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【動画感想】RAB「【推しの子】ファタール/GEMN 踊ってみた」考察もどき感想

こちらはXにポストした、リアルアキバボーイズによる「【推しの子】ファタール/GEMN 踊ってみた」の考察もどき感想のログです。

▼該当の動画はこちら

感想混じりの考察のようなもの

まず楽曲の話からしなくてはならない、楽曲の立ち位置からもうこの作品の構造のとんでもなさが始まっている。

▼原曲MV

歌詞を見ればわかるが、「アイドル」がルビー・アクア(とその他大勢)→アイ、アイを取り巻く愛の話だったとしたら、今回は完全にアクア→アイの話。
「一(アイドル)対大勢(不特定多数)」への思いをアイドル側から語った曲がアイドルなら、ファタールはその逆、「不特定多数」の中にいる「ぼく」その個人的な想いにフォーカスしている。
※つまるところ俺たち(オタク)の話でありRAB(オタク)の話である…

推しの子2期OPは、あの「アイドル」という既に伝説となった1期OPを超えなければならない宿命を背負っている。そして往々にして1期OPは「1期OPだった」という事実だけで何者にも越えられないものだと我々オタクはよく知っている。
その構図自体がアイを追いかけるアクアそのもので、けして越えられない、手の届かない、「アイドル」であり「ファタール」。推し活の大命題、偶像を見る側、見られる側と視点を変えて描いたことが2期OPとしてすごく良かった。
そこで抜擢されるのが中島健人とキタニタツヤのユニット。もう、日本の芸能界で今YOASOBIのアイドルに対峙するにはこの手段しかなかったんじゃないかと思える大資本とセンス……。座組もすごいしMVもすごい。

少し脱線。個人的に中島健人はファンで追っかけてるとかではないのだが、今現在の日本の、というかもうこの世のアイドルの中で最も「アイドル」を実践している人なんじゃないかと思っている。というか、「アイドル」という生き物、という感じ。原曲MVのコメ欄ぜひ見てほしい。マジで老若男女(特に男性)が「自分の中に眠っていた男性アイドルへのときめき」を引き出されて戸惑っている。
何でもできるキタニタツヤがヤバすぎるのもそうなんだけど、並び立つことで「本物のアイドルとは何か?」を見るものに理解させてしまう中島健人のアイドル力が凄まじい。
5年前(‼️)に中島健人がやってた京成スカイライナーのおじさまをお姫様抱っこするCMが忘れられない。あれを「現代のアイドルには必要な要素」と自ら発言していたことも含め、日本社会に必要なのは中島健人、間違いない。
キタニタツヤだけに最初は話があったという話も見かけたが、「実在のアイドル」として最も説得力のあるキャラクター性を持つ中島健人が抜擢されたことがもうすごい曲なのである。推しの子のキャスティング力、バケモンだ。

ガンギマリになってしまった。
CD売上は予想以下だったみたいだけどそこは色々要因があるようなので仕方ない。CDの枚数など関係なく動画配信と音楽番組(まだ出てない?)でバズり続ける予感しかしない。「推しの子」というコンテンツの強さ、「アイドル」一発で終わらせずに更に確固たるものにした功績。

話をRABに戻すと、

・「アイドル」で主役を務めたあつきさん、監督を務めたネス
・「ファタール」で主役を務めるゾマネス、監督を務める龍くん

この構図がもう楽曲と同じく「アイドル=アイ(涼宮あつき)」を追いかける2期OPとして丸かぶりなんである。
越えられない大きな存在としてのあつきさんを追いかけるかつて「あつきさんのファン」であったりゅっぴす、という構図。エモいに決まっている。

前提として、今回の踊ってみたでは照明演出が構成の補助線としてわかりやすいので、それを軸に考察している。
ピンクと水色の照明が主に使われていて、原則としてこれはルビーとアクア、そしてあつきさんのカラーである赤(原曲MVでもアクセントカラーになっている)がROOTS(アイ側)を示している。ネスセンターの時はほぼ水色が来ることからネスくんに主にアクアの役割が当てられていると考えていいだろう。
厳密には言いきれないけど、照明と構成を合わせてみることで推しの子のストーリー要素とRABのストーリー要素を整理しやすくなる。気がする。独断と偏見で語っていきます。

