【推薦合格】筑波大学大学院・知能機能システム学位プログラム 受験記【外部院進】
繊維です。筑波大学大学院 理工情報生命学術院 システム情報工学研究群 知能機能システム学位プログラム の2024年7月推薦入試に合格しましたので、体験記的なやつを書きます。
この記事には、主観的記載・楽観的判断の集積・不正確な内容等が大いに含まれます。参考とする場合には適度に穿った見方をすることを推奨します。受験に際しては、大学と相談したり周りの人間と相談したりしてください。
著者経歴・はじめに
まずステータスを端的に記載します。
理工系大学 情報系 (高専から3年次編入)
GPA : 受験時 3.79
TOEIC : 895で提出
著者の繊維は、高専から某理工系単科大学へ編入し、現在は情報学部の4回生として卒業研究に追われています。高専からの編入なので、普通の大学生よりは技術力がある…と自負しています。
高専時代の成績は割と良いほうで、1~3年次までは学科内上位30~40%に、4年次では上位10%に食い込み、5年次では1位争いに参加しました。最終的に敗北し、次席での卒業になりましたが…
大学でのGPAは受験時点で3.79でした。現在はもうちょい上がって3.81です。
TOEICはIPを2回、公式テストを1回受験した経験があり、2024年1月時点での最高スコアは840でした。もう一度受験して895だったのでそのまま提出しました。
選抜方法
筑波大学大学院 理工情報生命学術院 システム情報工学研究群 知能機能システム学位プログラム(長い)の推薦入試における選抜方法は以下のとおりです。
見た通り、外部英語試験スコアと口述試験のみで評価される形になります。つまりTOEICのスコアが全体の3割強を占める重要な要素になるわけなので、院進したいな~と思っているならTOEICの勉強をしておくことを推奨します。TOEICの勉強については別記事で触れています。参考にならないと思いますが、気になる方は読んでください(ダイマ)。
口頭試験の方はもうひたすら対策するしかないと思いますので、それは志望研究室の先生と相談して上手く勉強してください。
受験カレンダー
以下では、高専を卒業した2023年3月(と高専5年での筑波大編入受験失敗)から辿って、合格までの行動を月ごとに記載していきます。
2022年7月
高専から大学に編入したいというのは、高専4年ぐらいから考えていたことでした。当時のわたしは、プログラミングは得意だが突出した得意分野はない、という非常に危うい場所にいたので、なんとなく有名で自由に研究させてくれそうな筑波大の受験を考えていました。
2022年の3月ごろから編入試験に向けた勉強を始めましたが、3年分の過去問を繰り返し解いたり、編入数学徹底研究を2周ぐらい解いたりするだけしか勉強していなかったので、全然普通に落ちました。敗因は間違いなく勉強不足だと思います。
これについては詳細を記載しても関係ないので省きますが、筑波へ行こうという動機づけになった出来事になりました。
2023年3月
なんやかんやあり無事に高専を卒業したわたしは、卒業式後のセレモニーで同じ情報工学科に所属していた副校長に、「お前は院へ行け」と繰り返し言われます。師曰く、わたしが編入した大学は、わたしのレベルに適したものではないので、もっとスケールの大きい研究と高度な学問へ触れられる大学院まで行くべきだと力強く説得されました。
わたしは自我が脆弱なので、そこまで言われたら大学院に行くしかないですよね。そんな感じで大学院を意識しつつ大学生活が始まりました。
2024年1月末
前年12月ごろに実施したゼミの飲み会で、院生の先輩に「もう動いておいた方がいい、何なら遅い」と言われたので、学会に提出する論文とも戦いつつ筑波大の研究室を探しました。
高専での卒業研究は画像処理を扱いましたが、大学ではLLMによる自然言語処理に関連した研究で学会に出る予定となっていたので、自然言語処理関連の研究室を探し、よさそうな研究室を発見しました。研究実績などの情報を収集し、5chあたりで調べても悪評が出なかったので(結構大事です)、とりあえず研究室見学をお願いすることにしました。
返信が24時前に返ってきたので不穏なものを感じましたが、それは気のせいで、かなり丁寧に志望動機や希望の研究テーマなどを聴いていただけました。
その後実施したオンライン面談では、高専や大学でのこと、現在ゼミで研究していること、その他様々なことを聞かれました。研究室にもよりますが、基本的には歓迎してくれると思うので、検討している研究室があればとりあえずオンライン面談をお願いするとよいのではないかと思います。学会の準備とかもあると思うので、お願いするなら早いうちがよいです。
