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私の名前(あだ名)は『モナ王』

皆さん、お久しぶりです
梅雨真っ只中、いかがお過ごしでしょうか?
コロナも自粛解除はされたもののまだ予断を許さない状況ではありますが、私は元気です。

大雨で心も身体もジメッとする中、日常を過ごしているとふと昔の事を思い出した。

それは中学高校時代の同級生が事故で亡くなったことだ
彼は中学から引っ越しで移ってきた転校生でクラスが同じになることはなかったものの、幼なじみとの繋がりで接するのは案外早かった。

彼は最初に見た時の印象は見るからにわんぱくな性格で違うクラスだったが、そのわんぱくぶりは私のクラスでも時折、話題になるほどだった
良くも悪くも彼は明るく、転校で移ってきた中学に慣れようとしているようだった雰囲気が今でも懐かしい。

中学2年の時だ
私がいつもの如く、幼なじみと遊んでいて、お菓子を買いに近くの駄菓子屋にお菓子を買いに行く時、結構な頻度でアイスの「モナ王」を買っていた。

それを彼を含めた友達は把握していたようで、ある日突然、私のことを「モナ王」と呼ぶようになった。

思春期真っ只中の私からすると、事実ではあるものの、「モノ」の名前で呼ばれる事、彼らが面白がって何度もその名で呼んでくる事を良く思わず、呼ばれた時は毎度毎度キレるという一連の流れを作ってしまった。

実際、その名で呼ばれたのは半年くらいだったと思うが
言われなくなった後も、不意を突かれて呼ばれた時は思わず反応してしまった自分がいて、なんだかんだで気に入っていたかもしれない。

高校時代は学科も違ければ、部活も違かったが、中学時代の絡みもあった事で校内で会う度に軽く互いの状況を話したりして、心の置き所になっていたと思う。

彼は部活で兄の影響でレスリングをしていて、元々、身体が大きめでわんぱくな性格だったのもあってすぐに大会でも上位に行くような力をつけていった
私はというと、ごくごく普通の何の変哲もない感じで部活をやっていたが心の中では彼の活躍や性格に負けん気を覚えることはあったがそれがなかなか実力には出なかった。

そして、高校を卒業し、社会人にお互いはなったが私が地元を早い内に離れてしまったのもあって、彼との連絡はほとんどなくなってしまった。

彼とその後会ったのは、2年後の成人式の日
その日、久々に同級生に会った訳だが、その時も幼なじみとくっ付いて行動していた。
これは学生時代から変わらないし、その幼なじみの影響をかなり受けている
彼の趣味であったバイクそれだ。

見た目や身に付けているもの、趣味や行動が大人の感じになってはいても中身はあんまり昔と変わっていない感じで「そんなもんだよなー」と独り言…

また自分の日常に戻り、過ごしていた2年後
突然、電話が鳴った。
その電話の相手は母親
たまにこちらの状況を知りたいらしく電話してくることはあったが、いつも鳴らしてくる時間ではなかったから嫌な予感が先走る。

その母親から「〇〇くんがバイク事故で亡くなったって」
最初はただ単に一つの文章として受け止めて
でも、頭の中でその文章を繰り返す。

いつも聴く事はない、友達の名前の後に「亡くなった」と
頭の整理がつかなかったわけではないのだけど、やはりその言葉を飲み込むのには時間がかかった。

その話を聴いたのは繁忙期の残業終わって家に着いた割とすぐのことだった。

思わず、外に出た
正直、親友と言える程、仲が良かったわけではないけれど、家族に近しい人のように急激に寂しさが身体中を駆け巡った。

すでに切られた電話を片手に
ただ、その場を立ち尽くしていたが時間が経つにつれ、我に戻ってった自分を客観的に感じていたのは強く記憶に残っている。

人ってホントにいつ死ぬかわからないと思わされた日でもあったが、どんなに仲だろうがやはり自分の周りにいた人がこの世を去る事の寂しさや尊さは身に染みた。

そして、最近地元に戻る機会があったので、彼の家を突然訪問した
彼の家には数回しか行ったことがなかったがそれでも学生時代に行ったことのある友達の家はしっかりと覚えていたようで…

久々に訪れた彼の家の前で親父さんが庭の手入れをしていたところだった
すぐにこちらに気づいてくれて挨拶をしたら、親父さんも私の名を知ってくれていたようだった。

家の中に招かれ、彼の母親にも挨拶をして
彼の遺影が置かれた部屋に入れてもらった。

そこで懐かしい話や事故当時のこととかを話した後、彼に線香をあげるために少し時間をいただいたが、私と彼の時間を作ってくれようと部屋を去る彼の両親の暖かさを感じることが出来た。

彼の遺影の周りには生前、彼が好きだったものや趣味のバイクのパーツが置かれ、その中心に彼の写真があった
もちろん、いつものように笑顔だった。
「やっぱり、お前は何も変わらないな」って独り言。

そして、彼の遺影を前に少しばかり時間を過ごせて、近況を伝えることが出来て、やっと心の中にあった彼に対する寂しさはかなり軽くなった。

今もし、生きていたとしても、きっと今までと中身は変わらないだろう
変わっているとしても彼の周りの環境と彼が笑顔になった時に増えるシワの数だろう。

彼の分まで人生を楽しむ約束をしたのも思い出して書いている今日
彼のいるであろう、空は昨日大雨が降っていたのが嘘かのように、晴れている。

また、モナ王が美味しく食べれる季節になる。

私が「モナ王」を食べていたら、また空の上からニヤニヤしながら名前を呼んで揶揄ってくれ。

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