シーンごとに見ていく。

①「また夢から覚める~無力さを呪う」
今回の主役の提示。サムネにも表されているようにゾマネスがメインの筋書きとなる。「転生」も推しの子のテーマのひとつであり、このあともそういう表現が出てくる。前世で掴み損ねたものを取り戻しに行く、という推しの子のストーリーの始まり方と重なる。

②「身を焼かれるような~燃やし続けている」
赤照明、ROOTSのシーン。ROOTSが映るところは、推しの子と言うよりも素直に歌詞をRABのストーリーに重ねている気がする。この組み合わせが「アイドル」同様、推しの子とRAB両方の解釈を絡めた作品として厚みを出している。

③「キラキラお星様~あなたのせい?」
全員のパート。かつオリジナル振り。「eyes」のとこは原曲振りリスペクトだったりして上手い。原曲MVも大勢のダンサーが登場するし、見栄えとしてフルメンは映える……揃っている部分と「裏表」になる振り、音の取り方が龍くんぽくて気持ちいい。

④「致命的な欠落~狂わされた生」
ゾマさんセンターで千手観音振り。歌詞が良すぎるのでもうそのまんまなんだけど、個人的には原曲MVのシンクロダンスとかちょっとした仏教思想(輪廻転生)観が推しの子の世界観となんとも言えず合ってて好き。あとゾマさんの表情が「身勝手な巨星」すぎて生を狂わされる。

⑤「お願い声を聞かせて~照らせるように」
とぅーしくんパート!説明不要なくらい歌詞にバチハマり。絶品フィンガータットが曲にバッチリ合っている。「僕を見ていて」の表情管理はもちろん、シンメトリーになるあつきマロンの構図も美しい。「アイドル」踊ってみたにも似たような動きがあるのでセルフオマージュ的なシーンでもある。
④から引き続き抽象的で神秘的なイメージ。ピンク照明なのでルビー側の文脈でも読める。
ここのゾマさんとの入れ替わりは色々考えられるけど私は転生前~転生後を表してるのかなと受け取りました。転生前が「本来の自分」であり因果の部分であるならばそれが「必然であり運命」として新しい自分の背中を押している感じ。どこまでもとぅーしくんだね……

⑥「あなたがいないと生きていけない~埋めたらいい?」
全員パート、ゾマさんセンター。カノン振り来たー!今回アニメ版MVも王道アニメOPらしいカットで切り替えが早いのでカノンの疾走感がよく合う。
訴えかけるような歌詞にゾマさんの表情が説得力を与えている。

⑦「致命的~最愛のファタール!」
全員でサビ振り!1番サビは原曲ダンスのキャッチーさを残しながらバチバチにトップロックも組みあわせてRABのダンスにしている。大好き。キレキレのブレイク部分としなりのある原曲振りとのコントラストもいい。

⑧間奏パート
マロンさんとドラゴンさんがとにかくかっこいいソロパート。赤照明でありROOTSとして「追いかけられる側」の説得力、煽るような身勝手なまでのかっこよさ。無理狂う。
そういえば今回、衣装が大変いいお仕事をしている。いつもカラフルなチェックシャツやらコスプレやらのイメージが強いけど、完全に揃いのモノトーン(ゾマさんの靴下を除くw)。布の質感やシルエットの違いもメンバーごとに解釈に合う。マロンさんとドラゴンさんのぶかっとしたシャツ(でのオラつき表情とダンス)、破壊力が凄い。

⑨「キラキラお星様~創造的堕天」
ネスセンターにつき水色照明。ここもシンメトリーが美しい構成。「灼かれた眼 もがれた羽根」で監督龍くん登場。顔面の説得力が凄い、、歌詞ハメのかっこよさであっさり空気をさらって行く。

⑩「あらゆる視界をジャック~昇華して」
ネス龍のこのパートは「アイドル」のネス構成セルフオマージュかなと勝手に解釈。ピンクと水色の照明でルビー・アクアの双子パート。激しめのビートに合わせたヒップホップ振りのパートは龍くんの本領発揮。龍くん、出番少ないものの一撃で印象を強く残していく。

⑪「僕という運命を全部抱きしめていく」
ネス龍の祝福コンビで魅せるパート。ここは水色照明で⑤と完全にアクシスが対になっている。⑤のゾマとぅしと同じく、前後入れ替わりの構図があるが今度は吹っ切れたような、魅入られそうに蠱惑的な笑顔の龍くんがネスくんを押しのけるように前に出てくる。キャラクターの心情の変遷を感じさせるし、「推しの子」2期は舞台演劇の話なので「完璧な仮面」を演じられるようになって被っているようにも見える。
からの、歌詞通りに自分との和解かのようなグータッチ。笑顔がふたりともめちゃくちゃ印象に残る。カメラの切り替え演出としても素晴らしい。⑤と対なので同様に、ここも一番と重ねて「アイドル」の時と似たシンメトリーが出てくる。

