Sherlockの厄介なイギリス英語表現~シーズン1~

Sherlock(シャーロック)とは

Sherlock(シャーロック)は2010年よりイギリス、BBCで制作・放送され、世界的ブームを巻き起こした短編ドラマ。
1話約1時間半、1シーズン全3話。
”シャーロック・ホームズが現代に生きていたら”を想定して脚本が書かれた。製作総指揮・脚本はイギリスの人気シリーズドラマ”Doctor Who”のスティーブン・モファットとマーク・ゲティス。マーク・ゲティスはシャーロックの兄、マイクロフト・ホームズも演じている。
それぞれのタイトルや内容など原作のオマージュがあちらこちらに。
2017年1月、シーズン4で最終回を迎えた。
理由は”メインのキャストとスタッフが多忙になりすぎたため”、とのこと。

Sherlockの英語

現代の話なので、実際によく会話で使われる表現がほとんどだが、一番聞き取りが難しいと思うのは主人公であるSherlock Holmes。基本的に早口であり、元々主演のBenedict Cumberbatchの声が割と籠っているような感じで少々聞き取りづらく、見せ場の推理のシーンでは特に小難しい専門用語を挟んでくるのでネイティブのイギリス人でも気を抜くと聞き逃すらしい。
ただし長くて難しい言い回しはあまり使わないので速度についていければ割となんとかなる。
実は文字にするとMycroftの方がposhな言葉遣いをするのでややこしい。
Mycroftはイギリス政府そのもの、と表現されているようにそれはそれはposhな英語を話されています。(*発音のみだとSherlockの方がPoshであるという分析もあり)
WatsonとMrs Hudsonも綺麗なRP(Received pronunciation BBCのキャスターが話す所謂スタンダードな英語)で聞きやすい。Lestrade警部は少しコックニー寄りかな?(Mockney: わざとコックニー風にしゃべっている英語という表現をしているウェブサイトがありました。)
ちなみに第3話のTV司会者の英語をSherlockはヨークシャーアクセント、と表現していますが、私はあんまりわかりませんでした。

ちょこちょこ登場するコックニー(ロンドン訛り)は聞きなれないと難しいかも。
ロンドンに住んでいるとよく耳にします。

台詞によってはネタバレになる可能性もあるので、ご注意ください。

シーズン1

・第1話 A Study in Pink(原作:A Study in Scarlet)

What about you, just staying in town till you get yourself sorted?
"君はどうなの?落ち着くまで町にいるのか?"
get oneself sorted : 落ち着く、安定する、整理される

Yeah, like that's going to happen.
"まぁ・・・ありえないな。"
like that is going to happen : 絶対に起こることはない(皮肉的表現)
ステレオタイプのイギリス人ぶりたい方はこちらを完璧なRP発音でどうぞ。

My husband was a happy man who lived a life to full.
"私の夫は幸せな人生を満喫している人だった。”
live life to full/fullest :人生を満喫している

In the light of this, the incidents are now being treated as linked.
"このことを踏まえ、現在、この2つの事件は関連性があるものとして扱われています" 
In the light of ~ : ~を踏まえて

I thought that'd be right up your street.
"あなたが好きそうな事件じゃない。"
be light up one's street : 好みの、それに対して十分な知識のある

 Shot in the dark.
"ただの推察だ"

arch enemy
”最大の敵”

Now and then, Yes.
”時々ね”

You're putting me off!
"気が散る"
put someone off - : - に対する興味(やる気)を失わせる
ちなみに実はput off の一番使用頻度の高い表現は = postpone : 延期する

I'm surprised more of us don't branch out.
"意外と他の奴らはやらないんだよ。"
branch out : (主に仕事の面で)手を拡げる、拡大する 

So, another case cracked.
"また事件を解決したな。"
crack: 解決する

How very public spirited, though that's never your motivation, is it?
"よくぞ市民のために解決した、と言いたいところだが、さらさらそんなつもりはないんだろう?”
public spirited:公共性のある
絶対に褒めないマイクロフト。

