道路標識を改善しよう!
こんにちは、二代目貞子です。
貞子は通勤や休日に遊びに行くのにもっぱら車を使っています。
今では運転が当たり前になっている私ですが、
免許をとるために教習所に通っていたころは実技に並んで筆記にも苦労させられた思い出があります。
特に道路標識は似たようなものが多くて大変だった記憶があります。
でも、これって本当に運転する側の問題でしょうか?
誰が見ても色や形、その意味を理解しやすいのがデザインで大事なことだと私は思います。
というわけで道路標識初心者代表として先入観のない方をお呼びして一緒に話し合ってみました。
(今回の記事は標識の名前を隠してあるから、免許を取りたい人の勉強にもなります。)
登場人物
二代目貞子……月一でブログを書いている。車は燃費で選ぶ。
とらさん……貞子のSNSの知人。道路標識について知らない。無免許。
車は小回りで選ぶ。
貞子:今日は道路標識初心者代表としてブログに出ていただいてありがとうございます。
とらさん:いえいえ
貞子:私、道路標識って免許の有無に関わらず、誰でも意味が分かるものにしたいと思ったんです。
とらさん:はい。
貞子:なので、まず標識の意味を先入観なく見れる人と一緒に代表的な標識を再確認して、意味が分かりにくいものを改善……とまではいかなくとも
・この標識ってこう見えるよねってことを世間に知らしめて
・既存のデザインの問題点を炙り出したいなと思いまして
とらさんをお呼びしました。
貞子:まず道路標識には大きく分けて
案内標識(地名が書かれてるやつ)
警戒標識(黄色いやつ)
規制標識(赤いやつ)
指示標識(青いやつ)
補助標識(白いやつ)
があります。
案内標識はいわゆる行き先が書かれたやつです
こんなの。
とらさん:あーなるほどなるほど。
貞子:で、さすがに意味が分かると思うので、これ以外の標識を見ていきたいと思います。
案内標識を除いた4つ標識ジャンルの中からそれぞれ最も意味が分からない・元の意味と予想がかけ離れた「ベストオブわからん標識」を選んでいきたいと思います。
警戒標識編
貞子:まずこの一覧をご覧ください。
貞子:上から一つずつ意味を確認していきましょう。
~7分後~
ここで答え合わせです
(解説が見にくいので大き目の画像にしてあります。)
貞子:この中で一番意味が分からないやつってなんでしたか?
とらさん:わかんない&なんとかしたほうがいいのは……「ニ方向交通」かな。
一方通行の道から対面通行の道に出た場合にここから二方向だよの意である。
主に高速道路などで二車線だが片方は向こうから車が来る車線の時に設置されている。
貞子:とらさん、これのこと「上下(うえした)」とか呼んだり、意味聞いても「パス。」って言ってましたもんね。
とら:わかんないし、これ大事じゃない?
貞子:そうですね。わかりました。私が何とかします。
とらさん:可及的速やかに何とかしてください。
――ツッコミ不在の二人の無駄な真面目さと正義感により、
ここで貞子が二方向交通の標識を改善することになりました。
規制標識編
貞子:次は規制標識です。こっちのほうが種類多いし、わかりづらいかもしれないです。個人的にはthe 標識って感じがするのがこれの類ですね。
貞子:意味を確認していきましょう。
~10分後~
貞子:この中でわからないのってどれですか?
ちなみに私が見てて思ったのは「一方通行」です。
とらさん:でも、これは一回教えてもらったらわかるんじゃないかな?
貞子:と思うじゃないですか。これには実は罠がありまして……。
こちらをご覧ください。
とらさん:上は一方通行。下は……?
貞子:そう。わからないでしょう。これ、「左折可」です。
とらさん:最悪。これは危ないよ。
貞子:だいたい一方通行は向こうから車が来て「パッパー!」って
クラクションを鳴らされてから気づくんですけどね。
でも、後続車がいると下がることもできないので、正直「鳴らされても……。」と思ってます。
とらさん:じゃあ、絶対間違えない最強の一方通行を作ってください。
貞子:(自信なさげに)わかりました。
指示標識編
貞子:さあ、ここまで来たら残りあと少しですよ。
この中でとらさん的にわからないのってどれですか?
とらさん:これ(上から二段目、中央)と
これ(下から二段目、右)
かなあ。
貞子:それぞれ、「優先道路」と「安全地帯」ですね。
でも、一番わかりにくいのはどっちですか?
(1つにしてくれないと私が困る)
とらさん:じゃあ、「安全地帯」かなあ。
※安全地帯とは道路を渡る歩行者の安全確保のため、大通りなどに設けられている島状の場所。
だけど、安全地帯ってだいたい安全じゃないとこにあるよね。
貞子:怖いですよね。あそこ。ちょっとふらーっと出したら
ペンッッッて頭ぶつかりますよ。
とらさん:そもそも、なんでこのデザインなんだろう。
貞子:調べてみます。
……わかりませんでした。
とらさん:じゃあ、安全地帯をなんとかしてください。
貞子:わかりました頑張ります。(デザイナーでもなんでもないけど。)
~おまけ~
補助標識編
貞子:最初に説明した通り、道路標識って案内標識を除くと4種類なんですけど最後の補助標識はおまけにしようかと思いまして……。
とらさん:なんで?
