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傷物語 感想

自己偽善をどこまでも押し通す
みんなを傷つけて
でも、そうするしかないじゃないか
そうやってしか、共に生きる道はないのだから
痛みを抱えて傷を舐めあって惨めに生きて行くしか無いじゃないか

俺は、共に生きる道があると言っても最終的には他者の意志を否定してまで、他者の存在の根底を破壊してまで共に生きる道を選ぶことはできないな
私は共存の道を望みはするけれど、あるようにあるものを否定しない
それが、片方の死への道だとしても、それを求める
他者の有り様を肯定し、その上で自己を存続を求める
双方の意志を捻じ曲げて、それでもなお、先に進みたいとは思わない
私には不幸は選べない、幸福な死を選ぶ
死を否定しないし、生を肯定もしない、あるようにあるものはただある、それはそれだけのことで、なによりも私はそれを尊重する

私は、私の望むものを求めようと足掻くが、その結果がなんであろうと否定することはないし
私はその過程で他者の存在基盤を破壊することはない
これは社会契約における自由意志による契約の履行を目指すということになる
だから、私が目指すところは脳天に銃口を突きつけ合うであって、暴力で一方的に他者を制圧するではない
私の意志と貴方の意志を同じ線の上に置こう

キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードのような痛みをすすんで受けたいとは思わないし与えたいとは思わない
他者の意志を冒涜してまで共存を望みはしない
最終的な地点で意志が衝突したならば、片方は死ななければいけない
相容れぬ他者を相容れぬままに存続させることはできない
存在の根底が相容れぬというのなら、願わくば安らかな死を与えん
私は自己を存続させる限りある固有の存在だ
だから、すべてを掴み取ることはできないし、変えようのない存在の根底を有する
私は、私の自己満足のために貴方をやめろということはできない
私が私であり、貴方が貴方であり、その意志のもとに生じた結果を私はただ、認めることしかできない
私は私を愛しているし、私は貴方を否定しようがない
私という存在はこの痛みを背負わなければいけない
私は私を構成する世界の一切を肯定すると言った、しかし、私は他者の意志を否定して、自己の意志を否定して、この世界を肯定することはできない
私は私の意志と貴方の意志を守らなければいけない
自由な意志とはなんだ?意志の冒涜とは何だ?存在が存在すること、それ自体を認め得ぬというのなら、その先にあるものも、また、自己欺瞞でしか無いではないのか?
あるようにあるものはただ、それだけで正しい
私の思いの上において自己と他者の意志は尊重されるが、それは選り好みの話でしか無い
キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードの有り様もまた正しく、阿良々木暦の有り様もまた正しい
それは、私なら決して選びとなる結末ではあるが、それ自体が否定されるべきではない、私が嫌いであると言うだけで、その存在もまた私と等しく正しい、不幸もまた幸福と同じく価値を持つ

私はそれを選びはしない
けれど、その結果を絶対に否定しない
他者の意志とその結果を、それは意志と意志の衝突による結果だ
他方が他方を滅ぼした結果だ
結局、それを選ばない私もそれを選んだ阿良々木暦も同じことで、意志の押し付けでしかないし、自己欺瞞でしか無い
私は間違っているし、私は正しい。そこには同じだけの価値が存在する
ここにある意志は押し付けることしかできない
どれだけ、私が他者に自己の意志を押し付けることをおそれ、それを統御しようと努力したところで、私がここに存在し、貴方に言葉を与え、あるいはなにもせず傍観したとして、存在そのものが意志の表明で、私の意志の投影で、意志そのものだ
あるようにあるのはすべてがそうだ
私たちは傷つけあって、傷を舐めあって、生きて行くしか無い
仕方ないじゃないか、生きてるんだ
生きていくしかないんだ

我々はそうあることしかできない
阿良々木暦が羽川のおっぱいを揉むことはできない
我々はこの世界を認めよう
我々はこの世界で生きていこう

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