#094 一輪のポーチュラカから
小さなガラス瓶に一輪のポーチュラカを挿した。花が一輪、蕾が2つあり、5〜6枚の葉がついていた、長さ十数センチの細い茎のポーチュラカだった。
ポーチュラカは夕方になると花はしぼんでしまう。しかし、次の日には再び花びらは開いてくれる。茎を切ってガラス瓶に挿したポーチュラカの花は、1日だけだろうと思ったが、次の日も開いてくれた。それを3日ばかり繰り返すと、さすがに花は弱ってきて、次の日はしぼんだままで花びらは開いてくれなかった。このまま枯れてしまうのかなと思ったら、次の日には隣りの蕾が開いてくれた。その色の鮮やかさ、美しさに言葉を失った。
やがて、その花も開かなくなったら、最後の3つ目の蕾も小さいながら花びらを見せてくれた。生命力の力強さと美しさに感動する瞬間の連続だった。
3つ目の花が開かなくなったので、いよいよ終わりだと思い処分しようとしたら、茎の切り口辺りから発根していた。なんと粘り強いことよ。
それを地に下ろしておいたら新しい蕾を付けて花が咲いた。
新しい茎が出てきて、2つ目、3つ目の花が咲いた。
どんどん新たな茎が出てきて、1か月を過ぎると写真のような大家族となった。直径が1メートルくらいある。
あの1本の細いポーチュラカが、ここまでになるとは夢にも思わなかった。暑くて大変な夏だったが、太陽の光を全身に受けてスクスクと育ったポーチュラカ。その力強さと色の鮮やかさに、度々勇気付けられた夏だった。
秋が深まってゆく。このポーチュラカも枯れる。
それも、また自然の摂理だ。