自然、生物愛好家ほど、気候変動にもっと危機感を持ち、声を上げてほしい理由ーなぜ私は気候危機に取り組むのか。vol-12
みなさん。こんにちは。FFFのすずかです。
今回は生物と自然をこよなく愛する私が、「生物多様性×自分(みなさん)」「生物多様性×エネルギー問題」の2本立てで、書いていこうと思います。
注:自然が嫌いでも、活動家が嫌いでも、みなさんには気候危機に声は上げていただきたいので、ぜひ下の記事も読んでいただければと思います。FFFにはいろんなバックグラウンドを持っている人がいて、とても面白いですよ。
簡単に自己紹介させてください...
本題に入る前に、自己紹介させてください。(すぐに終わらせます。)
私は2019年の8月からFFF Nagoyaでマーチを企画参加したのが、始まりでした。高校3年の受験期真っただ中のころでした。
(写真:2019年9月25日グローバル気候マーチ出発前の様子。私は左下)
その前までは、「農業と生物保全の両立を考えるプロジェクト」に参加したり、大学の教授と外来生物の分布を調査したり等、いわゆる生物多様性保全を行っていました。今もFFF以外の団体にも所属して、取り組んでいます。
私がどれだけ生物と自然が好きかというと、受験期に、学校隣の動物園年パスを購入し、放課後に週2回以上は訪れるほどです。父からは怒りを通り越して、呆れられていましたね(苦笑い)。また、特に海が大好きで、「タカラガイ」という種類の貝を集めてます。ということもあり、昨年鹿児島大学水産学部に進学しました。
(写真:見渡す限りの田園風景は名古屋に住んでいた私には癒し)
ちなみにこの記事も、水族館の「黒潮の海」の端のベンチでひっそり書いてたりします。
私が気候変動に取り組むようになった経緯を知りたい方は有料ですが、高校生の時に書いた記事から読めます。第1回のnoteを書いてくれた、いさおも一緒に書いてます。(二人とも若すぎる!(笑))ぜひ読んでみてくださいね。
さて、お待たせしました。本題に入りましょう。
「生物多様性×自分(みなさん)」
最初に断言しておきますが、みなさんは自然と隣り合わせであり、「関わりあってない人は、決していない。」と断言しておきます。それはみなさんが自然が好きでも嫌いでも、別に興味がなくても、です。
この概念は「生態系サービス」で説明できると思います。今回は「生態系サービス」の説明は割愛します。下の環境省のサイトから大まかな内容を知ることができるので、気になる方は参考までにのぞいてみてください。
さて、みなさんの「生態系と気候変動とヒト」のつながり、をどのようにとらえているのか、少しだけ考察したいと思います。
★シチュエーション1★一方通行の影響
今から説明するのは、いわゆる「気候変動って、ホッキョクグマが絶滅の危機に瀕しているあれでしょ?」っていうやつです。
私たちの人為的行動が生態系に影響を与え、その一つ問題の原因に「気候変動」が含まれている。
「あぁ。なんて、生物たちはかわいそうなんだ。」と、私たちが当事者である視点が、全くもって抜けています。愛好家さんたちに多い感じがします(全員ではありません)。
(オレンジ矢印は他者に及ぼす影響、紫矢印はダメージを受ける方向を表しています。矢印の「大きさ」は、その影響の大きさの程度、ダメージの大きさを表しています。)
簡単にまとめると、上の図です。
(オレンジ矢印は他者に及ぼす影響、紫矢印はダメージを受ける方向を表しています)
「人為的行動が問題を引き起こし、それと同様レベルの影響がに生物に及ぼす」という考え方です。ここでのポイントは、与えるダメージと、生物が受けるダメージが同等もしくはそれ以上であるということです。
そこで、次に気候変動などの問題に、当事者という視点が加わるとどうなるかを考えます。
★シチュエーション2★社会問題は私たちの問題!
これは、いわゆる「活動家」といわれる人たち(私の偏見)が訴えるときの図なのかなと考えてます。
活動家にもいろいろなことをする人はいますが、その一つ一つの問題に、当事者意識が追加されることが特徴的です。
(オレンジ矢印は他者に及ぼす影響、紫矢印はダメージを受ける方向を表しています。矢印の「大きさ」は、その影響の大きさの程度、ダメージの大きさを表しています。)
「自分事」ととらえるあまり、周りの影響を過小評価しています。だからこそ、ダメージを受ける(紫矢印)当事者は「自分」とは切り離してしまっています。ここで発生するのが、後程記述する「生物多様性×エネルギー問題」等のメガソーラー設置問題等の課題につながってしまうのではと感じてしまいます。
では、私たち「ヒト」は、気候変動と生物多様性をどのようにとらえればいいのでしょう?
