２０１６年 【武蔵中】国語記述問題 採点基準例
※採点の方法の詳細については、★採点方法の詳細★以降をご覧ください。
【全ての問題で共通のルール】
●文末ミスは１点減点。
●誤字脱字はその都度１点減点。
※ただし、同問題内で同じ漢字や送り仮名等のミスは１点のみ減点する。
●句点なしは１点減点。
問一 １２点満点
【解答例】時間ごとに管理された、自由がない孤児院の時間割。
【採点基準】
１（「時間」の意味合い）
孤児院の時間割／時間ごとに予定を決められた生活／時間に応じて定められた孤児院のおきて …⑥点
２（「檻」のニュアンス）
自由がない／決められた通りにするだけ／しばられている …⑥点
問二 １３点満点 文末は「こと」
【解答例】自分に割り当てられた分しか食べられず、おかわりができないという孤児院の決まりに縛られて、祖母の家でもおかわりできないのかなと思い、弟が困惑していること。
【採点基準】
１（「孤児院の箍を外せない」の言いかえ）
おかわりができないという孤児院の決まりに縛られている／ごはんは自分に割り当てられた分しか食べられないという孤児院のルールから抜け出せずにいる …⑥点
※「おかわりができない／ごはんは自分に割り当てられた分しか食べられない」にあたる、決まりやルールの具体的な内容がない答案は、３点減点。
※「孤児院」と言う言葉がない答案は、１点減点。
２（「困っている」の意味合い）
困惑している／迷っている／戸惑っている …④点
３（２の内容）
祖母の家でもおかわりできないのかなと思う／祖母の家ではおかわりしていいのか（とわからずにいる）／盛切りの流儀は祖母のところでも行われているのか …③点
問三 １３点満点 文末は「から」
【解答例】祖母である自分の家に来たので安心して過ごしていいのに、孫が孤児院での習慣から抜け出せずに気を張っているのを見て切なくなったから。
【採点基準】
１（前提となる祖母の思い）
安心して過ごしてほしい／好きなだけ食べてほしい／気持ちを楽にして良い／お腹が痛くなるほど食べていい …④点
２（「悲しそうな声」になったきっかけ）
孫が孤児院での習慣から抜け出せずにいる／孤児院の流儀が「弟」に染み付いてしまっている …⑥点
※「大きな西瓜を素速く手にしなければならないと思っている」等、具体的な説明のみの答案は、３点減点。
３（「悲しそうな声」につながる気持ち）
切ない／つらい／哀れに思う／かわいそう …③点
※「悲しい」は３の要素が無得点。
問四 １３点満点 文末は「から」
【解答例】孤児院にはない家庭の匂いを嗅いで気持ちも落ち着いてきたことから、祖母の家を自分の部屋らしくすることによって、さらに自分にとって居心地の良いものにしようと思ったから。
【採点基準】
１（きっかけ）
孤児院にはない家庭の匂いを嗅いで気持ちも落ち着いてきた／家庭の匂いを嗅ぐことで祖母の家に来てから初めて安心した気持ちになった …⑤点
※「家庭の匂いを嗅いで／家庭の匂いを嗅ぐことで」にあたる内容がないと、２点減点。
２（「座敷を自分の部屋らしく」する意味）
祖母の家をさらに自分にとって居心地の良いものにしよう／祖母の家を自分の居場所のようにしよう …⑧点
問五 １３点満点 文末は「こと」
【解答例】蛍が現れたことは、これからも祖母の家にいられることに希望を持っている「ぼく」の気持ちを暗示しているが、その蛍が消えたことは、叔父が猛反発していて、もはや祖母の家は自分たちの居場所ではないと知って気持ちが失望に変わったことを暗示している。
【採点基準】
１（「蛍」が現れたことが何を暗示しているか）
これからも祖母の家にいられることに希望を持っている「ぼく」の気持ち／まだ祖母の家に居続けられることを期待する兄 …⑤点
※「これからも祖母の家にいられることに／まだ祖母の家に居続けられることを」にあたる希望や期待の内容にふれていない答案は、２点減点。
２（「蛍」が消えたことが何を暗示しているか）
祖母の家は自分たちの居場所ではないと知って気持ちが失望に変わったこと／孤児院に再び帰らなければならないと思い、兄弟の希望が失われたこと …⑤点
※「祖母の家は自分たちの居場所ではない／孤児院に再び帰らなければならない」にあたる失望の内容にふれていない答案は、２点減点。
※「１の望みが叶わないと知ったことによる落胆」のような書き方もＯＫ。
３（２の背景）
叔父の猛反発／二人との同居に反対する叔父の存在 …③点
問六 １３点満点 文末は「気持ち」
【解答例】自分たちを引き取るためには「ばっちゃ」が慣れない養老院に入らなければならなくなりそうなので、自分たちを守るために「ばっちゃ」に負担がいくならば、自分たちのほうが苦しみを引き受けようと思いやる気持ち。
【採点基準】
１（気持ち）
思いやる／気づかう／かわいそうに思う …④点
２（１の内容）
