秋を感じたい、という話 / 2作目「救助すべき者」が始まります。
こんにちは。味生大昂です。
少しずつ秋らしくなってきましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?
僕はずっとひきこもり気味なので、季節感をどこで感じたらいいのか模索しているところです。コロナ禍前、知人の親切な方が松茸をご馳走してくれたことがあったのですが、これだけの時間が経っても「あれは美味しかった」と唾液調味で思い出と味が蘇ってきます。あそこまで衝撃を受けると、秋らしさの模索というテーマを突破して、「人生とは」みたいなことまで考えだしたくなります。誰しも自分の人生のなかで特等席をもった記憶があると思いますが、僕の中ではあの松茸はなかなか凄い席に座っています。
あれから時間が経って、そんなワガママはもう求めませんから、なにかもっと自然に風情のある経験がしたいとも思っています。茄子をめんつゆで食べるとか……。
ファッションとか秋の花の名前とか、季節感を育むものを探さなければいけない。というのは、僕の課題の一つです。窓の外の樹々を見ても、名前さえわからないのは、やっぱり小説を書く人間としてどうなのかなと思うところがあります。少しずつ、勉強の日々ですね。
ところで、おおさきFM・OCR835「音の図書室」ですが、今週の23日をもって「深海のシャンプー」の放送が終了しました。そして今週土曜28日から「救助すべき者」という小説が始まります。
謎めいた白い空間に閉じ込められている女性・ユキ。彼女のいる空間では、ひとりでに絵画が壁から壁へと飛び移り、奇妙なうずまき模様が発生してそこにいるユキを混乱させます。そんな彼女のもとに一本の電話がかかってくるところから物語は始まります。この空間は何処で、ユキはいつから閉じ込められているのか?電話の向こうにいる「レスキュー隊員」とは本当は何者なのか?ユキと「レスキュー隊員」の会話劇から、少しずつ状況は明らかになっていきます。
こんな風に書くと、割とミステリアスな作品のようですが、原作者としてはリラックスして聴いていただけたらなという思いで執筆しました。
「音の図書室」は、毎週土曜21時からはじまる15分間の番組です。再放送は月曜日の22時からになっています。もしもよかったら、お立ち寄りください。