの消失持続率>
最大4週の外科的療法群…73.6%、
最大16週のイミキモド使用群…93.7%、
最大4週の外科的療法と最大12週のイミキモドを併用した群…91.5%

ただし、この薬は腟内や肛門内にできた尖圭コンジローマには使用できないため、その場合は外科的に切除する必要があります


②凍結療法


つぎに、凍結療法についてです。

多少の痛みはありますが、局所麻酔はせず、液体窒素で凍らせて取り除く治療法です。

これを1~2週ごとに繰り返します。

この治療法の欠点は、大きなイボには適していないことです。


③ レーザー蒸散

イボの周囲に麻酔をして、レーザー光線で取り除く治療法です。

④切除術

イボの周囲に麻酔をして、電気メスやハサミなどで切除する治療法です。


治癒判定について


診てイボが消失しているかで治癒しているかどうか判定することがほとんどです。

3か月以内に約25%は再発するといわれているため、最低でも3か月は経過を追う必要があります。

また治りが悪い場合は、HIV感染をおこしている可能性があるため、HIV検査も検討してください。


予防について


コンドームの使用である程度の予防はできますが、外陰部に皮膚炎などがある場合はそこから接触感染することがあり、コンドームだけでは予防できません。

外陰部のかゆみを放置している方もたまに見受けられますが、このように他の病気に感染しやすくなることもあるため、症状がある場合は積極的に治療をしてください。


妊婦の尖圭コンジローマについて


尖圭コンジローマにかかっている女性が妊娠した場合、生まれた子どもが「若年性再発性呼吸器乳頭腫症」を発症することがあります。

尖圭コンジローマをもっている妊婦の145人に1人くらいの頻度で発症します。

子どもの気道に腫瘍が発生し、重篤な場合は気道閉塞をおこして窒息してしまうことがあります。

したがって妊娠後半に外科的に切除をし、治療しておく必要があります。
 
尖圭コンジローマの原因となるHPV6型、HPV11型についてはワクチンで予防できますので、気になる方はかかりつけ医にご相談下さい。

またワクチンについては全ての医療機関で取り扱っているわけではないため、取り扱いの有無については必ず医療機関への問い合わせをして下さい。


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