フォニィ
生きていて特に目標もない俺が毎日働き、
ご飯を食べてお風呂に入り、そして床につく。
こんな素敵でありきたりな日々を送り続ける俺に
テレビやSNSで活躍してるお金待ちの人達は
画面越しにメッセージを送ってくるんだ。
「目標を持て」
「やりたいことをやれ」
きっと世間で活躍するしてる人達が
こう言ってるんだ。間違いないんだろう。
確かに人生で目標を持った方が楽しいだろうなって薄々は思っている。
だってドラクエやって必ずしも思うことは
魔王を倒して世界を救うってワクワクしてるしね。
俺の歳も30に超えたし、
なんか目標見つけてみるか。
なので休日ゴロゴロしてyoutube見てアニメ見るって最高の贅沢を捨ててなぜか街に出かけることを決意した。
駅前に行ってみる。
いっつも思ってたけどパチンコ屋さんって
外観が凄く派手で楽しそう。
でも俺が出勤する時に早朝からパチンコに並んでる人達を見て「うわぁ」って思うから今まで避けてきた。
突然だがこの日本でギャンブル依存症は70万人に上ると見込まれている。
そんな日本人を虜にして止まないギャンブルに
興味が湧き立ち俺はパチンコに入ることを決心した。
とんでもない騒音にまずびっくりする。
あちらこちらから爆音と高い音がしてたりする。
やり方すらよくわからない俺は
とりあえず店内をグルグル回って
やってる人の台をチラ見して学習する。
どうやらお金を入れて玉を出して
その玉を穴に入れてスロットが回るって仕組みらしい。
でも気がかりだったのは画面をベタベタ触る
じいさんばあさんと真ん中にあるボタンを
怒りに任せてぶん殴る怖いおじさんがいることだ。
彼らがきっと早朝並んでいる選ばれし
ギャンブラーなのは素人の俺でもわかった。
目の色が他の人と違いすぎる。
一通り理解したつもりで台に座る。
台は人がいっぱいいる北斗無双だ。
理由は簡単だ、隣の人のカンニングできる。
恐る恐る1,000円入れてみる。
右手の丸いレバーを回す。
玉が穴に入り派手な演出を楽しむ。
ケンシロウがユリアを救出して当たった。
右打ちって出てしばらくなんのことか
わからなかった。
素人に不親切なゲームだなって不満を覚えた。
だがあれよあれよと右打ちしてたら
当たりを繰り返し2万くらいの玉を補充して、
左打ちモードになった。
1玉4円って書いてあったから
大体8万円くらいだ。
心臓がバクバクした。
たった1,000円が8万円！
怖くなってすぐに店員呼んで
どうすればいいか聞いた。
なんかカウンターに行ったりなんだりして
よくわかんなかったけどとりあえず7万いくらだか
ゲットした。
なんか少ない気がするけど気にしない。
その日はお寿司を食べて綺麗な女性にお相手して貰うお店にいって一日を終えた。
また別日にこの前の勝ち分も余ってるしと
またパチンコに行ってみた。
この日はこの前の繰越した勝ち分が
無くなる程度に負けた。
仕事終わりにふらって寄ってみた。
この日は2万円くらい負けた。
休みに行ってみた。
月の給料の半分くらい負けた。
もうやめようと決意した。
仕事終わりに行ってみた。
3万くらい負けた。
次の休日、俺はお金を30万ほどアコムから
借りて大金を握りしめて早朝から並んでいた。
目標を持った選ばれしギャンブラーはここにいるわ。