Blueskyはちょっと難しい(モデレーションリスト編)
以前、Blueskyのカスタムフィードについて紹介するnoteを書きました。
この記事では、Blueskyの「モデレーションリスト」と「リスト」のことと、「ミュート」や「ブロック」について書こうと思います。
「モデレーションリスト」とは、ユーザが作ることのできるリストのひとつです。この使い方がちょっとわかりにくく、そのわかりにくさがトラブルの種になっているなと感じます。トラブルはない方がいいですね。共通認識などがあれば、トラブルがすこしは避けられるかもしれません。
なお、わたしはただのBlueskyのユーザなので、情報のたしかさや新しさなどは各自でご判断ください。
「モデレーションリスト」と「リスト」
Blueskyにはリストが2種類あります。「モデレーションリスト」と「リスト」です。
どちらも、ほとんど同じような機能を持っています。Blueskyの画面を見てみましょう。まず、これが「モデレーションリスト」の例です。
こっちが「リスト」です。
ほとんど同じですね。ただし、「リスト」の方はポストの一覧を見ることができます。たとえばこんなふうに。
上記の画面ではひとつのポストしか出ていませんが、実際には先ほどのリストに入っているアカウントからの投稿がずらっと時系列に並びます。「リスト」はX(旧Twitter)のリスト機能とほぼ同じと考えてよいはずです。
どちらのリストでも「一括操作」ができる
「モデレーションリスト」と「リスト」の違いは、いま上に書いたように「ポストの一覧を見ることができるかどうか」です。
そして、どちらのリスト機能も、そのリストに含まれるアカウントを一括でミュートをしたりブロックをしたりできます。こんなふうに。
上記スクリーンショットは「リスト」のものですが、メニュー内に「リストをミュート」や「リストをブロック」があります。
「モデレーションリスト」も同様です。
「モデレーションリスト」の方がメニューがシンプルですね。ミュートやブロックにだけ使える機能という印象です。
以前は「リスト」という機能はなかった
Blueskyはまだ発展段階のSNSです(ハッシュタグが機能するようになったのも、つい数日前だったりします)。「モデレーションリスト」だけがあり、「リスト」はない時期がありました。
「モデレーションリスト」しかない時期には、一部のユーザのあいだでは「モデレーションリスト」をポジティブな意味でのリストとして代替していたという事実があります。
本来はブラックリスト的な意味合いで使用されるはずの機能ですが、不便を感じたユーザたちの一部では、「お気に入りリスト」的にも使われていたようです。
そのため、もしあなたがなんらかの「モデレーションリスト」に入っていたとしても、それが必ずしもネガティブな意味とは限らないことは知っておくとよいと思います。
「リストに入っている」=「ブロックされている」わけではない
実は、「モデレーションリスト」や「リスト」に入っていても、そのユーザがそのリストをミュートしたりブロックしたりしているとは限りません。これらのリストは、作成時にはただの”リスト”でしかないのです。ホワイトリスト的に使うこともできるし、ブックマーク的に使うこともできます。
「ミュート」と「ブロック」
Blueskyには他のSNSと同じように「ミュート」と「ブロック」の機能があります。どんな機能なのかは想像がつくと思うのですが、ちょっと意外かもしれない特徴があります。
「ブロック」は公開情報、「ミュート」は非公開情報
Blueskyにおいては、ブロックは公開情報です。どのアカウントがどのアカウントをブロックしているのかは誰でも知ることができます。なんでそんな仕様なの?という気はしますが、そうなっています。
このことは、「モデレーションリスト」や「リスト」で一括ブロックをしようとすると表示されるダイアログにも書かれています。
「ブロックしたことは公開されます。」と書かれていますね。なんで?