★シチュエーション3★
全てはひとつで、気候変動と相互的影響
上記2つのシチュエーションとは全く図が出てきましたが、私はこのように考えるべきだと常々感じています。
(オレンジ矢印は他者に及ぼす影響、紫矢印はダメージを受ける方向を表しています。矢印の「大きさ」は、その影響の大きさの程度、ダメージの大きさを表しています。)
ここでのポイントは3つです。
①私たちは自然と隣り合わせである(隣り合わせでないヒトなどいない)
②他者へ与える影響(オレンジ矢印)が大きいほど、自分を含めた全ての生物にダメージ(紫矢印)が与えられる
③気候変動は全ての問題と密接に関わり、その問題を増大させる
(今回は「自分から見た」という視点にしたかったので人が中心ですが、本来人を中心にするのはどうかなー。とは思いますが…)
私たちヒトは、生物の恩恵を享受している以上、自分事にも、生物を含めた他者にもとらえる必要があるのです。また、気候変動はそのダメージを全てに引き起こす大きすぎる問題なのです。
だから私は、気候変動問題を真剣にとらえ、生物多様性保全と平行に、気候変動問題に取り組んでいるのです。
「生物多様性×エネルギー問題」
よく、生物界隈で盛り上がるのは「再生エネルギー設置と生態系破壊」ですよね。
このニュースも、大いに盛り上がりました。
それはおいといて、一つここで注意しなければいけないことを言及しておきます。
この題名も「生物多様性×気候変動」ではなく、「生物多様性×エネルギー問題」にしたのには理由があります。
生物好きな人は「気候変動は解決しなければいけない問題だ」という認識はもちつつも、再生エネとなると「自然破壊ありき」のように感じ、リジェクトしているように感じるからです。またここから、「再生可能エネルギー=気候変動」というでより、話がややこしくなります。
気候変動は解決したいのに、気候変動解決は自然を破壊する。
ああああああ...。ややこしい。なにこれ?(笑)
さてここで今一度、気候変動がどれだけ生物多様性に影響を与えるのか、簡単に見ていきます。
ohashiほか(2019)「生物多様性保全と温暖化対策は両立できる-生物多様性の損失は気候安定化の努力で抑えられる-」 http://www.nies.go.jp/whatsnew/20191203/20191203.html (2021/1/20閲覧)
「上の図は、温暖化対策『あり』(上)と『なし』(下)それぞれのケースについて、5種類の社会経済シナリオのもとで予測した2070年代の生物分類群ごとの潜在生息域の変化割合(%)。変化の要因の寄与度を色分けして示しました(土地改変、気候変動、2つの要因の相乗効果)。」
上の表を見てみてもわかりますが、やはり気候変動は幅広い種の生息域に、将来悪影響を与えることは事実ですよね。またそれぞれの表の最後に属する「化石燃料依存」を見ても、対策が「あり」と「なし」とでは違いがあり、やはり生態系の破壊をある程度止めるためにも、エネルギー転換は必要であることがわかります。
最初に戻ると、「生物多様性×気候変動」ではなく、「生物多様性×エネルギー問題」にした理由は、エネルギー問題を解決しなければ、気候変動も進み、結局、生物多様性に土地改変以上に影響を大きく及ぼすということことが明らかだからです。
もちろん私も、森林を大きく破壊し、設置するメガソーラーなど言語道断だと考え、声を上げていきます。大きな犠牲を前提にした建設は、気候正義にも反すると感じます。自然は一度失うと、保全や再生を行ったとしても、元に戻ることはありません。また生物が絶滅してしまったら、なおさら不可逆的です。
しかしだからこそ、みなさんは「再エネ」に対し、すべて否定するのではなく、ぜひ提案をしていただきたいのです。
例えば、最初に取り上げた小泉大臣の国立公園の再エネ設置緩和も、適切なゾーニングや正しい環境アセスメントを念頭に置くなど、提案できることはたくさんあります。実質、この行程は生物多様性保全には大事なことですし、まだまだ不十分な点はたくさんあります。
みなさんだから考え、声をあげることができるのではないでしょうか?いや、できます。
最後に...。-愛好家と活動家と自分-
(写真:2019年10月に出会ったFFFTokyoのメンバーとともに、ここがFFFJapanの原点)
長々と、ヒトと生物多様性と気候変動とエネルギー問題を書いてきましたが、現状はもっと複雑です。だからこそ、いろんな分野に興味を持ち、または各分野で頑張っている人、全ての人が声を上げ、この気候変動問題を解決する必要があると考えています。
私は活動家になりたくて、なったわけではありません。いつの間にか、活動家になってしまっていたのです。(実際は、周囲から「活動家」と呼ばれるようになった。)しかし、危機的状況を少しでも感じている人は、活動家でなくても声を上げるべきだと思っています。
みなさんは、気候変動という問題に、間接的でも真摯に向き合っているはずです。
だからこそ、「生物、自然愛好家の皆さんにも声を上げ、すべての生物、ヒトを守っていくためにも、現状を変えていきたい。」、そんな思いで、私はこれからも活動をし続けます。
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