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#073 絶滅危惧種? 記念切手を貼った手書き葉書(上)
「私は年間一千枚の葉書を書きます」と書き、記念切手を貼った葉書を所ジョージさんの番組に送った。
「今の時代に、あえてハガキって面白くない?」と所さんがスタッフにつぶやき、それは面白いと番組スタッフが手書き葉書を募集した。そのことを知って、私は記念切手とワンポイントの絵を貼った、いつものスタイルの葉書に太字の万年筆で冒頭の言葉を書いて所さんへ送った。<こんな時代だからこそ、手書きの手紙や葉書の良さを見直す番組を作りたい>というふうに番組のテーマを解釈し、大いに賛同したのだ。
後日、番組スタッフから、私の葉書を番組のなかで紹介するという連絡がきた。私は、番組スタッフとの間に共有できる価値観があったことを喜んだ。番組のなかで私の葉書がどのように扱われるのかと楽しみにしながらテレビを観た。
番組は、所さんが葉書を紹介しながら、葉書を金帯、黒帯、白帯と評価していくものだった。柔道の帯からの連想らしい。番組スタッフとの事前の打ち合わせはなく、所さんのアドリブで進められているようだった。
何枚目かで私の葉書が登場した。私からの葉書を手にして所さんはこう言った。「なになに、『私は年間一千枚の葉書を書きます』だって? 何なの、これ?? 懸賞にでも書きまくっているのかね。分かんねえなあ。ダメダメ。これは金帯、黒帯、白帯の下の下。”ヒモ”だね」
私の葉書の前までは金帯、黒帯、白帯の3つの評価だったが、新に”ヒモ”が加わってしまった。
所さんは、私の葉書に貼ってあるワンポイントにも、記念切手にも、そして、太字のペン先で書かれた万年筆の文字であることにも気が付かなかった。
一緒にテレビを観ていた家人が「どうして所さんなんかの番組に応募したの?」と聞いてきた。
「ああ、番組のテーマに賛同したからだよ」
「所さんて、どんな人なのか知っているの?」
「知らないよ」
「・・・・・・」
テレビをほとんど観ない私は、所さんがどのような方なのか知らないが、どうやら、大きな勘違いをしていたようだ。
”ヒモ”扱いされた葉書よ、君には何も罪はない。君を待っている人のところへ届けることにしよう。