全然関係ないですが、その時諸事情で髪型が輩ぽかったので、終始髪型について聞かれました…
2024年2月
オンライン面談の後、研究室に所属している学生の皆様が進めている研究や、今後の勉強に必要な書籍類を貸与してくださるということで、実際に筑波へ赴きました。
筑波来訪は2回目で、電車・バスが割と整備されているので迷うことなくたどり着く事ができました。数学の対策に使う4冊の書籍を貸与していただいたほか、大規模言語モデルや機械学習についてまとまっているいくつかの書籍をおすすめしていただき、対策の参考となるような問題集もいただけました。あと学食で一緒に食事も取りました。カレーが割と美味しかったです。
さて、対策用の書籍を入手したので、ここからは継続的に勉強していくことになります。筑波の先生と週1で進捗状況を共有することになったので、まずはスケジュールを作ってから、それに従って勉強できるように進めていきました。加えて、研究テーマを決めるためのサーベイも行っていくことにしました。要は論文読みです。
範囲は公開されていないので、ここで示すことも避けますが、解析・複素解析・線形代数あたりは鉄板なので、勉強しておいて損はないと思います(察してください)。
あんまり関係ないですが、研究室見学の直後に体調を崩し、入院する羽目になりました。どのような状況でも、体調は整えておくと良いとされています。備えよう。
2024年3月
学会で姫路へ!3回生のうちに学会出れたのはとても良い経験になったと思います。姫路はお酒が美味しくてよいところでした。姫路おでんは絶対に食べてください。
学会で筑波の先生とも出会い、相手方の研究ポスターを見たりしました。
ほか、ゼミの合宿などを行い、研究テーマを固めるなどしました。
また、提出しようと思っていたTOEICスコアシートが古いものだったので、再度受け直す必要がある事に気づきました。完全にチェックしていなかったゆえのミスです。気をつけてください…
院試対策の方は、複素解析の勉強がだいたい終わったぐらいまで進みましたが、2ヶ月後ぐらいに全然理解できてなかったとわかります。
複素解析は、高専や大学でも体系的に勉強したことがなかった分野で、概念的に新しく複雑な物が多かったため、苦手意識がありました。この時はある程度理解したら次へ進んでしまいましたが、もうちょっとしっかり勉強しておくべきだったな…と思います。
2024年4月
4月中に解析の勉強を完了しました。微積分やマクローリン展開は得意分野だったので割とスムーズに行けました。線積分が出たあたりで複素解析との関連を感じて感動した覚えがあります。ちなみに、2変数関数のテイラー展開や(常)微分方程式はしっかり覚えておいていいと思います。楽しいので。
数学の対策と並行してTOEICの模試を実施しました。期間的にそう何度もできなさそうだったので1回分だけ入ってるやつを買いました。
結果は915点で、ほとんどというか全く勉強せずとも十分な点数が取れそうなのがわかったので、TOEICは放置、数学対策を重視することとしました。
4月末のTOEIC本番では、全問解けた状態で時間が20分程度余りました。筑波の先生からは「余り時間と点数は比例する」ようなことを言われていたので、とりあえず大丈夫だろうという感覚でした。
また、このぐらいから院試の模試の予定が立ってきます。これは筑波の先生が企画してくださったもので、5月末あたりから毎週実施することになりました。
同時期に、研究計画書の案出しを開始しました。この時点ではエンパワーメント情報学プログラムで出願する予定だったので、インパクトや将来性を重視した計画を立てる必要があり、なかなかキツかったです。Google ScholarとarXivと格闘しながら、筑波の先生にテーマを提案しては微妙な顔をされるのを延々と繰り返します。完全に専門外の分野というわけではなかったのでまだ戦える感じでしたが、LLMによる自然言語処理関連の論文はほとんどが英語論文だったので、それを読み解くのが一番大変でした。
4月中に一度良さそうな研究テーマを決定することができましたが、このテーマは後に2回ぐらい変更されることになります。
2024年5月
TOEICの結果が返ってきました。L: 465・R: 430 で合計895点でした。筑波の先生には「全然余裕」って言われました。だろうな!