This petty feud between us is simply childish.
"こんな言い争いは子供じみている。"
petty feud : 小競り合い、内輪もめ

・第2話 The Blind Banker (原作 : The Valley of Fear/The Adventure of the Dancing Men)

-It's password protected.
- In a manner of speaking.
"パスワードかかってるだろ。" ”まぁ一応はね。”
in a manner of speaking : 一応は

I'll take your word for it.
"間違いないだろう。"
take one's word for it : - を信じる

I'm not desperate to root around some bloke's dirty underwear.
"汚れた男の下着をあさりたいわけないだろ?"
root around- : 探す(特に別のものを探すために)
bloke : やつ、男 = guy
イギリスでよく使うあいつ(男) :chap , lad , bugger
ちなみにmateは呼びかけで使うことが多いです。アメリカだとbroってやつです。

So, this investigation might move a bit quicker, If you were to take my word as gospel.
"僕の言葉を信じるなら、この捜査は少しは早く進むだろうね。"
take something as gospel : 信用する、疑わない

He got peckish.
"彼は空腹だった"
peckish (形) : 空腹を感じる = hungry
カジュアルな表現でのおなかすいた。

What if one of them was light-fingered?
"そのうちの1人が手癖が悪かったらどうだ?"
light-fingered : 手癖の悪い、盗み癖のある

You've gone all croaky.
"声がかれてるぞ。"
croaky: 嗄れ声の 

Took me for granted. Stood me up once too often.
"私を大事にしなかった。何回も約束をすっぽかされたの。"
take someone for granted : 軽視する、大切にしない
stand someone up : (ミーティングやデートなどの)約束に現れない
do something once too often : (腹立たしいことを)何度も繰り返してトラブルになる

・第3話 The Great Game (原作:The Adventure of the Bruce-Partington Plans)

I got chatting with one of the waitresses. And Karen weren't happy with that, so we go back to the hotel, we end up having a bit of ding-dong ,don't we?
"ウエイトレスの1人と話してたんだけど、カレンは気に食わなかったみたいで、ホテルに戻って口論になったってわけ。"
ding-dong : (割と激しめの)口喧嘩、口論 = argument / hassle
end up -ing : 最終的にーになる
めちゃくちゃコックニーですこの方。文法もめちゃくちゃですよね。あとですごいつっこまれてます。でもイギリス人はよくこんな感じでhappy使います。
I got chatted with one of the waitresses. And Karen wasn't happy with that, so we went back to the hotel and we ended up having a bit of ding-dong, don't we?

She's always getting at me.
"彼女はいつも俺につっかかってきやがる"
get at someone : 繰り返し誰かを非難する、文句を言う
be always -ing の表現の場合、いつもいつも、という批判的な表現の傾向が強い。

Have you two had a little domestic?
"喧嘩でもしたの?"
domestic : 内輪もめ(主に家庭内での)

I saw it on telly.
"テレビで見たよ"
telly : テレビ イギリスの話し言葉でよく使われます。

Listen, I'm cutting you slack, here, I'm trusting you.
”聞けよ、好きなようにやらせてやってるんだ、お前を信用してるんだよ。”
cut someone slack : 人を大目に見る、

There are lives at stake, Sherlock!
"命がかかってるんだぞ、シャーロック!"
at stake : 危うくなっている、かかっている

Not much cop, this caring lark.
"気にしたって仕方ないぞ。"
not much cop : あまり良くない(イギリスのスラング。= not very good) 
this ~ lark : ~のようなくだらないこと、ばかばかしいこと こちらもイギリス特有の表現らしい。
日本語でどう訳すのが正しいのか・・・・
caringすることがばかばかしい、良くないぞということで気にしたって仕方ないぞ(Sherlockだから)という感じでどうだろう。

10 a penny.
"よくあることだ"
これもイギリスのスラング。

We must assume that some poor bugger's primed to explode, yeah?
"誰かが爆発しそうだってことだろ?"
bugger : やつ(男)
yeah?は文法的に修正するのであれば, mustn't we?

