なぜマーケティング担当者が認定スクラムマスター(CSM)を取得したのか
先日ようやくScrum Allianceの認定スクラムマスターの資格を取得することができました。今回はなぜマーケティングを担当している僕がスクラムマスターの資格を取得しようと思った背景を書いていきたいと思います。
↓取得の証↓
アジャイルが重要だというけれど
元々僕は「アジャイル」はアプリケーション開発のためのフレームワークとばかり思っていました。当時(おそらく4−5年前まで)は、この「アジャイル」という抽象的なキーワードの中に含まれる内容をあまり理解していませんでした。経営学やビジネス誌、もといマーケティング関連の書籍などをみても”「アジャイル」の考え方/マインドで進めるのが重要である”などのコメントがあるけれど、単にそれはスピーディに物事を進めることの代名詞として捉えていました。
職業柄ITエンジニアの人の情報を収集することが多いのですが、『カイゼン・ジャーニー』や『みんなでアジャイル』などの書籍を読む機会があったり、DevLoveというイベントにエンジニアの気持ちを理解するために参加したつもりが事業開発などの方がリーンのお話をされていたり、自分とは決して遠くない世界であることを認知したのがつい1年ほど前でしょうか。
このように、書籍だけでなくミートアップ、ブログ記事などで自分の中でアジャイルや組織運営のフレームワークであるスクラムという考え方を徐々に理解していきました。
もちろん内容自体はソフトウェア開発の世界の話が多いのですが、「見積もりが外れる」「当初予定していた計画を変えたほうがよいタイミングが生じる」などについては、マーケティングとしての業務をする中でも非常にストレスに感じる部分でしたし、どうにかこれを解決する方法はないかと何度も考えたものです。
その中でスクラムマスターという役割が、組織のリズムを作り、ファシリテーションやコーチングなどをする役割であることを知り、マーケティングとしての土台となるスキルとして身につけようと思ったのがきっかけでした。
正解のない世界
なぜ認定スクラムマスターを取得しようと思ったのかと思い返したときに、もう一つ思い浮かんだのは「正解のない世界」という言葉です。
スクラムガイドには、スクラムを以下のように定義されています。
スクラム(名詞):複雑で変化の激しい問題に対応するためのフレームワークであり、可能な限り 価値の高いプロダクトを生産的かつ創造的に届けるためのものである。
特に今年は、Covid-19の影響もあり、多くの人が仕事の仕方や向き合い方を変えなければならなくなったと思います。
マーケットは変化が激しいと言われて久しいですが、顧客にものを効率的に売ることを究極の目標としているマーケティングが、いつまでたっても同じ施策をしているようであればその組織はいずれ負け組に成り下がるでしょう。
そんな思いもあってか、「正解のない世界」に対処するための処世術的な観点でスクラムがマッチすると感じていました。
理解は容易、習得は困難
認定スクラムマスターを取得したからといって全能のちからを手に入れたわけでもなんでもありません。実際にこの考え方を広めようと思っても色々な障壁があるし、結局その障壁をうまく取り除くことができないことなど、実は自分自身も学びながら実践を試みようとして何度も壁にぶつかっています。
理解は容易なフレームワークだが、習得や実践は難しいとスクラムガイドにも書いてある通りで、一歩ずつ経験を積みながらその都度ベストな方法を考えていく必用があると思います。
また、マーケティングを担当している人で、アジャイルやスクラムの知見を持つ人はいまのところ身近に1人くらいしかいません。ただのイベント屋でないマーケティングがもっと日本にも広がれば良いなとも考えているので、この知識や実践したプラクティスをどんどん外に出していけるように日々鍛錬を続けたいと思います。
蛇足
ビジネス領域でのスクラムについては最近のハーバード・ビジネス・レビューでも野中郁次郎先生の対談記事とかがあって色々気付かされます。
※トップ写真のソース:Unsplash