「ばっちゃ」が慣れない養老院に入らなくてすむように／初めて養老院に入り、「ばっちゃ」が苦しい思いをしないように／不慣れな養老院に入って「ばっちゃ」がつらい思いをすることになるのを考えて …⑤点
※「慣れない／初めて／不慣れな」にあたる養老院についての説明がない答案は、１点減点。
３（養老院に入る目的）
自分たちを引き取るため／孫を守るため／自分たちを養うため …④点
問七 １３点満点 文末は「から」
【解答例】孤児院に戻ってほしいと言うタイミングを考えさせて祖母を苦しめたくなかったので自分たちから祖母の家を出ていこうと考えた。しかし、無言でいなくなることで心配させたくなかったのに加えて、本当のことを書き置いて祖母の心を傷めることもしたくなかったので、家を出ていかなければならなくなった嘘の事情を作り上げることで祖母を思いやったから。
【採点基準】
１（なぜ祖母の家を出て行くことにしたのか）
孤児院に戻ってほしいと言うタイミングを考えさせて祖母を苦しめたくなかった／家を出て行くための言葉を祖母に言わせたくなかった …④点
２（なぜ書き置きをしたのか）
無言でいなくなって祖母を心配させたくなかった／突然いなくなってしまうと祖母を心配させる …④点
３（なぜ事実ではないことを書いたのか）
本当のことを書き置いて祖母の心を傷めることをしたくなかった／叔父の言葉を聞いたことを知らせると祖母に申し訳ない思いをさせることになる …④点
４（１〜３の根底にある祖母への思い）
思いやる／気づかう …①点
★採点方法の詳細★
すべての採点基準の記事の先頭に次の【全ての問題で共通のルール】を載せています。
【全ての問題で共通のルール】
●文末ミスは１点減点。
●誤字脱字はその都度１点減点。
※ただし、同問題内で同じ漢字や送り仮名等のミスは１点のみ減点する。
●句点なしは１点減点。
１つ目の●は、文末ミスについてです。例えば、「気持ちを答えなさい。」と問われているのに記述の最終部分を「から。」や「こと。」にしてしまっている場合には、１点減点してください。
２つ目の●は、誤字脱字についてです。漢字の誤り、送りがなの誤り、かなづかいの誤りのほか、単純に一文字抜けてしまっている等のミスについて、その都度１点減点してください。ただし、※にあるように同じ漢字や送り仮名等のミスは１回のみの減点で構いません。
３つ目の●は、句点の不備についてです。記述の最終部分に句点がない場合には、１点減点してください。
次に、例を挙げながら説明していきます。
【問題例】「のび太くんが目に涙を浮かべてバンザイをしている」とありますが、なぜですか。説明しなさい。（１０点満点）
ここでは、解答例を次のようにします。
【解答例】好意を寄せるしずかちゃんに、バレンタインのチョコをもらえたうえに、自分の優しさを認めてもらえてうれしかったから。
採点基準は、以下の通りとします。
【採点基準】
１（きっかけ）
Ａ しずかちゃんにバレンタインのチョコをもらえた／しずかちゃんが自分を気に入ってくれていることが分かった …②点
Ｂ しずかちゃんに自分の優しさを認めてもらえた／自分の優しいところが好きだとしずかちゃんに言ってもらえた …②点
２（しずかちゃんについての説明） 好意を寄せている／好き …③点
３（気持ち） うれしい／喜ぶ／幸せ …③点
※全体を通して「しずかちゃん」がないと、１点減点。
大きな解答要素は１・２・３の３つで、そのうち１はＡ・Ｂから成るので、実際には１Ａ・１Ｂ・２・３の４つを解答要素として採点していくこととします。
すべての要素に ／ で区切った複数の文言を載せていますが、言い回しが異なるだけで内容は同じであることを示しています。採点する際には他の言い回しでもＯＫなのだということの参考にしてください。
では、子どもの答案を想定して、採点の練習をしてみましょう！
【答案例１】
しずかちゃんからの好意が伝わってきてうれしかったから。
【答案例２】
大好きなチョコを食べられて最高だったこと。
【答案例３】
好きな人からバレンタインのチョコをもらえるなんて夢のようだったから。
順番に見ていきましょう。
【答案例１】は、「しずかちゃんからの好意が伝わってきた」の１Ａ②点＋「うれしかった」の３③点＝５点です。
【答案例２】は、「チョコを食べられる」ことと「チョコをもらえた」ことは意味が違うので１Ａ無得点＋「最高だった」は気持ちではないので３も無得点＝０点です。最後が「こと」になっていて文末ミスもありますが、０点から減点することはできないので０点のままです。
【答案例３】は、「好きな人からバレンタインのチョコをもらえる」の１Ａ②点＋２③点－「しずかちゃん」がないことによる１点減点＝４点です。「夢のようだった」は気持ちとしてカウントできないので、３の得点は与えられません。
以上のような感じで採点してみてください！
子どもたちも一生懸命書いています。目くじらを立てる必要はありませんから、おおよその方向性が合っていれば加点してあげてくださいね。