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自費出版備忘録(その9)

 昨日作ったファイルを呼び出して、段落の頭を1文字下げたり、エピグラフのレイアウトを変えたりして、楽しく過ごす。BGMはプーランク。
 この日記も昨日みたいにテンパらずに、軽やかな気分で書ける。

 僕は、自慢ではないが、野蛮人である。プレフィックスとかダイアログボックスと言われても判らない。そして判らないことを判ろうとしない。結果として、きちんとできるはずのことができないし、楽にできるであろうことも手作業で無理矢理片づけてしまう。
 おまけに一昨日くらいから、キンドルが開かなくなった。じゃ、もういい。どうせマニュアル本を見ても理解できないんだから、「インデザイン 行数を変えるには」なんて検索して、アドビのHPを見ている。それでも判らないから、結局、手作業である。それで、なんとかなることもある。あるいは、なんとかなるまで手作業を続ける。昨日はそれでなんとかなった。

 作っているファイルは、『恋するたなだ君』という、2005年に書き下ろした小説。とっくに絶版になっているし、「自分で出します」というメールも担当編集者に送っている。実は別の小説を最初に作りたいと思っていたのだが、その会社はまだ確認が取れていない。
 新書版で作りたい。昨日の日記で11行とか15行とかいっていたのは、新書サイズの話である。
 ペーパーバックが好きなのだ。白水社のUブックスみたいなのがいい。仲俣さんによると、新書は印刷が割高だそうである。なんでだろう。紙が合理的に裁断して使えるから新書のサイズができたという話を、どこかで聞いたことがあるんだけど。
 それに自費出版の新書だと、本がスッキリ開かなくて、ノドに近いところがうまく読めなかったりする。
 画像に挙げたのは有朋堂文庫なんだけど、これは新書の王様。栞の紐はついてるし、天金で、表紙も立派だ。昭和四年の本。昔の人はいい仕事するわ~。こんなのはとても作れない。どうしようかな。

『恋するたなだ君』に限らず、僕の手元にあるのは本になった、つまり校了した原稿ではなく、初稿なので、決定稿とはずいぶん文章が違う。
 ファイルを作りながら、文庫本と照合して直したりしたんだけれど、考えてみれば文庫本と同じものを作る必要はないわけだ。思うさま書けばいい。出版社も編集者もいないのだ。遠慮はいらないのだ。

 というわけで、今後の作業目標としては、
1.ノンブルを入れて、
2.PDFを印刷して、
3.文章に赤を入れ、
4.それをファイルに反映させ、もう一回PDFを作る。
 となる。どうすりゃいいのか現時点で判っていないのは、1だけだ。

 プーランクの室内楽はいいなあ。どれを聴いても飽きないなあ。

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