【膀胱炎】
皆さんこんにちは
産婦人科医の内田美穂です。
皆さんの疑問に思っていることにお答えしていきながら、産婦人科を身近に感じていただくことでかかりつけの婦人科を探す際のご参考にお役に立てればと思っています。
今回は、「膀胱炎」についてお話したいと思います。
膀胱炎とは
症状としては、頻尿、排尿時痛、残尿感、下腹部不快感などが出ますが、原則として発熱は伴いません。
一般的に病気がなく、妊娠していない閉経前の成人女性の膀胱炎は「単純性膀胱炎」と言われます。
多くは 20 歳代を中心にピークが見られ、閉経前後の中高年期にもう一つのピークがあります。
女性は男性の 5~6 倍多いとされています。
原因となる菌としては多くの場合は大腸菌であり、その他は ブドウ球菌、レンサ球菌などがあります。
膀胱炎になりやすい状況について
脱水状態で長時間トイレに行かないと膀胱内に菌が増殖し、膀胱炎を生じます。
便秘、下痢、月経、性交など、侵入する菌の量が増加することもまた膀胱炎のリスクを高めます。
加齢に伴って女性ホルモンが減少すると、腟内pHが変化して腟内の大腸菌が増殖するため、膀胱炎のリスクを高めます。
診断について
膀胱炎の診断は、典型的症状と尿検査で白血球が増えていることにより容易に診断できます。
気を付けて頂きたいのは、排尿時痛などの症状が出た時、膀胱炎かもしれませんが、他の病気の可能性もあります。
必要に応じて、追加で検査が必要になります。
具体的には
① 尿道炎
クラミジア、淋菌などによって尿道炎が生じ、排尿時痛などを生じることがあるため、疑った場合は婦人科で検査を受けてください。
② 外陰炎・腟炎
トリコモナスやカンジダ、単純ヘルペスが原因で、外陰部や腟に炎症を起こし、排尿時痛など生じることがあるため、婦人科で視診や腟炎の検査が必要なことがあります。
この他、膀胱に腫瘍や結石があったりなどで膀胱炎様症状が続く場合があります。
改善しない、再発を繰り返す、改善しても血尿が続くなどの場合は泌尿器科で膀胱鏡検査や、画像診断を受けてください。
治療について
抗菌薬を3~7日間程度内服します。
予防について
「菌の侵入」を防ぐには、陰部を清潔に保つこと、そして侵入した菌は外に出すことです。
便秘・下痢・月経・性交など陰部の菌が増える状況では、陰部を清潔に保ち、ナプキンを使用している場合は、まめに交換をしましょう。
性交の後には排尿をすることが推奨されていますが、そのためには性交前後にしっかり水分をとりましょう。
また、侵入した「菌の増殖」を防ぐためには抵抗力をつけることも大切です。
寝不足、過労、ストレスを避けるようにしましょう。そして脱水症状にならないよう気をつけましょう。
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