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【企画】忘れられない外国人のあのひと-「授業がつまらない」と言ってくれた人-
大学4年生のとき、日本語学校でインターンをしていて
新しいクラスにシフト変更があったときだった。
週1で教え始めて、やっと3ヶ月たったくだらいだった。
週1回の3ヶ月はそんなに回数もない。
まだまだ、不安を抱えながら教壇に立っていた。
それまでの3ヶ月はちょっとヤンチャであんまり勉強をしないクラスだった。そこから急に勉強ができるクラスに変わった。
「どうやって授業をしよう。」
「どんな授業がいいのか。」
「私の授業って良い授業なのか。」 毎日悩んでいた。
そんなある日、
「先生の授業はつまらない。」とある学生に言われた。
その学生はクラスの中でも、できる学生。
その学生は不安そうな私を見抜いていたんだと思う。
他の学生は「先生に失礼なこと言っちゃダメだよ!」とか
「あやまりなよ!」とか言っていましたが、
何も失礼なことではなかったのです。
逆に私が学生に対して失礼なことをしていたんだ。
ショックも大きかったですが、ここは腹をくくるしかないと思って
「ありがとう。具体的に何がつまらない?」と聞きました。
こんな会話ができたのも、ショックが一回りして、冷静になっていたからかもしれない。
学生は、「単調すぎる」「漢字の練習をもっとしてもいいと思う。」「練習問題が簡単すぎる」など教えてくれた。
1番心に残っているのは、「もっと先生の話を聞きたいから、文法の例文は先生がよく使う内容がいい。」ということ。
「先生の話はおもしろい。だから、授業でも同じようにしてほしい。授業だからって、いきなり先生にならなくてもいいと思う。」
クラスみんなが「そう思う。」と言っていました。
まだ学生だったし、何がいい先生で何がいい授業なのかもまだまだわからない時期でした。学生との関係性もどうしていけばいいのかもわからなかった。
他の先生からすると、「なんだこの学生は!」と思うかもしれない。
でも、学生の本音であり、つまらない授業にお金を払っているのは学生だし、そんなつまらない授業にお金を払いたくないと私も思う。
つまらない授業をしている先生が悪いのだから。
それを気づかせてくれた学生にありがとうと今でも思う。
あのとき、しっかり「つまらない」と言ってくれたから、
わたしも授業を見直そうと思ったし、自分と学生との関係をどうするのかを考えるきっかけになった。
1年後
そのクラスの学生たちは先輩になり、受験シーズンに突入した。
そのとき、私は専任1年目。
「つまらない」と言われたときよりもがむしゃらに頑張っていた。
卒業間近の2月。
後輩たちに、受験体験記を各クラスで話すときに私が持っていたクラスに
「つまらない」と言ってくれた学生たちがきた。
授業の関係で、体験記を聞く時間ギリギリまで授業をしていた。
その様子を見ていた、その学生たち。
体験記の話終えて、後輩たちも帰ってから、私と話をしたいと言われた。
なんだろうなーと思いながら、クラスに残っていると・・・
『先生、今、授業たのしい?』と質問が出た。
「うん、楽しいよ。すごく楽しい!」と答えた。
「去年より先生の授業楽しそうに思った!先生が1番楽しそうに授業してたから!よかった!」
「つまらない」と言われたときは、涙なんてでなかった。
でも、このときは学生の前で泣いてしまった。
うれしかった。
いろんな先生に「先生の授業は大丈夫ね。」と言われるよりも
学生に「よかった。」と言われるほうが、心にも響いて、
すごくうれしかった。
卒業式では、そのクラスの学生と「おめでとう」「ありがとう」と本音で言い合えた気がする。
「つまらない」と直接私に言った学生は、「あのときはごめんね?」と謝ってきた。
言った本人も後々言わなきゃよかったと後悔していたと。
でも、言ってくれなきゃ私は変われなかった。
「私からはありがとう。」ともう一度伝えました。
今では、飲みに誘ってくれる仲です!
お互いに「あのときはね〜」と酒のつまみになっています(笑)
私が誰にも話したことのない話でした。
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