その一方、「ミュート」したことは公開されません。
「ミュートの設定は非公開です。」と書かれていますね。それはそうであってほしい。
リストへの追加は公開情報である
ここで忘れてはならないのは、「モデレーションリスト」や「リスト」の作成は公開情報だということですね。
たとえばこんなふうに、そのアカウントのホーム画面に行けば簡単に見ることができます。
上記のアカウントは「リスト」しか作成していませんが、「モデレーションリスト」があればそれも一緒に表示されます。
また、誰が誰をブロックしているのかや、誰が誰をどんなリストに追加しているのかを調べることのできるツールが存在しています(ここではリンクしません)。
リストでのミュート・ブロックと、個別のミュート・ブロック
ここまで、2つの「リストをつくる」機能と、2つの「見えないようにする」機能の特徴を整理してきました。最後に、「リストでする」ことと「個別にする」ことの違いを見ていきましょう。
「モデレーションリスト」や「リスト」を使うことで、そのリスト内のアカウントを一括でミュートしたりブロックしたりできることは、すでに上の方で説明しました。
個別での操作は、旧Twitterのときと同じ感じです。下記のスクリーンショットのように、そのアカウントの画面に行けばミュートしたりブロックしたりできます。
ミュートしたりブロックしたりしたアカウントの一覧は、「モデレーション」の画面から見ることができます。
なぜモデレーションリストを使うのか
個別にミュートやブロックをすることができるのに、あえて「モデレーションリスト」を使うことの理由はいくつか考えられます。
理由のひとつは、カスタムフィードの条件に利用するためです。カスタムフィードを作成する際に、フィードに表示させたくないアカウントが複数ある場合には、「モデレーションリスト」を使うととても便利です。
(例示を試みましたが、説明が大変なので断念しました。)
また、他のユーザに共有するために「モデレーションリスト」を作成する場合もあるでしょう。スパム行為を行うアカウントのリストを他のユーザと共有できれば便利です。
また、「一括で操作できる」ということは、「一括でミュートを解除できる」ということでもあります。たとえばテレビドラマやスポーツ中継などをリアルタイムで視聴できないときに、実況投稿しがちな他のユーザをリストに入れておいて、ネタバレされたくないときはミュートしておく。自分も視聴できたら一括でミュートを解除して、今度はその人たちがどんな実況をしていたか楽しむ。そんな使い方も考えられます。
これらの機能とどう付き合っていくか
この数週間ほどのBlueskyでは、何度かモデレーションリストに関連してトラブルが起こっているような印象があります。わたしはこうしたトラブルが起こる理由として、Blueskyの仕様がXとは違っていることや、その仕様が正確には周知されていないこと、そして、まだ新しいウェブサービスであるためにユーザどうしの知識や認識の度合いが揃っていないことなどが原因にあると思っています。
たとえば、自然な感覚で使っていれば、「ミュートしたいアカウントのリストが、他の人にも見られてしまう」という状態はあまり想像しないと思います。逆から言えば、「自分がどんなリストに入っているのか調べてみたい」という発想も、それが技術的に可能だと知らなければ出てこないでしょう。
もしも調べてみて、自分が誰かの「嫌いな人たちのリスト」なんて名前のモデレーションリストに入っていたら。まあ、けっこうショックですよね。なにか言わずにはいられないと思います。その気持ちはわたしもよくわかるのです。わかるのですが、そうしたリストを「晒す」ような行為は過剰防衛なのではないかなと感じています。相手はもしかしたら、それが「見られてしまう」とは思っていないかもしれません。
「バザールとクラブ」
以下には、もうすこし飛躍して、わたしの考えていることを書きます。
NHK「100分de名著」という番組のローティ『偶然性・アイロニー・連帯』の第2回で、「バザールとクラブ」という比喩が紹介されていました。番組テキストから一部を引用します。
バザールとクラブは「別々に分かれていなければならない」。
X(旧Twitter)はプライベートアカウント(鍵アカ)があるため、比較的「クラブ」が存在しやすい環境でした。しかし、Blueskyはほとんどすべての行動が公開される場所であるため、「分かれて」いない状態といえそうです。
SNSでなにか書いたりするときには、それが「バザール」(公共空間)での発言として受け取られる前提で書くべきでしょう。たとえクラブで話しているつもりでも、「発言は私的なものです」とプロフィール欄に書いていたとしても、公開されたことばは開かれているものとして受け取られる。
その一方で、今度はSNS上に書かれたものを読むときは、それは知らない人の「クラブ」(私的空間)での会話がたまたま耳に入っただけであり、自分に直接向けられているわけではないと認識するのが大切なのではないかと思います。他の人にとって「安心できる」場所を守ってあげることで、自分にとってもSNSを「クラブ」として利用しやすくなるのではないでしょうか。
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話が長くなってしまいました。
記事の前半では、「リスト」や「モデレーションリスト」、「ミュート」や「ブロック」についてのあまり知られていないかもしれない情報を整理しました。
最後の部分では、Blueskyというウェブサービスをどのような前提としたうえで、どう付き合っていくのがよいのか、わたしの考えていることの一部を書きました。
Blueskyができるだけ多くの人にとって、できるだけ楽しい場所になるといいと思っています。