【避妊法】IUS(ミレーナ)
皆さんこんにちは
産婦人科医の内田美穂です。
皆さんの疑問に思っていることにお答えしていきながら、産婦人科を身近に感じていただくことでかかりつけの婦人科を探す際のご参考にお役に立てればと思っています。
今回は、「IUS(子宮内避妊システム:ミレーナ)」についてお話したいと思います。
IUS(ミレーナ)とは
子宮内に留置する避妊具です。
この避妊具からは持続的に避妊効果のある黄体ホルモンが放出されます。
排卵は抑制しないため、毎月排卵しますが、黄体ホルモンの影響で子宮内膜が薄くなることで高い避妊効果を発揮します。
WHOが「世界で最も安全で確実な避妊法」と称しています。
99.8%の避妊効果があります。
メリットについて
授乳中にピルは内服できませんが、ミレーナは授乳中でも挿入できます。
子宮にしか作用しないため、ピルの副作用で心配される血栓症や子宮頸がんの心配がありません。
したがって、40歳以上の方や喫煙者の方で避妊をされたい方にはピルより安全にご使用いただけます。
副作用などについて
▪️はじめのうちは「不正出血」が1か月以上続くことがありますが、半年以上経過すると落ち着いてきます。
不正出血が続いている場合は、ミレーナ以外の病気が原因のこともあるため適宜検査を受けてください。
子宮頸がん検査、エコー検査、性病検査などが行われます。
子宮体がんについてもミレーナの挿入で100%防げるわけではないため、疑いがあれば挿入中であっても検査を受けてください。
▪️挿入直後は「腹痛」が出ることがありますが、しばらくすると症状は改善します。
▪️ホルモンの影響で「卵巣が一時的に腫れる」ことがありますが、ほとんどの場合自然に消失します。
▪️また、「ミレーナが脱出」することもあります。(ミレーナが気付かないうちに下がってきたり、抜けてしまうことです)
次にあげる副作用は非常に稀ですが、発生する可能性があります。
「ミレーナの穿孔」……稀にミレーナが子宮の壁に入り込んでしまうことがあります
「骨盤内炎症性疾患」……子宮や卵管など、骨盤内に感染がおこることがあります
「子宮外妊娠」……ミレーナ挿入中に妊娠した場合、半数以上で子宮の正常な位置以外で妊娠してしまうことがあります
発熱、下腹部痛、おりものの異常、急な出血などがある場合はすぐに医療機関を受診してください。
約20%の人では「無月経」となります
ただし、妊娠をしていて生理がなくなることもあるため、可能性があれば市販の妊娠検査薬で確認をしてください。
挿入できない人
子宮や卵巣など悪性腫瘍、またはその疑いがある方
3か月以内に性病にかかった方
肝腫瘍、肝障害がある方
今まで子宮外妊娠をされたことがある方
これらの方は挿入できない可能性がありますので、婦人科でご相談ください。
挿入について
ミレーナを子宮内への挿入に際し、生理3~7日目が推奨されています。
医療機関で行う必要があります。
これは妊娠していない時期に挿入する必要があることと、挿入後の不正出血を軽減させることが目的です。
流産後や初期の中絶手術後はすぐに挿入することができますが、分娩した場合は産後6週間経過してから挿入してください。
また、帝王切開や子宮筋腫の手術を受けられた方は、傷の状態が回復してからになりますので手術をした医師に確認をしてください。
具体的な挿入方法
挿入するときは、直接子宮の中を見ながら挿入できるわけではありません。
エコーや器具を使用して子宮内腔の状態を確認してから手の感覚で挿入します。
子宮の形によって入りずらいこともあり、その場合は時間がかかって強い痛みを伴うこともあります。
挿入後の検診
挿入1か月、3か月、6か月、1年で検診を受けてください。
その後は、避妊目的であれば年1回、治療目的であれば半年に1回の検診を受けましょう。
ミレーナを挿入後、子宮の蠕動運動によりミレーナの位置が移動します。
特に重要なのが挿入1か月後で、位置が下がっていないか、子宮の外へ飛び出していないか確認する必要があります。
抜去について
ミレーナを抜去するときも医療機関で行う必要があります。
通常は一瞬で抜去できます。
稀に外来で抜去できずに、麻酔をして抜去しないといけない場合もあります。
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