模試の予定が近づいてきましたが、この時点でまだ範囲が終わってませんでした。めちゃくちゃすぎる。得意意識のあった線形代数で知らない概念が多数出現したのが原因です。スケジュール立てる時は自分を信じてはならない。
かなり強引でしたが、5月末には全範囲の対策を完了しました。とりあえず1周終わらせた感じでしたが、その時点で割と能力が付いていたように思います。月末に行った模試では7~8割ぐらい取れていたので、これが続けば問題ないとのことでした。
4月半ばぐらいから研究計画書を固め始めましたが、研究テーマが2度変わり、5月頭にはテーマの最終決定を行いました。出願まで余り時間がなかったので、作成しておいた出願書類に変更を行いつつ、必要な資料を集めて速やかに提出しました。
この時、推薦書の発行にかなり時間を要しました。わたしの出身大学が筑波大の推薦書を発行したことがなかったのが原因ですが、そういったトラブルがないとは限らないので、書類は余裕を持って用意できるようにしておいてください。特に、筑波大と自身の出身大学で成績評価基準が違う場合や、成績評語(A+とSとか)の違いがある場合は面倒ですので、早めに確認しておきましょう。
ちなみに、受験番号の割り振りはオンライン出願の完了(受験料振込含)順で行われるらしいので、早いほうがいい人は早めに作業するとよさそうです。
面接で話す研究計画の原稿についても作成を進めていきます。これらは筑波の先生とやり取りしつつ、提出と添削をハイペースで進められたので、かなり詰められましたが、この時点でハイレベルなものに仕上がっていたのではないかと思います。
もう少し早めに連絡を取り始めていれば、余裕を持ってできていたと思います。院進したいと思っているなら、大学3年の夏ぐらいには動き始めたほうがよいと思います。
2024年6月
研究計画の原稿も固め終わり、模試と面接練習の日々が続きます。改稿・発表練習・添削を繰り返すだけでなく、質疑応答の練習も行いました。想定問答集は作っておいていいと思います。面接の際、研究計画の発表に与えられる時間は、2分のみです。すべての情報を2分内に収めると、広範囲について浅く触れるぐらいしかできないので、質疑応答も含めて発表時間にできるように話すとよいかもしれません。要は突っ込みどころを残すように話すってわけです。
6月中期ごろの模試で時間配分を失敗し、一度4割程度まで正答率が落ちたことがありましたが、それ以外は最低でも5~6割の正答率を維持できたと思います。6月中は苦手だったり理解が足りなかったりする部分の強化に使えたので、もし対策の進捗が半月か1ヶ月ぐらい遅れていれば落ちていただろうなと思います。ニアミス!
確か6月の頭ごろに前泊のホテルを予約したと思います。埋まることはないかもしれませんが、利用者は絶対に増えると思うので、余裕を持って予約しておくことをおすすめします。
2024年7月
院試の前々日まで模試と発表練習を繰り返しました。もうここまで来ると大詰めなので、不安な部分をさらったり、模試を解き直したりしてコンディション調整に努めました。
2024年7月4日 受験前日
前乗りして研究室へ伺いました。試験場所の確認と、当日試験終了後の行動について指示を受けました。
つくば駅近くのダイワロイネットホテルつくばに宿泊しました。客室に広めのテーブルがあるため勉強しやすいです。駅に近いだけあって施設には困らず、近隣のスタバで勉強することもできたので良かったと思います。
夕食は徒歩5分のサイゼリヤを利用しました。1000円ガチャで決めようとしたら爆死したので、大人しくカルボナーラとほうれん草のソテーを食べるなどしました。
割と夜に弱く、すぐ眠くなってしまうのですが、前日はなかなか寝れませんでした。チキン過ぎる。
そんな感じなので、当日朝に少し勉強しようと思っていましたが、予定を変更してしっかり寝ることにしました。今思い返せば正しい選択だったと思います(帰りの電車で気絶しかけたので…)。
友人らにLINEで泣きついてみたりしていると眠りに落ちました。ストレスに弱い方は電話とかしてみるとよいのかもしれません。
2024年7月5日 受験当日
7時前ぐらいに起きました。軽く身支度をして食事です。当日の朝の食事はコンディションに直結するので、あまり食べすぎないようにしつつ、しっかりエネルギー補給ができるように食べました。
つくばセンターから「筑波大学循環」に乗れば各試験場へ向かえますが、バス停には案の定長蛇の列が形成されていました。臨時便が出ていたので時間に余裕を持って到着できましたが、バスの出発時刻の10分以上前には駅に着いてないと怪しいかもしれません。
ちなみに、駅周辺のロッカーは3箇所あります。バス移動かつ試験中も移動が多いので、事前に荷物を預けておくことを推奨します。
つくば駅改札外、15枠程度(大型4枠ほど)
