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毒親」と「良い親」——サッカー育成における違い
サッカーの現場では、親の関わり方ひとつで子どもの成長が大きく変わる。過度な介入をする「毒親」もいれば、子どもの自立と成長を支える「良い親」もいる。では、良い親とはどのような特徴を持っているのか。
『毒親の特徴』
① 過保護すぎる
試合や練習のたびに「準備をしてあげたり」「もっとシュートを打て」と指示を出し、失敗すれば「次はこうしろ」と細かく口を挟む。これでは子どもは自分で考える力を失い、指示待ち人間になってしまう。
親の考えたレールを歩かせたがる
「このスクールに通え」「このクラブに入れ」「この大会に出ろ」と親がすべてを決めてしまう。子どもは「やらされている」うちは本気になれない。
③ 見守ることができない
試合のたびに感情的になり、失敗に過敏に反応する。これでは子どもは親の顔色をうかがいながらプレーするようになり、思い切ったチャレンジができなくなる。
④ チームの戦術ややり方に口を出す
「うちの子はフォワードのほうが向いている」「この戦い方じゃうちの子が活きない」と監督やコーチにあれこれ口を出す。チームスポーツである以上、個々の希望よりもチームの戦術が優先されることを理解できない。
⑤ トレセンにこだわりすぎる
「トレセンに受からなかったら終わり」「J下部に入れなかったらプロは無理」と思い込んでしまう。大事なのはどこに所属するかではなく、どれだけ努力できるかだ。
⑥ メンバーに選ばれなかったり、試合に出られないことに過度に反応する
「なんでうちの子がスタメンじゃないんですか?」と監督に詰め寄る。試合に出られなかったときこそ成長のチャンスなのに、親が過敏に反応することで、子どもは「試合に出られない=親が怒ること」と学び、言い訳を考えるようになってしまう。
『良い親の特徴』
① 子どもの主体性を尊重する
子どもに「どこでサッカーしたいの?」「どうなりたい?」と問いかけ、決断を任せる。親は環境を整え、選択肢を提示するが、最後に決めるのは子ども。そうすることで、自分で考え、行動できる選手へと成長していく。
② 見守る力がある
試合中にミスをしても、感情的にならずに静かに見守る。試合後も説教ではなく、「どうだった?」と子どもの意見を聞く。失敗を責めるのではなく、成長の糧にできるような関わり方をする。
③ チームや指導者を信頼する
チームの方針や監督の指導を尊重し、余計な口出しをしない。試合に出られないときも、すぐに監督に文句を言うのではなく、「なぜ出られないのか?」を子どもと一緒に考え、努力する方向へ導く。
④ トレセンやJ下部の肩書きにこだわらない
「トレセンに受かったからすごい」「J下部に入れなかったからダメ」といった短絡的な考えを持たない。どこに所属するかよりも、日々の成長と努力を大切にする。
⑤ メンバーに選ばれなくても前向きにサポートする
試合に出られないときこそ、子どもがどう努力すべきかを考える機会。「今回はベンチだったけど、どうすれば次は試合に出られると思う?」と前向きな声かけをする。そうすることで、子どもは悔しさを成長のエネルギーに変えることができる。
親の関わり方で未来が変わる
サッカーを続ける上で、親の影響は計り知れない。過度な介入は子どもの自立を奪い、成長の妨げになる。一方で、正しい距離感で支えることで、子どもは主体的に努力し、成長していく。大切なのは、「親の夢を押し付けること」ではなく、「子どもの夢を応援すること」。その違いを理解し、子どもの可能性を最大限に伸ばせる親でありたい。