So what is that got to do with the stiff ?
"で、遺体と何の関係があるんだ?"
stiff: 遺体、死体

There's a hook on his belt for a walkie talkie.
"トランシーバー用のフックがベルトについている"
walkie talkie : トランシーバー
ちなみにこちらがロンドンのWalkie Talkie building(正式名称:The Fenchurch Building)。形が似てるからついた愛称らしいですが正式名称で呼んでる人見たことない。
最上階は展望台とバー、レストランになっています。(要予約)

Walkie Talkie Building, London

That'll be borne out by backside.
"臀部を見たらわかるだろう。"
borne something out by - : -によって証明される(裏付けられる)

You'd think that he led a sedentary life, yet the sole of his feet and lace of veins in his legs show otherwise.
”彼は座りっぱなしの生活をしていたように思えるだろう、しかし、かかとと足の静脈はそうではないと示している。”
sedentary : 動きの少ない、座りっぱなしの
Yet(接続): しかし
otherwise(形) : 他の 
Otherwiseは文章上は副詞的に使われることが圧倒的に多い。
Otherwise(副):さもなければ
The government secure budget on education otherwise our country will be ruined.

-Fantastic.
-Meretricious.
-And a Happy New Year!
"すごいな" ”つまらんな。” ”ハッピーニューイヤー”
何言ってんの?って感じだったけど、meretriciousの発音がMerry Christmasに似てるから、のAnd a Happy New Year! という所謂おやじギャグだそうです。一瞬Watsonが固まった気がするのは気のせいではなかった。
どこの国でもおやじギャグは処理に困って流されるんだなー。
おやじギャグはそのまま、Dad jokeと言います。

I better get my feelers out for this Golem character.
"このゴーレムってやつを調べた方が良さそうだ。"
put out feelers : 探りを入れる、下調べをする

Art of disguise is knowing how to hide in plain sight.
"変装の美学とは、ありふれた景色の中に隠れる方法を知っていることだよ。"

- So you scratch their backs, and -
- Yes. then I disinfect myself.
"あーじゃあ持ちつ持たれつってやつ。" "まぁね、それから消毒するんだ。"
Scratch one's back にはかゆいところに手を届かせる、という感じの意味があります。欲しいものをあげたり、願いをかなえてあげたりetc.
途中で台詞が遮られていますが、So you scratch their backs, and they scratch yours. みたいに続いたんじゃないかなぁと。
I disinfect myselfに他の意味があるんじゃないかと思ったけどこれだけは全く出てこなかった謎。

He has to hide somewhere where tongues won't wag....much.
"彼は噂にならないような場所に身を潜めていないといけない。"
tongues wag : 噂する

I won't be in the tea.
"夕食にでかけるから。"
tea : 夕食
2018年の集計によると夕食をdinnerと言う人は57% 、teaという人は36%、supperと言う人は5%だったとのこと。
ちなみにteaが夕食の意味で一番使われるのはMidland(Nottingham、Leicester、Birmigham等を含むイギリス中部地域)らしい。
YorkshireはMidlandに含まれないけどteaは割と聞く気がする。
厳密にいうとteaは軽めの夕食、とのこと。

This is a turn-up, isn't it, Sherlock?
”驚いただろう、シャーロック?"
turn-up : 番狂わせ、予想外の出来事

-I would try to convince you , but everything I have to say has already crossed your mind.
-Probably my answer has crossed yours.
”君の考えを変えたいけど、僕の言いたいことは全部もうわかってると思ってさ。”
”多分こちらの答えもそうなんだろうな。”
cross one's mind : 思いつく、頭によぎる

参考:
Dinner, tea or supper: what do you call your evening meal?


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