⑫「あなたがいないと生きていけない~もらうしかないのに」
全員パート。サビの疾走感に合わせてアップダウンやジャンプの入った躍動感ある振り。カノンも効いてる。ゾマ龍が前に来て跳んだ時の迫力、ブチアゲ感ったらない。最高です。

⑬「致命的~最愛のファタール!」
全員でサビ振り。1番サビ同様の振りだけど2番サビはもうカメラワークが優勝です。引いて引いて人が増えていくのが曲の盛り上がりに直結。あとしゃちが舌ペロしてくれて助かった。
ここで注目したい、ゾマさんの視線と表情管理のずば抜けた上手さ。全体に渡り今回はゾマさんが大優勝している印象なんだけど、「演じることの上手さ」が曲のテーマに説得力を与えてくれている。RABの中島健人や。。
RABはアイドルではない。あくまでプロダンサーであるので「顔をキメたまま踊る」というのはまた別の技術であると思う。そういう意味ではやっぱりゾマさんが群を抜いている。あとは龍くんも、表情管理は昔からすごいけどやっぱり今回も凄い。

⑭「何度悔やんだだろう~撫でる手を」
赤照明になりROOTSのみ→圧巻のあつきさんソロへ。ここの演出・構成が本当にすごくてビビり散らかした。指でフレームを作り、画面の中にいるROOTSそしてあつきさん(アイドル)を見ていた、というストーリーに。ラストの大サビに向けて筋書きを作っていく。

⑮「この舞台で足掻くことをやめない~あの星の光からこぼれた闇」
歌詞がドンズバすぎる。明らかにアクアのネスくんが登場。瞳の中に六芒星を探してしまった程の煌めき。単なる笑顔じゃなく明らかに「狂気」を滲ませたアクティングが素晴らしすぎる。見るものを吸い込む力がある。「ただひとつのアイ」で六芒星を指で作り、「固く定まった」で推しの子2期の主題である「東京ブレイド」の殺陣ムーブを入れてくる。アニメ版MVでもアクション的な王道シーンがあるので本家リスペクトがほんとにさすがのオタクです。
さらに手で四角を作り「画面」を沢山表すことでまさに自分たちも「視界をジャック」する側に回ったことを示す。タットダンス、というかネスくん、こういう表現と相性が抜群に良い。というか龍くん監督、ネスくんを使いこなしすぎ。

⑯「あなたがいないと生きていけない~埋めたらいい?」
ラスサビへ。ここでゾマさんソロが来る意味を極大解釈してしまうオタクなんだけど、やっぱりゾマさんは圧倒的「主人公」なんですよね。今回の曲テーマで言うとアクアがメインなのでネスくんもメインではあるものの、RABの「主人公」の役割、ネスくんの作った画面の向こうに現れた次世代の「アイ(あつき)」として説得力を持たせられるのはブレイクというRABのDNAを色濃く持つゾマさんしかいなかったんだろうな、と思いました。ネスとぅし龍がそうじゃないという意味ではなく、今回の動画の構成上最もハマるのはやっぱりゾマさんしか考えられない。

⑰「致命的~最愛のファタール!」
もう最後全員の油の乗り方がすごくてどこ見ればいいのかわからん!けどやっぱゾマさんを見ちゃう!と思ったら舌ペロが来て全ての記憶が飛ぶ。
というのを繰り返して感想書くのにすごい時間かかりました。

沼落ちに直結した「アイドル」ぶりにぶっ刺さる動画が来てしまい、オタクは困惑してます。原曲もアニメもMV良すぎるので全部繰り返し見てます。裏側動画で少しわかるけど、また解説動画など上げてくれたら嬉しいなあ。
(オタクでもある)ダンサーさんが何を考えてひとつひとつの動きを作っているか、思考の過程がとっても興味深いです。

ここまで書いておいてなんですが、全然根拠ないので勝手な妄想であることをお含みおきいただければ幸いです。

あと、ここはこう思った!とかこういう見方もあるんじゃない?とか色んな意見があると思うので、もし気が向いたら教えてくれたら嬉し〜です。

オタクより。


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