つくば駅改札内、30枠程度(大型8枠ほど)
つくばセンター奥側バス待合所内、15枠程度(大型6枠ほど)
わたしが利用したのは改札外のもので、当日の8時時点で半数弱程度が空いていました。未確認ですが、ホテルにお願いすれば昼過ぎぐらいまでは預かってくれる場所もあるかもしれません。
バス内や待機場所ではマセマや編入数学徹底研究を開いている人が多かったです。服装はほとんどの人がスーツで、待機場所に2人だけ私服の人がいました。服装は評価対象じゃないですが、悪目立ちしても仕方がないので、大人しくスーツで行くことをおすすめします。
試験の形式ですが、公表されている通り、数学に関する口述試験と、研究計画のプレゼンになります。試験内容は口外しないように指示されているため、本稿でも詳細について言及することは避けますが、公表通りの内容であるとしておきます。
口頭試験(数学)
詳細は言及できないので、軽く書きます。
大教室で問題を解いた後、個別に呼ばれて別室へ移動して、回答をプロジェクターで映しながら解説するような形式になります。
割と特殊ですが、普通の試験だと思って向かえば大丈夫だと思います。制限時間は長くないので、解ける問題を見分けて、素早く正確に解けるようにしておくとよいです。
口頭試験(研究プレゼン)
これも詳細が書けないので軽めに。
2分間で研究計画を述べた後、4~5分程度質疑応答をやる感じです。
内容は普通のプレゼンですが、時間制限がきつめなので、短時間で的確に要点を伝えられるようにしておきましょう。
おそらく、意図的に専門外の教授を連れてきています。専門用語を多発すると理解してもらえるか微妙なので、軽めの説明を挟むとよいかもしれません。
受験終了後
数学の方は半分ぐらいの出来だったと思います。正直失敗したと思いました。プレゼンは割と好印象だったので、きっと大丈夫だろうと思いながら帰路につきました。
できるだけまっすぐ帰宅するようにアナウンスされていましたが、気分転換を兼ねて、時間調整のために駅ビルのミスドへ寄りました。後から来た受験生と思われる人が泣きながらコーヒー飲んでて怖かったです。
後日
結果
無事合格でした!
受かるか微妙だったのですが、後で筑波の先生に聞いてみるとかなり余裕があったそうです。全体的にそう悪い評価ではなかったとのことだったので安心しました。
ちなみに落ちた時のことは何も考えていませんでした。ギャンブラーか?この記事を読んでいるあなた方は、絶対に併願を考えるべきです。
Aftermath
色んな人に筑波受験を言いふらした後、ゼミのために集まっている状況で「受かった!!!」とか叫んだので、多くの人に祝福されてちょっと恥ずかしかったです。母校の高専にも御礼参りへ行くことにしました。
この後は卒業研究も進めなければならないし、一人暮らしに向けて住居を確保したり、筑波で実験できるよう環境構築をやったりと割と忙しいです。推薦の人も一般の人も、合格したら受験終了後の8月はいっぱい遊ぶといいと思います!
振り返って
勉強
単純な量で見れば、合格者の中ではかなり少ないほうなのではないかと思います。以下の書籍を各1周しました。
培風館 - 改訂 線形代数要論
あとは筑波の先生から頂いた問題集と、模試の問題をひたすら解きました。最後の方とか過学習を起こしていて、答えをほぼ暗記しているような状況でした。
一日あたりの平均的な勉強時間は5時間ぐらいだったと思います。実際には他の作業に追われてそれより短くなることが多かったです。あなた方は計画的に動いてください。
良かった点
無事合格できた
TOEICの点数でブーストがかかった
プレゼンや質疑応答の準備を綿密に行ったのでちゃんと成功した
悪かった点
結果的に合格できたが、勉強量は明らかに足りていない
もっと早く動き出すべきだった
併願や他大学への院進は全く考えていなかったので、考えるべきだった
院進を考えている人がやっておくべきこと
できるだけ早く希望の研究室と連絡を取ってください
オープンキャンパスや見学会に行ってください
TOEICの勉強をしてください
(一般入試の場合)GPAを稼いでください
おわりに
以上で、以上です。
ひとまずはハッピーエンドで終われたので、今後の研究やその他も頑張っていきたいという所存です。こんなんで合格していいのかという気もしますが、合格は合格です。
つまり、わたしの勝ちです。いいですね?
ここまで読んでいただきありがとうございました。質問等がありましたら、コメントやTwitterのDMからお願いします。
謝辞
院進に際して助言や応援を下さった、研究室のK先生、友人のK, I, T, Tと、母校のY先生、ネ友のRさん・Cさんにに心から感謝いたします。
以下の記事がとても参考になったので、感謝の意とともに記しておきたいと思います。ありがとうございました。