新たな武器!クロスレシオを使いこなせ!
ある日、ある我が家。なにやら小箱が配達された。もりもりと開封していくと……。
つやつやのヨーヨーだ!とてもかわいい!
先日、家族が少し早めのお誕生日プレゼントとして注文してくれたのだ。
先ほどちょっと白々しいリアクションをかましたが、最終的には私が選んだ。いくつか候補を挙げて、似合いそうなものや好ましいデザインのものを家族に絞り込んでいただき、この「SUS 003 トランスミッション クロスレシオ」に辿り着いた。最終選考は「ワルツ」という機種のダークパープルとこの子の2択であった。ワルツの単色も本当に好みなので、ひっくり返りそうなほど悩んだ。
バイメタル機種と分類されるこのヨーヨーは、ちょっと二度見するような価格なので、遠慮ゴコロがじつに頭を揺さぶったが、せっかく贈ってくれるというので、人に甘える練習としてもお願いすることとした。
何より、身内が選び贈ってくれたもので精進ができるなんて。これほど嬉しいことはない。私はどうもそういうことを夢見るようで、ポケモンを遊ぶ際にも、似たようなことを考えて交換してもらったこともある。
さっそく開封やセッティングを進めていく。ご多分に漏れず、薄いプラスチックを折り畳んだ箱に収まっているのでパカリと開き、本体と付属の紐を取り出す。
入っていた紐はこころなしか細く見える。
これまで迎えたメタルヨーヨーはC3ヨーヨーデザイン製の子が多いから、サス ヨーヨーメカニクス製のこの子は使う紐のブランドや選考基準とかが違うのかもしれない。普段使ってるSGHGのまとめ買いしたストリングより光沢があるかも?
これを取り付けて長さやフィンガーホールを整えればすぐに遊べる!……と言いたいが、ベアリングを保護するためにもオイルを注そう。
捻ってボディを開こうとするが、ずいぶん固い。作りが強固なのか何か詰まっているのか。みっちりした感触を好む私には好ましいので頑張って開く。するとポロリと何かこぼれる。ボディ同士を繋ぐ為の螺子軸が外れて落下したようだ。アクセルと言ったか。とても大切なパーツなので、きちんと締め直す。ヨーヨーファクトリー製のマルチツールが頑張っている。
気を取り直してオイルを注入。ベアリングはボディにがっちり嵌りこんで張り付いている。オイルを注入する前はとんでもなく回るのだが、そのぶん寿命もとんでもなく減るらしいので程々にストリングトリック用オイルを垂らす。リワインド店のセット商品がとても活躍している。
しばらくベアリングを回して馴染ませて、あとは元通りに組み立てて、付属の紐の輪を広げて、装着!組み立てる前に着けてしまうと何かと事故の元らしいので、ボディを通せるよう頑張って紐をねじった。やはり細く、ほやほやしている。柔らかいぶんバインドがかかりやすいのだろうか?
いざ握り締めてみると、思ったより幅が広い。
ワイドかつローサイズを目指したそうで、直径こそ小さいが、幅はクラウンよりも広い。ちょっと平たいリムが張り出して、手のひらの上でどしりと構えている。意外と貫禄がある。
準備万端いざスロー!と振り下ろした瞬間、猛烈な違いが流れ込んできた。心の整理が追い付かず、まさに衝撃と言うべき心持ちだった。
まず、細いストリングのせいか、何か張りのようなものがある。細い細い繋がりの先に、密度のある存在が、猛っている。そんな印象を受けた。
投げ出しでブレるという評判も聞いたが、スーパーシンチレーターで馴れたのか、むしろ突撃するかのように真っ直ぐだ。
横に振り、ストリングに乗せてみる。まるでボディが紐を避け、ベアリングに直接吸い込まれたかのようなマウントの心地良さ!思うまま飛び回り、ストリングの上を駆け回りそうなそのパワーに、私はすっかり酔っていた。
ついでに音も違う。クラウンの涼し気なころころとした音でもなく、スーパーシンチレーターのせわしげなカラカラとした音でもない。甲高いシュルシュルとした回転音を立てている。ベアリングの違いだろうか?それともボディ形状による摩擦や反響の差なのだろうか?とても勇ましく感じた。
すっかりはしゃいだ翌日、あの感動をもういちど……と手にした時、違和感に気付いた。
「なんか、重くないか……?」
最初は、これがパワータイプというものか……と納得していたのだが、どうもそれだけではないらしい。
この小さなトランスミッション、我が家で最大の体躯を誇るスーパーシンチレーターよりも重量が上!しかも小さいぶん密度も上!それは重く感じるのも当然であった。
この重さと密度、そしてパワー抜群のボディ設計。それらが合わさって手を引く事によって、想像を越える「重さ」が生まれていたというわけである。
はじめはこの感覚に戸惑いを覚えていたが、私はもともと、布団と武器は困らない程度に重い方が良い!と考えるタチなので、むしろ良い出会いだったのかもしれない。
吊り上がる口角を抑えもせず、事前に練習していたリスト・マウントを試してみる。紐の輪の中を、泳ぐように潜り抜け、滑らかなトラピーズに帰ってくる。
ならばと、手順だけ覚えたキャンディ・レインも挑んでみる。何度も乗り間違えをするが、1週ぶんまでは辿り着く。楽しい。
そんな調子であれこれ試したくなるので、ジャーブルやシーシックなど、何かできそうな気はするけど全然できないなぁ……といったトリックもどんどん試し、気付いたら一方前進している。高い下駄を履くと景色が変わるわけか……。
そんな調子ですっかり満喫してしまった。家族にも改めてお礼を言ってしまった。本当に気持ちの良いヨーヨーだった。これからもどんどん使いたいと思う。
しかも、ステンレスのリムが張り出した構造なので、時々キャッチや指が当たる瞬間に、リーン……と良い音が響く。チタン製などは凄い音らしいが、なるほどバイメタルやステンレスも侮れない。
個人的には最高の相棒を得た気持ちである。もちろん、モノメタルかつ軽やか系のクラウン、大柄で視認性も良いスーパーシンチレーターにも強みはある。だが、それらで良いな?とは、思わない抜群な個性を叩き付けていただいた。
ただ、ふたつ困っている。
ひとつは、アンダーサイズの可愛さを活かして、お出かけの際にも連れ回したかったのだが……価格、大切さ、お気に入り度合いの都合で、とてもそんな事はできないという点。とりあえずは手触り最強のメタルウィングをまた連れ回す事にした。彼も大事ではあるのだが。
もうひとつは、肝心の私がまだまだ未熟な点。メンテナンスの不備などは、そのまま寿命の激減に繋がるのでしっかり気を配りたいし、何より彼のパワーが活きるほど幅広い技を持っていない。
スーパーシンチレーターの時にも思っていたが、性能におんぶされるだけでなく、技術×パワーでスーパーパワーになれるくらい、私のヨーヨーぢからも上げていきたいところである。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?