進捗　4回目

調子が悪く、カウンセリングを追加したかったが仕事の調整がつかなかった。そのため休日に、心理士の先生が個人で開いているカウンセリングルームへ行き、ニューロフィードバックを受けた。4回目のカウンセリングだった。
ニューロフィードバックとは機械で脳波を測定しながら修正していく治療だ。正直に言って全く信用していなかったし、こんなことで良くなるわけがないのに、言われるまま遠くまで受けに来て馬鹿みたいだと思い悲しくすらなっていた。
けれど終わってみると眠気と倦怠感があるものの、頭はすっきりとしていて驚いた。
私は常々、頭の中で様々な考えが巡ってうるさく、思考や意志のまとまった感覚がない。数年に数回だけ、頭と身体が繋がり、自分の意志が真っすぐ感じられ、すっきりした感覚になることがある。その状態こそが健全というものなのだろうとぼんやり思っている。
ニューロを受けて得られたのが、その頭と身体が繋がった感覚だった。こんなに簡単にすっきりするのかと本当に驚いた。
疲れたものの頭は元気だったので、そのまま欲しかった服を買い、病院で睡眠薬を貰って帰った。その日は睡眠薬を飲まずに気持ちよく眠れた。
初回の効果はだいたい3日と聞いていたが、本当に3日ほど頭がすっきりしていて、もはや3日おきに受けたいと切に願っている。
通っている心療内科の医者は信じられないほど酷いので、近々地元の病院へ連絡し、先生に紹介状を再度貰おうと思う。

施術前の問診票に書いたことが基本的に不眠の症状で、過覚醒だから不眠なのだと言われた。寝つきが昔から酷く悪いことにとても強いストレスを感じていたことすら、睡眠薬を処方してもらって初めて気が付いたことだった。
もしかすると気が付いていない身体症状が他にもあるのかもしれない。
次回は90分、自我状態療法を受けることになっている。
正直なところ自我状態療法を受けて効果を得られるほど、身体の調子を調整できていないと思われる。失敗してもあまり気落ちせず、また地道にBCTなど行っていきたいと思うものの、きっと落ち込むだろう。

健全な人たちが羨ましい、妬ましい、憎い、ずるい。上から目線で私を弱い、暗い、考えすぎ、行動すればいいと詰るのならその幸運や幸福を分けてくれ。どこにも逃げ場がない経験も、自分を脅かされる経験もしていないくせに。強さとはただの幸運であり、自分の強さを上回るような理不尽が襲ってこなかったというだけだ。ずるい。私もそんなふうに笑って穏やかに生きたかった。
という、黒く深く、取り返しのつかない汚さの、どうにもならない気持ちがずっとある。
初回にはTFTでこの気持ちを処理してもらったものの、まったく効果がなかった。TFTは軽いから揺り戻しがある人もいるし、揺り戻しのある人は気持ちをまだ手放すまいとしている部分があったりするんだよねとのことだった。
帰り道で考えて思い当たったが、この妬ましさこそがリソースになっていると思われる。
私は他人の結果だけを見て羨んでいるし、誰にだってトラウマはあり、辛い経験はある、逆に私にだって喜ばしい経験があった。そう頭で理解しているものの、なかなか意識レベルでは理解できないため、ずるいずるいと繰り返してしまう。
ずるくて妬ましいからこそ、自分もそうなりたいと必死で願って、ここまでやってこれたような気がする。


初回のカウンセリングで、私はトラウマを抱えた人の中では健全なほうだから、治療に値するんだろうかと先生に質問した。すると、
あなたは物凄い努力で適応して社会生活を送れてしまっている。健全というのは綱引きのようなもので、あなたは健全と不健全の間をとても強い力で綱引きしている。健全に持って行く力が凄く強いけれど、マイナスへ持っていかれる力も凄く強い。ゆるい綱引きをやっている人はいい。心配いらない。だけどあなたは、ずっと強い力で綱引きをしているから、もう綱が切れそうだ。
と、言われた。

私は基本的には愛着障害で、その上に慢性的な様々なストレスと性被害、さらに単回性の性被害やパワーハラスメントや持病のトラウマが乗っかっているだろうと思われる。書いただけで回復が困難そうで辟易する。
最近はフラッシュバックの酷さが増してその場で凍り付くようになった。私は基本的に戦う反応が出てくるので、凍り付く神経があったのだなあと思っている。しかし、本当にしんどい。死にたくなるくらいに辛い。
トラウマの本を読んで必死に耐えているが、フラッシュバックしている間はもちろん文字など読めない。
私のリソースといえば頭を使ったり文字を読んだりすることで、感覚的なものがあまりない。感覚を使うべきだと思い至り、10年ぶりに連絡を取った人に何か好きなものについて5分ほど喋った録音をくれないかと言ったところ、20分も貰えた。それを聞いたらほっとして薬なしで眠れた。しかし他人に頼るのはよくない。自立とは言えない。私の回復につき合わせるわけにもいかない。何か他によいリソースを増やさなければならない。

自我状態療法がうまく噛み合うと嬉しいのだが。あまり期待しない。