貞子:難しいのと、簡単なのものの差が激しいので……。
だってほら、わかりますよね?
とらさん:あー確かに、他の標識と組み合わせて使うんだねこれ。
でも、この赤矢印がわかんない。
貞子:始まりと終わりと区間内の意味らしいですよ。
とらさん:でも、このナナメのは「方向」なんだ。
「始点」「終点」もあるのに、同じ意味の標識があるんだ。
まあ、文字が読めない人はそのほうがいいこともあるか……。
始まり・終わり・区間内の矢印はやめるか、新デザインを採用してほしい。
さっきの一方通行の時も思ったけど、矢印はわかりづらい!
貞子:わかりました。
私がなんとかします。
納品
インタビューから数日後
貞子:お待たせしてすみません。できましたよ。とらさん。
とらさん:?
貞子:新しい交通標識ですよ。忘れないでください。
二方向通行
貞子:二方向通行なんですけど、
本来の標識ってなぜか視点が上からなんですよね。
それが分かりづらい原因思ったので、視点を変えてみました。
それがこちら。
貞子:おわかりだろうか……。
男女はいつの時代もすれ違うもの……。盛者必衰並みに世の常、人の常。
なのでこのデザインにしてみました。
あと、一応他のパターンも作ってみました。
貞子:いかがですか?
とらさん:……。
貞子:え、ご存じない?
すれ違いと言えばあれですよ。
貞子:アンジャッシュです。
すれ違いコントの。
とらさん:そのキャッチフレーズは?
貞子:やだなー。エンタの神様で出てくるときに呼ばれるやつですよ。
とらさん:ちょっと古いんだよなあ。
一方通行
貞子:続いて一方通行の新デザインの発表です。
まず、プロトタイプをどうぞ。
わかりますか?これのモチーフ。
そう、心臓ですね。
貞子:でも、これだとわかりにくいかと思いまして、少し大事なところにクローズアップしてみました。
それがこちら。
貞子:心臓の弁に注目してみました。
ここで完成でもよかったのですが、私の中の職人魂が未完成だと告げていたので、他の標識を観察してデザインの法則に従って推敲した結果がこちら。
貞子:ガッテンいただけたでしょうか?
とらさん:ガッテンガッテンガッテン
貞子:ありがとうございます。
安全地帯
貞子:私は標識を改善するにあたって安全地帯ってそもそも名前がよくないと思いました。
私の中のお客様の声
・安全だからなんなんだ
・誰のための場所なんだ
・何をする場所なんだ
ちょっとニーズが宙船っぽくなってしまいましたが、割と意見自体は的を射てると思ったので、
「歩行者休憩区域」と改名することにしました。
また、デザインについてですが、急にデザインが変わると混乱する人もいるかもしれないので、今まで使われていた旧デザインを活かしたものにしてみました。
それがこちら。
貞子:長い横断歩道で疲れた高齢者が、旧安全地帯のマークに座って休む図です。
安全地帯は異様に狭いのに、実際何も座るところがありません。倒れて車に轢かれたりしないように、希望として標識の中に椅子を設置してみました。地方公共団体や都道府県の皆さん、これに倣って安地にベンチを設置してみてはいかがでしょうか。
とらさん:さらっと最後安全地帯を略してるね。韻も踏んでるし。
始まり・区間内・終わり
貞子:最後に赤い矢印でおなじみ、始まり・区間内・終わりの新デザインを考えてみました。
まずは先ほどと同じく既存のデザインを活かしたこれなんてどうでしょう。
貞子:モチーフはウィリアムテルに射抜かれたリンゴです。
※スイス建国にまつわる伝説の英雄。 14世紀の初めにオーストリアの悪代官に捕まり、放免の賭けとして自分の子供の頭の上に置かれたリンゴをクロスボウで撃ち落とす話が有名。
ストーリーを知らなくても漫画のような絵に見立ててもらえれば字が読めない人にも伝わるかと。
これで満足されなかった時のために別パターンにしてみました。
貞子:ちょっと抽象的にしてみました。
各図形の頂点の数が増えるごとに区間の始まりから終わりになるようになっています。
とらさん:そんなクイズみたいな……。
まあ、法則性を覚えれば旧デザインよりはわかりやすいか……。
でもやっぱり、これクイズだよな。
貞子:今回、道路標識を再確認してみて意外と初心者でもわかるんだなと思いました。それだけデザイナーによって案が練られているってことですね。
また、ここに載っている標識の派生形としてご当地にしかない標識も山ほどあるみたい。
珍しい標識を狙って遠出する人の気持ち、ちょっとわかるなと思いました。
みんなも交通ルールを守っていこうね!
終わり