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月経異常だけじゃない!中高年にも影響【多嚢胞性卵巣症候群】

皆さんこんにちは

産婦人科医の内田美穂です。

皆さんの疑問に思っていることにお答えしていきながら、産婦人科を身近に感じていただくことでかかりつけの婦人科を探す際のご参考にお役に立てればと思っています。

今回は、「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)」についてお話したいと思います。



多嚢胞性卵巣症候群とは?


 月経異常、不妊症の原因となる疾患です。

月経異常といっても何か月も月経が来ないものから、やや遅めだけれど1か月より少し遅く月経が来ている場合もあります。

また、月経異常以外にも男性ホルモンが高くなることによるニキビ、多毛などがみられることもあります。

女性の5~8%に見られ、珍しい疾患ではありません。

病因はまだ解明されていません。
 
 

診断について


 以下の3項目を満たした場合に診断されます。
 
①    月経異常があること
②    エコー検査で多嚢胞卵巣を認めること
(これは卵巣に小さな嚢胞を多数認める状態のことを言います)
※採血でAMH高値を認めれば、エコーで多嚢胞性卵巣を認めなくても基準を満たしたことになります
③    採血で男性ホルモンが高値またはLH高値を認めること
 

治療について

<すぐの妊娠希望がない場合>

ホルムストローム、カウフマン、ピルといったホルモン剤による治療を行います。

▼こちらの記事で詳しくお話ししています!


<すぐの妊娠を希望している場合>

排卵誘発剤を使用することになりますが、状況によっては外科的な治療が行われることもあります。
 
また肥満がある方については、薬物治療と合わせて減量も治療の一環として必要になります。

多嚢胞性卵巣症候群と診断されたら

 
 月経異常や不妊症だけが心配される病気ではありません。
 
肥満の有無にかかわらず、糖尿病やその他のメタボリックシンドロームの発症が高いということがわかっています。
 
また、子宮体癌の発症リスクも高くなるといわれています。
 
したがって、月経異常で多嚢胞性卵巣症候群と診断された場合、不妊になることだけを心配される方が多いのですが、妊娠以外にもメタボリックシンドロームや子宮体癌が発症する可能性が高くなるため予防対策や長期的な管理が必要になります。
 
”月経の異常”を感じたり、”ニキビ”ができやすい、”体毛が濃い”など、気になる症状があれば婦人科で診察を受けてみることをお勧めします。


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