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行こう砂の街 前人未到の夢の里

あっという間に1ヶ月が経過していた。ひさしぶりにサカナクションのライブに行った記録。

サカナクションに出会ったのは中学生の頃だったと思う。スペースシャワーTVでサンプルのMVを偶然見たのがきっかけだった。もう何十年も経過しているのに、その時のことを鮮明に覚えている。生まれて約15年、わたしが知る"音楽"というものと大きく逸脱していた。極彩色に光るニット帽… MVもなんだか正気じゃない雰囲気だ。一体なんだこれは!!!一瞬にして心を奪われた。

クラスで誰も聴いていない音楽が好きなことをカッコいいと思っていた時代がわたしにもあったことを白状する。あっという間にサカナクションの深海に潜り込んでいった。

何度も足を運んできたサカナクションのライブ。近年はタイミングが合わないことが多く、10周年ツアー以来のライブになってしまった。2017年6月24日ニトリ文化ホール。ライブ前に絶対にネタバレを見たくない人間のため戸惑ったが、推奨された通りにオンラインライブを視聴してからリアルライブに参加した。初めての経験だった。2022年1月15日北海きたえーる。

サーチライトに照らされて、ライブがはじまったときの高揚感が忘れられない。驚きで同行者と顔を見合わせてしまうほどに全身に音が響く。鳥肌が止まらない。

心臓に響くバカでかい音、緑のレーザーの波、自由に踊る観客、曲に合わせてあがる手… 一体感。すべて当たり前の光景だった。ここには同じものが好きな人たちが集まっている。なんて幸せな空間なんだろう。感情を爆発させている演者、観客をみてるだけで尊すぎて泣けてくる。わたしも大爆発してたと思う。なりふり構わず踊った。激アツだった。

ここに集ったみなさんで、どーしてえええええと叫びたかった。ミエナイヨル〜と歌いたかった。いつかまたできるよね。


正しい 正しくないと 決めたくないな
そう 考える夜
正しい 正しくないと 決めた虚しさ
そう 真っ暗になる

ライブの最後に披露された新曲、フレンドリー。

音楽は誰にもにとって必要不可欠なものではない。ライブは"不要不急"と判断されても仕方がないことだと思う。わたしは医療機関に勤務している。音楽、ライブが大好きなわたしの心境は複雑だ。残念ながら手放しでライブを楽しめる日が来るのはまだ先のことだろう。混沌としていて何が正解かわからない世の中。いくら問いかけても答えはかえってこない。正しい 正しくないを決めるの虚しいことなのかもしれない。物事には、いろんな側面があることを考えて、人に優しくすることがシンプルに大切なことなのだろう。山口一郎は強くて優しい人だなと思う。

"不要不急"こそがわたしの人生を豊かにしてくれていたと思う。一切むだのない世界を想像しただけで恐ろしくなる。とても生きていける気がしない。確固たる信念を持って、すばらしいエンタメを届けようと努力してくれている人たちがちゃんと報われてほしいと願う。

えぐい音響、豪華なセット、こだわりぬかれた演出、加藤浩次が大熱唱した新宝島、熱量が伝わる山口一郎のMC … すべてが最高だった。楽しかった。忘れられない夜になった。

"変わらないまま変わりつづける"の言葉通りに突き進んでくれているからずっとサカナクションを追いかけているのだと思う。この十数年、色んな景色を見せてくれた。一方で、東京で売れ続けているのに故郷である北海道をずっと大切にしてくれている。道産子はうれしい。

これからサカナクションはどんな景色を見せてくれるのだろうか。前人未到の夢の里まで。どこまでもついていきたい。



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