総務課のAさん。
早く起きた日曜日の朝は、何かがしたくて堪らない。今朝はずっとシャワーで済ましていた夏の間のお風呂をバスタブ、フタ、床、そして壁の除菌をし、トイレも隅々まで掃除した。やはり、休日の朝の掃除は良い。
私はずっと、何か人を幸せにする仕事がしたいと思っていて、今の会社(某結婚相談所)に入社した。もう丸5年になる。ここで最初の3年間は事務センターで働いていた。そこでももちろん楽しかったし、やりがいを持っていた。3年目の一昨年の秋に、突然総務課への人事異動を命ぜられた。私は最初は驚いたが、総務課とは、言わば会社の「生活」に関わる部門。私は自分の客観性や社会性を磨く良いチャンスだと思った。
実際、仕事は楽しかった。一つ一つの仕事に重要な意味があり、私の場合、契約社員なので、社員の方のサブ的な仕事をするので、総務課以外の部署、例えば経理課だったり、労務課だったり、色々な部署からの仕事も手伝ったりする。私は最初は頭が混乱しそうになった。何故、私は総務課なのに、経理課だの労務課の仕事までしなければならないのかと思っていた。頭を使いすぎて眠れず、導眠剤を夜に服用する日々が続いたりした。
しかし、1年、2年が経ち、不思議と身体が仕事に馴染んできた。また、主任がとても優しく、日々難しくなる業務を、「あおいさんだったら、どうやりますか?」とか、経理関係の仕事でも、「この請求書の計上の欄には、どこの部署のどの金額が入りますか?」とか、まるで家庭教師のように解りやすく、面白く教えてくれるのだ。
もともと私は、勉強は嫌いな方ではない。「学ぶ」ということ自体が好きなのだ。
その、よく解りやすく仕事を教えてくれる主任Aさんは、すごく頭が良く、行動力があり、何よりも責任感がある。家庭でもすごく奥様を大事にするタイプらしく、格好はラフな格好(弊社はラフな格好の社員の方が多い)をしているが、左手の結婚指輪は、磨いているのだろうか、いつもキラキラと輝いている。
私は、今では総務の仕事に誇りを持っているし、心から楽しいと思っている。そう思えるのは、ここ(総務課)に、Aさんがいるお陰なのだ、と信じている。だから私も、Aさんの足を引っ張ったり、迷惑を掛けたりすることなく、Aさんの力にもっともっとなれるように、着実に努力を重ねていく。