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『親と子、それぞれのゴール』
サッカーの試合を観ていると、ピッチの中だけでなく、ピッチの外にもさまざまなドラマがある。
それは、ベンチの指導者や応援する保護者たちの思いが交錯する瞬間だ。
子どもたちはシンプルだ。仲間とボールを追いかけ、ゴールを決めることが楽しい。
自分のプレーがうまくいったときは純粋に喜び、ミスをすれば悔しさを滲ませる。
でも、そのすべての経験が「サッカーが好き」という感情に結びついている。
一方で、保護者はどうだろう。
「試合に勝ってほしい」「レギュラーになってほしい」「もっと努力して上を目指してほしい」——
そう願うのは当然のことだ。自分の子どもが成長する姿を見たいし、結果を残せば嬉しい。
でも時に、その思いが強くなりすぎると、子ども自身の目標とすれ違ってしまうことがある。
ある子は「楽しくサッカーがしたい」と思っているのに、
親は「もっと上のチームを目指せ」と言う。
ある子は「友達と一緒にプレーできるのが嬉しい」と感じているのに、
親は「勝たなきゃ意味がない」と言う。
もちろん、親の期待が子どもの背中を押すこともある。
しかし、押しすぎてしまえば、子どもはサッカーそのものを楽しめなくなってしまう。
サッカーは「続けること」が何より大事だ。
楽しいから続く、続くから成長する。その順番を忘れてはいけない。
親と子、それぞれの目的や目標が違うことは当たり前だ。
でも大切なのは、お互いの気持ちを尊重し、同じ方向に向かっていくこと。
子どもがピッチでのびのびとプレーし、心からサッカーを楽しめるように——
大人の役割は、子どもの「好き」を守りながら、そっと背中を支えてあげることなのかもしれない。