誰の影響も受けずに、好きになったバンドの曲を聴きながら、旅に出た
「くるり」との出会いは、映画「奇跡」。
観たのは高校生のころ。
当時、私は親元から離れて暮らし始めたこともあって、よりこの映画の世界観と、くるり「奇跡」の歌の雰囲気に共鳴したように思います。
それまでは、親や兄弟がよく聞いている歌を、自然と私も聞いていました。
そんななかで、この映画をきっかけにして、
「ああ、くるりっていうバンドがいるんだ」
「いい曲だなぁ」
と、はじめて誰の影響も受けずに、曲を好きになりました。
そこから、くるりのベストアルバムをレンタルして、聞き込みました。
他のアルバムには手を伸ばさなかったけれど、そのアルバムはとにかく聴きました。
そして、ときは流れて大学生になり、長期休みに北海道への旅に出ました。
その時は誰も知り合いがおらず、開放感と一抹の不安。
フェリーやバス、電車を使った、自由きままな一人旅。
電車にのるときは、くるりのそのアルバムを聴いていました。
「奇跡」を聴きながらの車窓からの景色もよかったなぁ。
自分の好きなバンドの曲を聴きながら、これまた誰の影響も受けずに好きになった土地を旅する――
さらに時は経ち、先月、初めてのくるりのライブに行きました。
私はすっかり北海道の住人。
ライブで「奇跡」は聞けなかったけれど、新しい曲とも出会えて、さらにくるりの深みにハマりました。
芸術とか、アートとか、よく分からないけれど、
きっと無条件で、誰の後ろ盾もなく、好きになる契機をくれるものなのだと
今は確信しています。
誰の影響も受けないのは、リスクもあるけれど、
肚が据わるような、揺るぎない自信をくれるのだ、と。