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飾るほどでもない色紙

少し味気ない気がしたが、ご時世的にもいたしかたない。

転勤や部署移動する方々にむけて、今までは手書きのカードを集めて色紙に貼って渡していた。しかし、今年は出ていくひとがやたらと多い。
ついにPowerPointのフォーマットを使うことになった。

手書きが苦手なひとにはありがたいかもしれない。あと、他のひとがどんなコメントを寄せているのか分かり、言いまわしが参考になる。

送りびとと、送られびとがどのくらいの距離感だったのか、良くも悪くも分かってしまうけれど。

「〇〇さん、みかん山以来のお別れですね、お元気で」と書いているひとがいて、お互い前世タヌキかなんかだったのか?と思った。謎だ。

先日、バレンタイン・ホワイトデーには手書きのメッセージカードを添える社風の件について書いた。

そして、とくに伝えることがない他支店の同期に、フエキノリのキャラクターを描いて送り付けた件も、同上。

昨年のメッセージカード

今年も書くことが思いつかず、ミカンせいじんの絵を描いて送り付けた。

伝説の前衛的こども向け番組、《ウゴウゴルーガ》内で放送されていた、ミカンによく似た宇宙人である。

極太のまゆげ、時が止まったような三白眼、やたらリアルな口元。

あげるのはオレンジピールなので、同期がミカンせいじんを知っていようが知るまいが、このさい構わない。

思いのほかエグい仕上がりになったので、写真は撮らず急いで手放した。

繁忙期ゆえバレンタイン直後には何のリアクションもなく、すっかり忘れていたのだが、彼からのお返しに添えられていたメッセージにしてやられた。

雑にプライバシーを保護しています

13.5㎝角の金縁のしっかりとした色紙に、同一人物、同一筆跡による寄せ書き風のメッセージ。

「いつもありがとうございます」〇田

「オレンジいつもおいしく頂いてます」〇田

「ホワイトデーお疲れ様です」〇田

「M野さんやね…」〇田

「4月からついに関西です」〇田

「いつも戦術会議で資料をオマージュさせてもらってもらってます。ありがとう 〇田」

「いつも▲▲ありがとうございます。これからも◇◇のことよろしくお願いします 〇田」

「逃げちゃダメだ 〇田」

最後、急に初号機に乗り込もうとする〇田。

いや、これは寄せ書きではない。寄せ書きというのは、その名の通り1枚の紙に複数の人物がメッセージを寄せたものを指す。

寄せ書きに見せかけた私信、というかもはやネタである。

左下にスギちゃんいた

おもしろい。くやしい。負けた。
やられた。腹立つ。おもしろい。

昨日思いついて、色紙を買って、15分くらいで書いた感はあるが、変に作り込んでいない感が絶妙である。

見れば見るほどジワジワくる。

とらやのあんペーストも同梱されていたので、御礼と、不覚にも笑ってしまった旨をメールしたところ、

色紙のアイデアは良かったと思うのですが、クオリティが低くなってしまったのが反省点です。
今年頑張った分、来年は勝負の年になるので頑張ります(仕事じゃなくメッセージカードのことです)。

と返ってきた。

最初に仕掛けたのはこちらなのだが、絶対に負けられない笑いの火ぶたが切って落とされた。
そして、遠回しに来年もくれと言われている。

策にはまってしまった感が否めないものの、これはこちらも1年間かけてじっくり考えなければならない。逃げちゃダメだ。わたしは何と戦っているのだ。

メッセージは、非効率的な方がより伝わるのかもしれないな、と思った。

ただ、お互い仕事を頑張るべきなのは、揺るがない真理である。

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