夏が苦手なひと
山本千夏。24歳。人間。
彼女は夏の日差し、照り返し、湿気が苦手らしい。だから、夏は午後5時までは家からでてこない。自分なりの夏への対策を徹底しているのだ。
夏の行事、BBQ、グランピング、花火大会。全部夏にしなくていいと言う。
「秋か春でいい。夏じゃなくていい」と。
その時、私は大好きな芸人ヒコロヒーさんも全く同じことを言ってたと思い、笑った。
夏に彼女の好きなアーティストのライブがあった。人気なアーティストだ。どうせチケットは買えないだろうと思い、夏のライブだけど応募したそうだ。
当選した。してしまった。
彼女にとっては夏は強力な敵。しかし、大好きなアーティストのライブ、自身を洗脳することを決めたらしい。
ライブ当日、彼女から連絡がきた。
「アーティストはなにも悪くない、ライブはめっちゃ盛り上がってる。でも、夏が無理や、まだライブは続くけど帰ります」と。
大好きなアーティストでさえ、彼女の夏嫌いは克服できなかった。
あと、一緒に参加した友達も抜けてくれたらしい。途中で抜ける優しさ。トレンディー。
その日以降、彼女はそのアーティストの話をしなくなった。
あと、一緒に行った友人とはいい関係らしい。トレンディー。
今度彼女とお笑いを見に行く。もちろん、17時以降の公演に。
公演後、彼女と夏のライブを一緒に抜けた友達と合流する。これが、第一次ブームか。トレンディー。