飾るほどでもない色紙
少し味気ない気がしたが、ご時世的にもいたしかたない。
転勤や部署移動する方々にむけて、今までは手書きのカードを集めて色紙に貼って渡していた。しかし、今年は出ていくひとがやたらと多い。
ついにPowerPointのフォーマットを使うことになった。
手書きが苦手なひとにはありがたいかもしれない。あと、他のひとがどんなコメントを寄せているのか分かり、言いまわしが参考になる。
送りびとと、送られびとがどのくらいの距離感だったのか、良くも悪くも分かってしまうけれど。
「〇〇さん、みかん山以来のお別れですね、お元気で」と書いているひとがいて、お互い前世タヌキかなんかだったのか?と思った。謎だ。
先日、バレンタイン・ホワイトデーには手書きのメッセージカードを添える社風の件について書いた。
そして、とくに伝えることがない他支店の同期に、フエキノリのキャラクターを描いて送り付けた件も、同上。
今年も書くことが思いつかず、ミカンせいじんの絵を描いて送り付けた。
伝説の前衛的こども向け番組、《ウゴウゴルーガ》内で放送されていた、ミカンによく似た宇宙人である。
極太のまゆげ、時が止まったような三白眼、やたらリアルな口元。
あげるのはオレンジピールなので、同期がミカンせいじんを知っていようが知るまいが、このさい構わない。
思いのほかエグい仕上がりになったので、写真は撮らず急いで手放した。
繁忙期ゆえバレンタイン直後には何のリアクションもなく、すっかり忘れていたのだが、彼からのお返しに添えられていたメッセージにしてやられた。
13.5㎝角の金縁のしっかりとした色紙に、同一人物、同一筆跡による寄せ書き風のメッセージ。
最後、急に初号機に乗り込もうとする〇田。
いや、これは寄せ書きではない。寄せ書きというのは、その名の通り1枚の紙に複数の人物がメッセージを寄せたものを指す。
寄せ書きに見せかけた私信、というかもはやネタである。
おもしろい。くやしい。負けた。
やられた。腹立つ。おもしろい。
昨日思いついて、色紙を買って、15分くらいで書いた感はあるが、変に作り込んでいない感が絶妙である。
見れば見るほどジワジワくる。
とらやのあんペーストも同梱されていたので、御礼と、不覚にも笑ってしまった旨をメールしたところ、
と返ってきた。
最初に仕掛けたのはこちらなのだが、絶対に負けられない笑いの火ぶたが切って落とされた。
そして、遠回しに来年もくれと言われている。
策にはまってしまった感が否めないものの、これはこちらも1年間かけてじっくり考えなければならない。逃げちゃダメだ。わたしは何と戦っているのだ。
メッセージは、非効率的な方がより伝わるのかもしれないな、と思った。
ただ、お互い仕事を頑張るべきなのは、揺るがない真理である。